X-tremeGENE siRNAトランスフェクション試薬を用いた細胞マイクロアレイ上でのsiRNAと発現プラスミドの効率的なリバーストランスフェクション

Cell Analysis Corner

Christina Saten Fjeldbo and Torunn Bruland
Department of Cancer Research and Molecular Medicine, Norwegian University of Science and Technology (NTNU), Trondheim, Norway

イントロダクション

 

トランスフェクション 細胞マイクロアレイは、細胞ベースの機能研究をミニチュア化したもので、ウェルを使うことなく、空間的に限定されたトランスフェクションを可能にします (1)。ゲル内のコンプレックス化されたトランスフェクション試薬と発現プラスミド、あるいはsiRNAは、ガラススライド上にプリントされます。スポッ トとスポットの間で増殖する細胞はトランスフェクションされませんが、プリントされたスポット上で増殖する細胞は、スポット内に存在する核酸を取り込み、 生細胞のグループ内で特異的遺伝子産物の過剰発現やサイレンシングが起こります。適切なアッセイを用いることで、遺伝子摂動の表現型における結果が検出で きます(情報伝達、転写調節、分化誘導、アポトーシス、細胞内の局在に関与する遺伝子など)(図1)。トランスフェクション細胞マイクロアレイのフォー マットは、ハイスループットスクリーニングや中規模以上の機能研究に、大きな可能性を持っています。我々はX-tremeGENE siRNAトランスフェクション試薬を用いて中規模の機能研究のための方法を至適化しました(2)。ここでは、その方法の技術的な考慮点を述べ、可能であ る生物学的なリードアウトのいくつかの例を示します。

材料と方法

プリンティング溶液

 

プリンティング溶液は“結果とアプリケーション”の章で述べたとおりに至適化し、以下の組成が高いトランスフェクション効率と、HEK 293細胞における良好な局在化されたスポットを与えました:1.5 mlのマイクロ遠心チューブ中にプラスミド(1μg/μl)とsiRNA、ウシ胎児血清を抜いた培地、0.5μlの1.5Mシュークロース、μgの核酸当り3μlのX-tremeGENE siRNAトランスフェクション試薬を混合し、最終液量を22.5μlとします。15-20分間のインキュベーションの後、7.5μlの0.4%ゼラチン(Type B, G9391, Sigma)を加えて、30μlのプリンティング溶液とします。

アレイプリンティング

 

核酸-脂質-ゼラチン溶液を室温でUltraGAPSコート済みスライド(Corning)上にアレイ状にスポットしました。このアレイは10μlのピペットチップ(Biosphere Filter Tips, type Gilson/Biohit, Sarstedt)を使用して直径800μmのスポット、あるいはハンドヘルドのマイクロアレイヤーMicroCaster(Schleicher & Schuell)を使用して直径500μmのスポットをプリントしました。

HEK 293細胞のリバーストランスフェクション

 

HEK 293細胞は4.5g/lのグルコース(Gibco, Invitrogen)、1%(v/v)のペニシリン-ストレプトマイシン(Gibco, Invitrogen)、0.1mg/mlのL-グルタミン(Gibco, Invitrogen)、10%FCS(Euroclone)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中、湿式、5%CO2インキュベーター内、37℃で培養しました。

 トランスフェクションの直前に、活発に増殖している細胞をトリプシン処理し、希みの密度で培地に再懸濁しました。プリントされたスライドをQuadroPERMプレート(Vivascience)中に置き、8mlの培地中の3×106個 の細胞を重層しました。48時間のインキュベーションの後、スライドをPBSで穏やかに洗浄し、室温で20分間固定(PBS中、3.7%パラフォルムアル デヒドと4%シュークロース)しました。スライドを洗浄後、核をDAPI(Invitrogen)で染色し、Mowiol 4-88(Hoechst)でマウントしました。

解析と生物学的リードアウト

 

