目次
プロテイン エクスプレッション コーナー
-RTS E. coli ジスルフィドキット-
活性のあるジスルフィド結合タンパク質作成への優れた方法

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関連製品名 製品番号 包装単位 希望価格
RTS E. coli ジスルフィドキット 4349741 1キット
(50μl×24回)
\70,000
特長
■高収量─50μg/50μlのタンパク質が合成されます。
■機能活性─ジスルフィド結合を持つ機能タンパク質が合成されます。
■専用の反応容器を添付─プロテオマスターで使用されます。
キット内容
1.E. coli ライセート ・トランスレーション/トランスクリプションに必要な成分を含む安定化E. coli ライセート
・GroEシャペロンを含む
2.反応ミックス ・24×50μlの反応溶液用の安定化基質ミックス
・ジスルフィド結合形成用のレドックスシステムとプロテインジスルフィドイソメラーゼを含む
3.アミノ酸ミックス ・安定化アミノ酸ミックス(メチオニンは含まない)
4.メチオニン ・安定化メチオニン
5.ライセート活性化剤 ・効率的なジスルフィド結合の形成と再転位に必要な溶液
6.フィーディングミックス ・24×1 mlのフィーディング溶液用の安定化基質ミックス
・ジスルフィド結合形成用のレドックスシステムを含む
7.水、DNase、RNaseフリー ・反応およびフィーディング溶液用の水
8.コントロールプラスミド ・マウスのウロキナーゼをコードしたpIVEX 2.3 UK(6μg)
9.反応容器 ・CECFタンパク質発現用の2室の容器(×3)
はじめに
 正確にフォールディングされたジスルフィド結合を持つタンパク質の作成は、タンパク質の発現分野では非常に挑戦的です。主な問題は、細胞で合成されるタンパク質は還元状態を保持している細胞質中にあり、ジスルフィド結合の形成が妨げられることです。その結果、タンパク質は凝集し、リフォールディングするには、低収量の原因となる煩雑な操作を数回繰り返す必要があります。

 前核細胞システムでのペリプラズムでの発現や、細胞質中で酸化還元状態を保持している特殊な大腸菌株の使用などの、他の可能性が存在します。しかしながら、ペリプラズムでの発現は、容量の限界から中程度のタンパク質量しか得ることはできません。それに加え顕著でない場合でも、ほとんどのタンパク質は細胞質中で凝集したままです。チオレドキシンやグルタチオンを欠失した変異株の使用は前進への一歩です。いまだに、凝集は主要な問題の一つとなっています。

 セルフリーのタンパク質発現は、正しくフォールディングされたジスルフィド結合を持つタンパク質の作成に、いくつかの利点を提供します。最も重要なことは:
→酸化還元電位が簡単に至適化できること。
→フォールディングの触媒が、他の由来のものでも簡単に添加できること。

RTS E. coli ジスルフィドキットのデザインと応用性
 このキットは、E. coli ライセートに基づく2種類の調製産物を含んでいます:
→レドックスシステムがジスルフィド結合の形成を可能にします。
→ジスルフィド結合を正す必要のある場合にジスルフィド再転化を行う、ジスルフィドイソメラーゼが含まれます。
→シャペロンシステムであるGroEの添加で、正しくフォールディングされた産物の収量が最大となります。

キットは、より高い収量を保証する連続交換セルフリー(CECF)テクノロジーを基にしています。新しい反応容器は50μlの反応液量用で、ロボットシステムに適しています(図1)。
図1:RTS 100 CECFの反応容器
 キットのデザインは、他のすべてのRTSキットと同じです。キットはE. coli ライセート(溶液)、反応ミックス、アミノ酸ミックス、メチオニン、(ライセートの活性を増強する)ライセート活性剤、フィーディングミックス、DNase-フリー水、コントロールプラスミド、反応容器をそれぞれ含んでいます。各キットは、6個のジスルフィド結合を持つウロキナーゼを試験サンプルとして、発現を品質保証しています(少なくとも800μgの活性ウロキナーゼ/ml)。

