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Thomas Walter*, Monika Auer, Constanze Stadler, Ulrike Haberhausen, Werner Malmberg, Astrid Benischko-Geiger, Brigitte Streifinger, Martin Victor, Robert Steiner, Claudia Kappelsberger, and Peter Wenzig Roche Applied Science, Penzberg Germany
*Corresponding author: thomas.walter@roche.com
ハイスループット遺伝子発現解析の進歩により、多数の細胞サンプルから同時にRNAを抽出することが求められています。MagNA Pure 96 Systemと専用キット、専用プロトコール、消耗品セットは、簡単なハイスループット自動核酸調製の新しいスタンダードとなります。
本稿では、培養細胞サンプルからのトータルRNAの抽出における、MagNA Pure 96 Cellular RNA Small Volume KitおよびLarge Volume Kitの性能について報告します。MagNA Pure Systemファミリーの他の製品と同じく、核酸の抽出は、生物学的サンプルの効率的な溶解と、カオトロピック塩存在下で の磁性体ガラス粒子(MGP)への核酸の結合に基づいています。MGPに結合した核酸は、数回の洗浄を経て低塩濃度溶出バッファーで溶出します。表1に、 基本的なパラメータを示します。キット構成は、1種類のボトルを除き、全て調製済みの状態で包装されています。DNA分解に使用する凍結乾燥した DNaseだけは、添付のDNase Incubation Bufferで再懸濁する必要があります。試薬トレイ、MGPボトル、DNaseボトル、そしてプレートやチップなどの消耗品は、簡単に使えるように包装 されています。他の特徴は、前号のBiochemica(4/2009)に掲載されています。
培養したK562細胞およびHeLa細胞 の段階希釈から、RNAを抽出しました。細胞は107個/バイアルの凍結細胞ペレットとして-80℃で保存しました。細胞ペレット と冷却PBSバッファーを、ピペッティングで混合しました。各サンプルについて指定の細胞数に調製し、サンプルをMagNA Pure 96 Processing Plateに移しました。RNA Cells SVプロトコールまたはRNA Cells LVプ ロトコールのいずれかを選択し、適当な溶出量に設定しました。96サンプルのRNA抽出は、62分間(Small Volume)または80分間(Large Volume)で完了しました。
抽出したRNAの収量と品質を解析するため、以下の方法を用いました。
⇒1×Tris/ホウ酸バッファーでの1% アガロースMPを用いた アガロースゲル電気泳動。アガロースゲル100mlあたり SYBR®GreenⅡRNA染色剤を12µl使用。120Vで1時間泳動し ました。
⇒NanoDrop 8000 Instrumentを用いた、260nmと280nmでの 吸光度(OD)の測定。
⇒2100 Bioanalyzer RNA Nano 6000 kit。
リアルタイム定量RT-PCRとPCRを、LightCycler®480 System、LightCycler®RNA Amplification Kit HybProbeまたはLightCycler®480 RNA Master Kit Hydrolysis Probesを用いて行いました。
表2に、MagNA Pure 96 Cellular RNA Small Volume KitおよびLarge Volume Kitを用いて、細胞数の異なる2種類のタイプのサンプルからRNAを抽出した場合の収量をまとめました。双方のキットの、細胞数104個 での、良好な拡張性と相似性にご注目ください。NanoDrop Instrumentで測定したサンプルのOD260/280は、 2.0~2.2でした。
抽出したRNAは純度が高く、残留DNAは全くないか、ごくわずかでした。ゲノムDNAの大部分は、プロトコールに組み 込まれたDNase分解ステップで除去できました。我々は、CycA遺伝子と偽遺伝子をターゲットとした、非常に感度の高いPCRアッセイを用いて、残留 DNA量を測定しました。全般的に、LightCycler®480 Systemでの45サイクル中、DNAは検出されませんでした。DNAが検出された場合も、その量は、総核酸量の0.1%未満でした(図1)。