スポットの強度を解析するために、トランスフェクション細胞マイクロアレイをTecanのLS Reloadedスキャナーでスキャンし、各スポットの蛍光タンパク質発現レベルをGenePixソフトウェア(Axon Instrument)で定量化しました。
 Linear regression(ANOVA)モデリングを、数種類の実験レプリケートからのデータに基づく対象物の比較のために、生物学的効果の推計とp値の計算に使用しました(2)。アポトーシス細胞は、In Situ細胞死検出キット、TMR-redを使用して検出しました。遺伝子産物の細胞内の局在は、EGFP-タグを用いて行いました。アポトーシス細胞と細胞内タンパク質の局在は、蛍光顕微鏡で検出しました。

結果とアプリケーション

 

我々のプロトコー ル(2)は、ZiauddinとSabatiniによって報告された脂質-DNA法と呼ばれる方法に基づいています(1)。このワークフローは、プリン ティング溶液の作成、アレイのプリンティング、アレイ上での細胞のインキュベーション、スポット中の細胞への効果の検出を含んでいます。

 核酸とトランスフェクション試薬、ゼラチン、シュークロースで構成されるプリンティング溶液は、効率的なトランスフェクションの達成 と同様に、スポット間のクロスコンタミネーションを防ぐための、充分に確立されたエッジを持つスポットのために至適化されています。我々は最初に数種類の トランスフェクション試薬を試験し(データ未掲載)、X-tremeGENE siRNAトランスフェクション試薬がHEK 293細胞において、発現プラスミドとsiRNA、あるいはプラスミド単独でも、高いトランスフェクション効率を示すことを見出しました。図2は、 siEGFの濃度を増やして行ったときの、pEGFPとpDsRedのトランスフェクションを示しています。

 トランスフェクション試薬の量と、シュークロースおよびゼラチンの濃度の両方が、トランスフェクション効率とスポットの強度に影響し ています。核酸をガラス表面から細胞に輸送するためにゼラチンが加えられ、核酸とトランスフェクション試薬のコンプレックスを安定化するためにシューク ロースが加えられます。我々は、μgの核酸当り3μlのX-tremeGENE siRNAトランスフェクション試薬が、良好なトランスフェクション効率を示すことを見出しました。より高いトランスフェクション効率を達成するために、 試薬量を増やすことができます(それに加え、シュークロースとゼラチン濃度を調節しながら)。しかしながら、過剰量のX-tremeGENEは局在するス ポットを減らすことが観察されました(データ未掲載)。図3は、様々なゼラチンとシュークロース濃度で観察された細胞への効果の画像を示しています。トラ ンスフェクション効率は、シュークロースとゼラチン濃度が増えるにつれて(0.01-0.4%)、増加することが観察されました。シュークロースの添加 は、使用前に数週間、プリントしたスライドを保存したときに、高いトランスフェクション効率を達成するために特に有用で、シュークロース濃度 (0-100mMの範囲で試験)が上がるにつれてトランスフェクション効率も上昇しました。しかしながら、シュークロースとゼラチンの濃度の増加と共に、 空間的に不鮮明なスポットの増加が観察されました。それに加え、低濃度のゼラチンでは、細胞がスポットの外側に伸展する前に、より高い濃度のゼラチンで可 能なものより、より高い濃度でのシュークロースの使用が可能で、シュークロースとゼラチンの濃度の複合的な効果が観察されました(図3a)。数種類の至適 化実験に基づき、最終のプリンティング溶液中、μgの核酸当り3μlのX-tremeGENE、25mMのシュークロースと0.1%ゼラチンで、 HEK293細胞において再現性良く、空間的に限定されたトランスフェクションが、高い効率で行えました(図3b)。

 遺伝子摂動の表現型への効果を検出するために、幅広い様々な生物的リードアウトが可能です。我々は、リードアウトとして蛍光レポー ター遺伝子を使用した外部よりの刺激効果のアッセイと組み合わせて、特異的遺伝子産物の過剰発現とダウンレギュレーションでの細胞内の生物学的応答を測定 することにより、遺伝子発現の複雑な調節を研究するための、トランスフェクション細胞マイクロアレイの可能性を示しました(2)。トランスフェクション細 胞マイクロアレイはまた、アポトーシスや細胞内の局在などの表現型を検出するためにも使用できます(図1)。

