新発売 MagNA Pure 96 DNA and Viral NA Kit:スピードと高い回収率の両立

Michael Kirchgesser, Agnes Aschenbrenner, Irene Huber, Sarah Muller, Heike Girgnhuber, Hubert Schuldlos, Anna Werner, Werner Malmberg, Robert Steiner, Martin Victor, Thomas Kirschbaum, Claudia Kappelsberger, Michael Knoll, and Peter Wenzig Roche Applied Science, Penzberg, Germany
*Corresponding author: michael.kirchgesser@roche.com

イントロダクション

MagNA Pure 96 Systemは、今回新発売した最新の核酸抽出システムです。完全に自動化された超高速システムで、様々なタイプのサンプルから高品質な核酸をハイスルー プットで抽出できます。処理可能なサンプル容量は最高1000µlです。このシステムの主な特徴は、前号のBiochemica(4/2009)に掲載さ れています。このシステムは、プレパック試薬で構成される最適化済みのキットと、適切な抽出プロトコールを組み合わせて使用します。このキットの核酸抽出 原理は、長年にわたり様々なMagNA Pure Systemで確立された磁性体ガラス粒子テクノロジーに基づいています。MagNA Pure 96 Kitは、プレパックされた様々なバッファーを含む試薬トレイと、磁性体ガラス粒子の入ったボトルから構成されています。処理するサンプル容量に応じて、 Small Volume(SV)KitとLarge Volume(LV)Kitがあります。本稿では、この2種類のMagNA Pure 96 DNA and Viral NA Kitおよびそのプロトコールの特徴と性能について紹介します。

材料と方法

新しいキットとプロトコールは、ヒトのEDTA血漿とクエン酸血漿、血清、全血、培養細胞(K562細胞およびHeLa細胞)をサンプルとして開発し 試験されました。

ゲノムDNAの抽出では、全血は前処理をせずに、培養細胞ペレットはPBSに再懸濁して使用しました。

ウイルス核酸の抽出では、様々な量のDNAウイルス(CMV、EBV、パルボB19)やRNAウイルス(HAV、インフルエンザA/H1N1) を抽出前のサンプルにスパイクしました。次にサンプルをMagNA Pure 96 Processing Cartridgeに移し、MagNA Pure 96 Instrumentで処理しました。全てのサンプルについて8重測定以上行いました。実験に応じて、核酸の溶出量を50µl、100µl、200µlに 設定しました。溶出液は、吸光度(OD)測定やアガロースゲル電気泳動、LightCycler®480 Instrumentによるパラメータ特異的リアルタイム定量PCRおよびRT-PCRを用いて分析しました。増幅反応には各マスターミックス15µlと 各溶出液5µlを用い、45サイクル行いました。

結果と考察

特徴

このキットは、あらかじめトレイに組み込まれたプレパック試薬と,磁性体ガラス粒子(MGP)懸濁液の入ったボトルから構成されています(図1)。抽 出操作前、トレイとボトルを装置の引き出しに配置します。トレイは使用後簡単に再密封でき、必要に応じて次の抽出操作時まで保管できます。MGPボトルに は特別な蓋が付いており、この蓋は装置のニードルが貫通した後、自動的に再密封されます。全ての構成試薬は室温で安定です。

MagNA Pure 96 DNA and Viral NA Small Volume Kitは、200µlまでの全血または5×105個 以下の培養細胞からゲノムDNAを抽出できます。また、200µlまでの血漿や血清、全血からウイルスDNAやウイルスRNAを抽出する際にも使用できま す。キットは3組のプレパック試薬セットから構成され、それぞれ最大192回の抽出反応に使用できます(1キットあたり576回の抽出が可能)。

MagNA Pure 96 DNA and Viral NA Large Volume Kitは、全血500µlまたは1,000µl、あるいは106個以下の培養細胞からのゲノムDNA抽出用です。500µlの血漿や血清、血液、あるいは 1,000µlの血漿や血清からウイルスDNAやRNAを抽出する際にも使用できます。キットは3組のプレパック試薬セットから構成され、それぞれ最大 96回の抽出反応(500µl)、または48回の抽出反応(1,000µl)に使用できます(1キットあたり288回または144回の抽出が可能)。

各キットは、あらかじめインストールされた様々なプロトコールと共に使用します。いずれのプロトコールでも、様々な容量で核酸を溶出できます。

ゲノムDNA

ゲノムDNAの抽出およびその後の解析では、高い再現性、収量、完全性、および純度が認めら れました。アガロースゲルでの解析では、平均して20kb以上の明確なバンドが観察されました(図2)。