抽出したRNAの完全性を検討することにより、RNAの品質を評価しました。我々は、サンプルを、チップ上でのキャピラリー電気泳動を用いた市販のプラッ トフォームで分析しました。RNA integrity number(RIN)は、システムソフトウエアにより、特許取得済みのアルゴリズムを用いて自動的に算出されます。RINが7~10であれば、非常に厳 しい条件が要求されるアレイ実験にも適したRNAサンプルといえます。MagNA Pure 96 Systemでは、RINが約9.0のRNAが得られました。これは、MagNA Pure LC RNA Isolation Kit, High Performanceを用いたときに得られる典型的な結果と同等です(図2)。抽出RNAを1%アガロースゲルで電気泳動すると、品質がよりよくわかり ます。HeLa細胞とK562細胞サンプルから抽出したRNAで、クリアで明確な完全なリボゾーム18S および28Sバンドが検出されました(図3)。
最後に、これらのRNAサンプルは、リアルタイム定量RTPCR解析で良いパフォーマンスを示す必要があります。我々は、LightCyclerR 480 Instrumentと1ステップRT-PCRマスターミックスで、3種類のアッセイ法を用いてRNA溶出液を分析しました。CycAアッセイでは、 Hybridization Probe Formatを使用します。β2MおよびGAPDHをコードするmRNAが増幅され、Universal ProbeLibrary(UPL)(UPL No.32および60)の加水分解プローブで検出されました。また、LightCyclerR480 Systemで非常に均一でクリアなS字状の増幅曲線を得られました(図4)。さらに、最初の細胞ペレットの希釈では、それぞれのクロッシングポイント (Cp)の良好な直線性が認められました。
RT-PCR阻害物質の可能性を確認するため、RNA溶出液の希釈実験を行いました。RNAサンプルを10倍希釈したところ、予想通りの2.8~3.5の Cp変化(約3.3となるべき)が生じました。細胞RNA抽出のためのMagNA Pure 96プロトコール、Gene Expression Corner BIOCHEMICA 2010 NUMBER 1 (No. 118) 11RNA cells SVおよびRNA cells LVでは、溶出量50µl、100µl、200µl(LVのみ)に対応した、専用の設定が可能です。少ない溶出量を用いた場合は、RNA濃度が上昇しま す。しかし一部の例では、抽出RNAの総量が低下することがあります。通常は、溶出量50µlでは、溶出量100µlの場合と比較してRNA総量の80% 以上が得られ、濃度が約60%上昇します。
MagNA Pure 96 Systemは、ハイスループットフォーマットでの迅速かつ効率的な細胞RNA抽出を、初めて可能にしました。抽出RNAは高品質・高純度で、非常に要求 の厳しいアレイアプリケーションや日常的なリアルタイムRT-PCR解析に使用できます。キットは便利な調製済みフォーマットとなっています。自動化によ り人的なミスを低減し、抽出過程での再現性を高めて、結果の標準化を図ることができます。将来的には、全血からの細胞RNAの抽出(external lysis)およびPAXgene® tubeで固定した全血サンプルからの細胞RNAの抽出などを予定しています。その他の関連 情報は、ホームページ、www.magnapure96.comをご覧下さい。

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| 図1:残留DNA DNA量はCycA qPCRアッセイで評価し、光学密度で測定した総核酸含有量に対する割合として算出しました。 |
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| 図2:市販のプラットフォームを用いた抽出RNAの特性評価 (a)106個のHeLa細胞由来のRNAを、MagNA Pure 96(サンプル1~4)またはMagNA Pure LC Instrument(サンプル5、6)を用いて抽出し、RNA Nano 6000 Kitで分析しました。(b)典型的なRNAサンプルのクロマトグラム |
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| 図3:アガロースゲル電気泳動による抽出RNAの特性決定 106HeLa細胞またはK562細胞サンプル由来の抽出RNAを1:10(K562)または1:2(HeLa)に希釈し、1×TBEバッファーを用いて1%ア ガロースゲルで電気泳動しました。アガロースゲル100mlあたり、RNA染色剤SYBR®GreenⅡを12µl含んでいます。 |
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| 図4:qRT-PCR解析 HeLa細胞の段階希釈から細胞RNAを抽出し、LightCycler®480 Systemを用いて、溶出液5µlのΒ2M mRNAをリアルタイムqRTPCRで増幅しました。HeLa RNA標準の希釈系列を用いて標準曲線を作成しました。 |
BIOCHEMICA2010 NUMBER1 (No118)
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