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Jitao Zhang, Angelika Duda, Christian Schmidt, Anja Irsigler, Stefan Wiemann, and Ulrich Tschulena*
Deutsches Krebsforschungszentrum, Division Molecular Genome Analysis, Heidelberg, Germany
*Corresponding author: u.tschulena@dkfz-heidelberg.deUlrich Tschulena
内在性の細胞制御メカ ニズムの研究は、実質上ハイスループットスクリーニングのアプリケーションの拡大を押し進めてきました。またRNA干渉は、特異的なmRNA分子の機能喪 失とタンパク質への翻訳の抑制を結びつけるための強力なツールとして開発されました。多くの研究方法が様々な生物学的なプロセスにおける新規遺伝子機能を 発見することの一助となりましたが、その多くで、制御メカニズムのカスケードの結果を特徴付ける各々の表現型を見極める方法として単一のエンドポイント法 が使用されてきました。
xCELLigenceシステムは、マイクロタイタープレート底面での電気的インピーダンスについて連続的かつ定量的な情報を提供 し、細胞数、細胞の形態、細胞接着の変化をリアルタイムに検出することが出来るシステムとして、生細胞の遺伝子ノックダウンの効果を分析する新しい方法を 提案します。我々はリアルタイムセルアナライザー(RTCA)とトランスフェクションのためのハイスループットワークフローを統合し、リアルタイムに細胞 増殖におけるヒトキナーゼの効果を分析し、キナーゼの減少レベルに対する細胞の応答のダイナミクスをモニターしました。このために、160種のキナーゼに 対応しているsiRNA(small interfering RNA)ライブラリーによる逆遺伝学的機能欠失スクリーニング(reverse genetic loss-of-function screen)を行いました。得られる細胞からのリアルタイムな情報により、関係するキナーゼのダイナミクスとそれらの細胞への影響を直接理解することが 出来ます。
xCELLigence E-Plate 96のバックグランドの測定はソフトウェアの標準プロトコルを使用してペニシリン/ストレプトマイシン、L-グルタミンと10% FCSを含む100 μl DMEM培地にて行いました。続いてトリプシン処理を行いました。細胞濃度はCASY TTセルカウンターで決定し、HeLa細胞をDMEM培地100 μlに10,000個の細胞で懸濁し、播種しました。
siRNAのトランスフェクションは96wellフォーマットで行いました。トランスフェクションの前に、DMEM培地をE-Plate中のウェルの底の 細胞に触れることなく96ウェルピペットヘッドのリキッドハンドラーで除去しました。HeLa細胞は40 μlのOpti-MEM(血清使用量低減培地)を加える前に150 μlのOpti-MEMで洗浄しました。併行してX-tremeGENEとsiRNA 1.15 μlを20 μlのOpti-MEMで希釈、混合し、15分インキュベートをしましたE-Plate 96に96ウェルピペットヘッドのピペットハンドラーで1ウェルあたり80 μlになるように加えました。siRNAの終濃度は60 nMとしました。RTCA MPステーション上で5時間インキュベート後、トランスフェクションミックスをリキッドハンドラーで除去し、細胞を150 μlのDMEM培地で洗浄し、200 μlのDMEM培地を加えました。細胞を90時間培養し、インピーダンスを15分おきに25時間測定しました。その後は60分のインターバルで測定を行い ました。
キナーゼが細胞増殖に影響を与えることを同定するために、160種のヒトキナーゼをターゲットとして、1遺伝子あたり60 nMの濃度で4種のsiRNAのプールからなるsiRNAライブラリーをスクリーニングしました。
スクリーニングはRTCA MPを使い、3重測定にて行いました〔図 1〕。80のsiRNAと5つのコントロールsiRNAを1枚のE-Plateでスクリーニングしました(各プレートにおいて3重測定)。RTCA MPステイションの6つのリーディングステーションを並行して使用しました。HeLa細胞へのトランスフェクションはBiomek FXPリキッドハンドリングワークステーションを使用し、自動化しました〔図 2〕。DMEM培地をOpti-MEMトランスフェクション培地に交換し、トランスフェクションはX-tremeGENE siRNAトランスフェクション試薬を使用しました。5時間後、培地を再びDMEM培地に交換しました。インピーダンスの測定は15分ごとに25時間行い ました。続いて2回目の培地交換を行い、60分の間隔で測定し続けました。培地交換が細胞に与える影響を除くために2回目の培地交換の後5時間のタイムポ イントで数値のノーマライズを行いました。
ネガティブコントロールとしてsiRNA無しとネガティブコントロールとして用いられてる機知のホ乳類の遺伝子とホモロジー が無いsiAllstar siRNAでモックトランスフェクションを行いました。ポジティブコントロールとしてHeLa細胞で、その遺伝子をノックダウンさせるとアポトーシスを誘 導するWEE1、COPB2、PLK1を標的としたsiRNAを使用しました。測定の再現性をモニターし、プレート間のデータの比較を行うために総てのプ レートに同一のコントロールをおきました。コントロールの違いで細胞増殖のパターンの違いが見られています。モック処理とsiAllstarをトランス フェクトした細胞はトランスフェクション後、最初、セルインデックス(CI)値に短い減少が見られましたが、その後、回復しCI値はトランスフェクション 後90時間まで安定に増加しました〔図 3〕。