要約

 

トランスフェクション細胞マイクロア レイは汎用性があり、効率的、経済的なテクノロジー(1,3,4)で、遺伝子の機能や遺伝子発現の調節機構のさらなる理解に貢献できます。我々は、発現プ ラスミドとsiRNAの両方をトランスフェクションするためのX-tremeGENE siRNAトランスフェクション試薬を使用した、トランスフェクション細胞マイクロアレイのプロトコールを至適化し、このテクノロジーが、遺伝子摂動によ る定量的に少ない生物学的効果でさえ、高い信頼性で検出できることを示しました。

リファレンス

  1. Ziauddin J, Sabatini DM (2001) Nature 411:107-110
  2. Fjeldbo CS et al. (2008) Nucleic Acids Res 36:e97
  3. Starkuviene V et al. (2007) Expert Rev Proteomics 4:479-489
  4. Wheeler DB et al. (2005) Nat Genet 37 Suppl:S25-30
図1:トランスフェクション細胞マイクロアレイのワークフロー。

図1:トランスフェクション細胞マイクロアレイのワークフロー。
細胞をプリント されたスライドに加え、スポットの上で増殖した細胞をトランスフェクションしました。遺伝子摂動の表現型への効果は、蛍光レポーター遺伝子やアポトーシス 細胞の標識、蛍光標識遺伝子産物を使用した細胞内の局在の検出などの様々な生物学的アッセイで検出できます。

図2:プラスミドとsiRNAでのHEK 293細胞のトランスフェクション。 図2:プラスミドとsiRNAでのHEK 293細胞のトランスフェクション。

図2:プラスミドとsiRNAでのHEK 293細胞のトランスフェクション。
細胞をpEGFP(30ng/μl)とpDsRed(30ng/μl)、様々な濃度のsiEGFP(0-30ng/μl)でトランスフェクションしました。pCRE-luc(60 ng/μl)をスポット内のバックグランド蛍光のコントロール(negctrl)として使用しました。pEGFPとpDsred、30ng/μlのsiCATをsiRNAのコントロール(ctrl)として使用しました。(a)上の図:8種類の条件での細胞集団の配置。真中の図:EGFP検出のための画像のスキャン。下の図:DsRed検出のための画像のスキャン。(b)様々な条件での推計される効果は、DsRedコントロールプラスミドの強度で補正されたEGFP蛍光強度データに基づき示されました。蛍光強度は0ng/μl siRNAとの相対比で示しています:エラーバーは95%の信頼性を持ちます(Nucleic Acid Reaserchの許可により論文2より改変)。

図3:スポットの完全性とトランスフェクション効率におけるシュークロースとゼラチン濃度の効果。図3:スポットの完全性とトランスフェクション効率におけるシュークロースとゼラチン濃度の効果。

図3:スポットの完全性とトランスフェクション効率におけるシュークロースとゼラチン濃度の効果。
(a)様々なゼラチン及びシュークロース濃度を持つプリンティング溶液中のpDsRed(50ng/μl)でプリントされたアレイ。すべてのアレイの画像と特異的スポットの拡大画像をスキャンしました。(b)25mM のシュークロースと4種類のゼラチン濃度を持つプリンティング溶液中のpEGFP(50ng/μl)でプリントされたアレイ。上部:各スポットの蛍光強度 のボックスプロット(n=32-34)。下部:4種類のゼラチン濃度での7×5スポットのスキャン画像。左から右へ:0.01%、0.05%、0.1%、 0.2%。のゼラチン(Nucleic Acid Reaserchの許可により論文2より複製)。

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製品名 製品番号 包装単位 希望価格
X-tremeGENE siRNAトランスフェクション試薬 4 476 093 1 ml (24ウェルプレートで400回) ←製品番号をクリック
4 476 115 5 × 1 ml (24ウェルプレートで2,000回) ←製品番号をクリック
BIOCHEMICA2009 NUMBER3 (No116)

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