微生物ゲノム解析 技術概要

微生物ゲノム解析は、ゲノム変異解析(Mutation Mapping)とリシークエンス解析の2つの工程で構成されています。「ゲノム変異解析(Mutation Mapping)」はゲノム配列の相違が5%未満の変異株(テスト株)の1塩基変異、欠失や超可変領域を検出します。1x385Kアレイ1枚で約 1.3Mbの解析が可能です。「リシークエンス解析」はゲノム配列の相違が0.5%未満の変異株(テスト株)の塩基配列同定を行います。1x385Kアレ イ1枚マイで約48kbの塩基配列同定が可能です。

 

プロトコール概要

Cy3、Cy5ラベル化ランダムプライマーを用いて、ランダムプライム反応によりサンプルを増幅、標識します。その後Test SampleとReference Sampleを同一のアレイ上で競合ハイブリダイゼーションをします。スキャニング後、シグナル強度変化を解析し、ゲノムの1塩基変異や欠失などのデータ を取得します。得られたデータを元にリシークエンス用アレイを設計します。Cy3でラベル化したサンプルをリシークエンス用アレイへハイブリダイゼーショ ンさせ、Test Sampleの塩基配列の同定を行います。


1.  超音波による断片化 (Option)
2.  Cy3、Cy5ランダムプライマーによる増幅・標識
3.  同一のアレイに競合ハイブリダイゼーション
4.  スキャニング・データ取得・解析(ゲノム変異解析)
5.  リシークエンス解析用アレイを設計
6.  Test Sampleのリシークエンス解析


▲図1 微生物ゲノム解析実験手順

 

アレイの種類: カスタムアレイ & カタログアレイ

ゲノム変異解析(Mutation Mapping)では、対象生物種のGC含量によって29merまたは32merのDNAプローブを7塩基または8塩基のインターバルで設計したタイリン グアレイを使用します。リシークエンス工程では、29~39merのプローブを1塩基のインターバルで設計したタイリングアレイを使用します。


▲図2 微生物ゲノム解析対象可能範囲


微生物ゲノム解析では野生株の塩基配列がわかっている事が前提となります。 野生株と変異株との差があまりにも大きい場合には解析できない場合があります。ゲノム変異解析(Mutation Mapping)では、おおよそゲノムの5%未満の変異がある株、リシークエンス解析では0.5%未満である株の解析が対象となります。


▲図3-1 ゲノム変異解析(Mutation Mapping)用アレイプローブ設計模式図



▲図3-2 リシークエンス用アレイプローブ設計模式図

■ NimbleGen 微生物ゲノム解析用 カタログアレイ
カタログアレイはございません。対象生物種のシークエンス情報をご指定の上、カスタムアレイの設計をご依頼ください。

■ NimbleGen 微生物ゲノム解析用 カスタムアレイ
1x385Kフォーマットのアレイがご利用可能です。

 

ワークフロー:  受託サービス & アレイ販売

微生物ゲノム解析用アレイは販売しておりません。受託サービスをご利用ください。

■ 受託サービス
カスタムアレイの設計をご依頼いただき、ゲノムサンプルを送付いただきますと、微生物ゲノム解析データを納品いたします。
[アレイデザイン情報、テストサンプル対リファレンスサンプルシグナル比から解析したゲノムビューワー対応ゲノム変異解析(Mutation Mapping)結果ファイル]


▲図4 微生物ゲノム解析受託サービスワークフロー

 

実験データ例

 

A.  ゲノムアノテーション (遺伝子のコード鎖、位置、大きさ)
B.  結果SNPsの分類
      青:コーディング配列内の、アミノ酸配列コードへの影響の無い塩基
      緑:コーディング配列内の、アミノ酸配列コードが変化する塩基
      水色:コーディング配列以外の領域に変異が同定された塩基
C.  SNPs以外の変異候補箇所
D.  リシークエンスアレイのターゲット領域
E.  Phase 1- Mutation Mappingでの平均シグナル強度比
F.  Phase 1- Mutation Mappingでの生データ

▲図5 微生物ゲノム解析結果概要

 


感染性のある腸チフス菌(Salmonella typhi)Ty2株のDNA塩基配列をもとに7塩基のインターバルでForward鎖、Reverse鎖の両鎖から29merのプローブを設計したタイ リングアレイを用いて、感染性のないワクチン株(Ty2a株)のゲノムDNA変異領域の解析を行いました。Ty2と比較してTy2aのシグナル強度が低下 した箇所(Ty2/Ty2aシグナル強度比が高い箇所)では、ゲノムの変異が疑われ、図6に示したようにTy2a株での1塩基変異がある領域や多数の塩基 の変異が集積している超可変領域、および塩基配列が欠失した領域を検出しています。

 

▲図6 腸チフス菌でのゲノム変異解析(Mutation Mapping)例

 

 

▲図7 リシークエンスアレイ基本設計と、ハイブリダイゼーション例

リシークエンス解析では、標準ゲノムDNAの塩基配列をもとに2本鎖ゲノムDNAのForward鎖、Reverse鎖共に1塩基ずつずらしてDNAプローブを選択し、さらに中央の塩基を4種類の塩基に置き換えたDNAプローブを設計してタイリングアレイを作製します。ハイブリダイゼーション後、最もシグナル強度が高いDNAプローブの塩基を読んでいくことで塩基配列を同定します。

 

文献紹介

こちらの「論文情報」などをご参照ください。

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