典型的なDNA収量と純度を表1にまとめました。収量は血球数に大きく左右されるため、最高で2倍程度異なる場合があります。

希釈後にLightCycler®480InstrumentでPCRを行った実験で示されたように、DNAにはPCR阻害物質が 含まれないことも確かめられています(データ非掲載)。

プロセスの拡張性を、様々な量の血液をサンプルとして試験しました。結果を図3に示します。

ウィルス核酸

直線性

抽出したウイルスDNAおよびウイルスRNAの高い回収率が達成されました。幅広い濃度範囲からウイルス核酸を抽出できました(図4)

内部コントロールと再現性

MagNA Pure 96 Systemは、各抽出反応に、内部コントロール(IC)を組み込むことができます。ICは、内蔵のICチューブから各ウェルの溶解バッファーに、自動的 にピペットで注入されます。この機能を、希釈したパルボB19プラスミドをICとして96ウェル全てに入れ、ネガティブ血清をサンプルとして精製操作を行 うことで確認しました。ICは高い再現性で抽出できました(図5)。

クロスコンタミネーション試験

これらの試験は、MagNA Pure 96 Instrumentのウェル間でのコンタミネーションの可能性を検討するために行いました。パルボB19をパラメータとして選択しました。検出限界は1 回のPCRあたり約2.5コピーでした。次に血漿に5×107コピー/ml(=検出限界の106倍以上)の ウイルスをスパイクし、MagNA Pure 96 InstrumentでLarge Volumeプロトコール(サンプル容量500µl、溶出容量50µl)で処理しました。

陽性サンプルと陰性サンプルを市松模様に配置した(スパイク済み陽性血漿サンプル48個、非スパイク陰性血漿サンプル48個を使用)を3回行いまし た。その溶出液をLightCycler®480 Instrumentで分析しました。これらの条件下ではクロスコンタミネーションは認められませんでした(図6)。

プロトコール「Plasma」と「Universal」

プロトコールの最適化において、一部のサンプル(血清、全血、クエン酸血漿)については、標準のサンプルとしたEDTA血漿とは異なるワークフローを 用いる方が有益なことが明らかになりました。したがって、「Plasma Protocol」に加えて、「Universal Protocol」を提供しています。この「Universal Protocol」では、これらのタイプのサンプルにおいて、より良好な結果(最高5クロッシングポイント)が得られています。「Universal Protocol」という名前は、血清、全血、クエン酸血漿に関しては優れていますが、EDTA血漿については同等(少なくとも試験を行ったウイルス (HAV、インフルエンザA/H1N1、EBV、CMV)に関しては)であることに基づいて名付けられました。結果は個々の実験の設定および試験項目に応 じて異なる可能性があるため、装置のプロトコールメニューには双方のプロトコールを入れてあります。ユーザーは実際の実験に応じて最適なソリューションを 選べます。

結論

MagNA Pure 96 DNA and Viral NA Kitは、様々なサンプルから、DNAおよびウイルス核酸を、完全に自動化された効率の高い方法で、高速・高回収率で抽出できます。ユーザーはそれぞれの ニーズに応じて複数のプロトコールを選べます。さらに、このキットは広範囲な容量のサンプルを処理でき、ハイスループットの便利なツールとなるでしょう。

図1:キット構成
キット概観、試薬トレイ、磁性体ガラス粒子ボトル
図2:血液から抽出したDNAのアガロースゲル分析(20回反復実験)
21kbの上部のマーカーバンドより上に位置したDNAバンドは、抽出されたDNAの完全性が高いことを示しています(M=分子量マーカーⅢ)
図3:拡張可能性
様々な量の血液から抽出したDNAのアガロースゲル分析により、抽出プロセスの良好な拡張可能性が示されました。
図4:直線性
1サンプルあたり10~106コピーの濃度でスパイクしたEBウイルス(DNA)とHAウイルス(RNA)の抽出
図5:内部コントロール
処理カートリッジの全96ウェルから抽出したパルボB19内部コントロールのPCR分析
図6:クロスコンタミネーション試験
陽性サンプル48個と陰性サンプル48個を市松模様に配置して処理し、クロスコンタミネーションについて分析しました。陰性サンプルは全て陰性を示し、陽 性サンプルとコントロールは全て予測通りのシグナルを示しました。3重測定で、同じ結果が得られました。

BIOCHEMICA2010 NUMBER1 (No118)

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