タンパク質発現の例
 RTS E. coli ジスルフィドキットの応用性は、ジスルフィド結合を持つさまざまなタンパク質の発現で評価されました。

1本鎖抗体の発現(scFvフラグメント、2個のジスルフィド結合、29 kDa)
 還元状態(RTS E. coli HYキット)での最初の発現では可溶性のscFvフラグメントは少量(図2のレーン3と4)でしたが、RTS E. coli ジスルフィドキットを使用した場合には、可溶性の画分が劇的に増加しました(図2のレーン1)。発現された抗体フラグメントの機能活性は、Biacoreの機器上で、細胞接着タンパク質の結合部位への相互作用を測定することにより示されました(図3)。
図2:細胞接着タンパク質に対する1本鎖抗体のウェスタンブロット。ScFvのバンドは矢印で示す。
図3:細胞接着タンパク質に対するScFvフラグメントのBiacore分析。
RTS E. coli ジスルフィドキットで発現されたScFvはBiacoreで完全な活性を示した。6種類の希釈液の結合カイネティックスが測定された。RTS E. coli HYキットで発現された同じScFvは活性を持たなかった(データ不掲載)。
ホスファターゼの発現(2個のジスルフィド結合、47 kDa)
 ホスファターゼPhoA(E. coli )は、還元条件では活性のある形状では発現できませんでした。活性のある産物は、セルフリーシステムの組成に否定的な影響を受けるかどうかは明確ではありませんでした。しかしRTS E. coli ジスルフィドキットを使用したレドックス条件下では、1 mg/mlの活性型ホスファターゼが検出可能でした(図4)。DnaKの添加は、トータルの活性には効果がありませんでしたが、1%のBrij 35の効果は大きなものでした。
図4:ホスファターゼPhoAの発現
ウロキナーゼの発現(6個のジスルフィド結合、32 kDa)
 ウロキナーゼは最初、RTS 100 E. coli HYキットを使用して発現されましたが、上澄には産物が検出されず、少量のタンパク質がペレットとなっていました(図5)。これはウロキナーゼの凝集によるリボゾームのスローダウンに起因します。それによって、活性が検出されませんでした(図6)。RTS E. coli ジスルフィドキットで発現した時、1.5 mg/mlの活性型ウロキナーゼが検出されました(図6)。興味深いことに、全収量も大きく増えていました(図5)。
図5:ウロキナーゼの発現(ウェスタンブロット分析)
図6:ウロキナーゼの発現(活性測定)
プラスミノーゲンアクチベーターの発現(rPA、9個のジスルフィド結合、39 kDa)
 rPAは9個の9個のジスルフィド結合を持つため、大変複雑な構造です。
 このタンパク質はジスルフィドキットでの発現の24時間後に、100μg/mlの活性型タンパク質が検出されました。90時間まで延長した場合、600μg/mlの活性型rPAが回収できました。活性型タンパク質の収量は、さまざまな時間間隔でサンプルを採取することにより至適化できました。
図7:リコンビナントプラスミノーゲンアクチベーターの発現(rPA):フォールディングがレートデターミネーティングステップであることを示すカイネティックス実験。
まとめ
 RTS E. coli ジスルフィドキットは、ジスルフィド結合を持つさまざまなタンパク質の作成に成功しました。すべてのタンパク質は活性型として発現しました。
著者:Erhard Fernholz
Roche Applied Science, Penzberg, Germany
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関連製品名 製品番号 包装単位 希望価格
RTS 100 E. coli HYキット 3186148 1キット(24回) \58,000
3186156 1キット(96回) \158,000


BIOCHEMICA2004NUMBER4(No97)

上の記事は、BIOCHEMICA日本語版 (ロシュ・アプライドサイエンスの季刊誌)のバックナンバーです。 情報が古い場合がございますので、あらかじめご了承ください。
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