一方、WEE1、PLK1、COPB2をターゲットとしたsiRNA はすべてのCI値で0.5 normalized CIの減少が見られました。興味深いことに3つの遺伝子のノックダウンは時間的に異なったCI値の減少を起こしました。COPB2をターゲットとした siRNAをトランスフェクトしたサンプルは一番最後に影響が出始めています。この効果は、タンパク質の半減期の違いやノックダウン後の表現型への遅延を 導く反応のカスケードによるものかもれませんし、より間接的な効果を示すものなのかもしれません。コントロールの再現性はきわめて高く、総てのレプリケイ トにおいてほぼ同一の曲線が観察され、総てのコントロールの総てのタイムポイントにわたって0.05以下の大変僅かな平均変動係数(CV、CV=σ/μで 定義される)で示される差異が観察されました。
さらに我々はsiRNAライブラリーでトランスフェクションしたサンプルを分析しました。160種のsiRNAのうち36種はモックやsiAllstarコントロールでトランスフェクトしたサンプルと比較して顕著な効果は見られませんでした。
しかしいくつかの遺伝子のノックダウンは増殖曲線に重大な変化を引起しました。予想通り多くのキナーゼ(160種のキナーゼのうち84種ものキナーゼ)のノックダウンが細胞増殖に阻害効果を引起しました。
興味深いことに、異なるキナーゼのノックダウンを比較したときのCI値の変化のダイナミクスが重要であることがわかりました。例えばCDC2L1、 CDC2L2、CDK10をターゲットとしたsiRNAで処理したサンプルの場合がそれにあたります〔図 5〕。CDK10をターゲットとしたsiRNAはトランスフェクション後最初の35時間は増殖をブロックしますが、その後CI 値は増加し始め、増殖の回復を示します。
対照的にCDC2L1やCDC2L2を標的としたsiRNAで処理した細胞のCI値は最初正常に増加し正常な増殖カーブを示します。 しかし播種後、65時間でCDC2L1 siRNAをトランスフェクトしたサンプルはピークとなりCI値は減少し始めます。一方、CDC2L2 siRNAをトランスフェクトしたサンプルは、播種後、80時間でピークをを示し、その後CI値は減少します。これらのデータは、RNA干渉や異なるキ ナーゼの活性による動的なプロセスが、異なるカイネティックスであることを示す最初の指標です。詳細なキナーゼ ダイナミクスの解明には、siRNAによるノックダウン後のmRNAやタンパク質濃度の経時的な解析の更なる研究が必要です。
これらのデータはリアルタイムでの測定の有効性を示しています:(a)開始時点での差異と異なる条件でのダイナミクスを可視化するこ とができ、(b)WST-1のようなエンドポイントアッセイは通常、固定したタイムポイントで行われます。従って遺伝子のノックダウンに対する細胞の動的 な応答が分析した時間によって異なった結果と考察を導くことになります〔図 5〕。我々は細胞増殖での阻害効果の別の例も検出しました。例えば、Bmx/EtkのノックダウンはsiAllstarによるコントロールの細胞と比較し てCI値の増加阻害を引起こします。Etkは細胞増殖に影響することが知られていますのでCI値の減少は期待どうりの結果でした[1]。またEphB6の ノックダウンはCI値の減少をもたらした後、増殖の増加もしくはアポトーシスの減少を示しています〔図 4〕。T-cellの増殖におけるEphB6のノックアウトの影響はすでに知られています。従って、このような影響は我々の実験におけるHeLa細胞でも ある役割を果たしているのかもしれません。それに比べて、EphA4をターゲットとしたsiRNAはsiAllstarをコントロールとしてトランスフェ クトしたサンプルと比較してCI値の増加を起こしました〔図 4〕。
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図1:xCELLigence システム。
RTCA MPインスツルメント
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図2:リキッド ハンドリングワーク ステーション
トランスフェクションのためにE-Plate 96をハンドルしているBiomek FXPリキッドハンドリングワークステーション
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図3:コントロールsiRNAの再現性
E-Plate上でそれぞれのコントロールsiRNAによるノックダウンをn=18で行いました。リードアウトしたデータを2回目の培地交換後、5時間の ポイントでノーマライズを行い(縦の点線)、‘normalized cell index’として表示しています。それぞれのカーブはそれぞれのタイムポイントでエラーバーを持ったひとつのsiRNAを表しています。また normalized cell indexは95%の信頼区間を示しています。
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図4:細胞増殖曲線での特異的なノックダウンの例
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図5:動的増殖曲線の比較。
表示はCDC2L1とそのパラログであるCDC2L2とCDK10をターゲットとしたsiRNAをトランスフェクションした細胞の動的増殖の状態を示して います。任意の2つのタイムポイントt1とt2でエンドポイント増殖アッセイを行うと非常に異なる結論が導かれます:
t1でのデータはCDC2L1はCDC2L2と同じような細胞増殖に対する効果を持っていますが、CDK10は増殖は低下しています。t2 のデータはCDC2L1はCDK10と同じように働き、両方ともCDC2L2と比較して増殖に対してネガティブなインパクトを与えているという結論が導か れます。しかしながら、t1とt2の結果はリアルタイム分析でのみ視認化される表現型の影響のダイナミクスを無視することになります。
我々の実験はxCELLigence システムとBiomek FXPリキッドハンドリングワークスティーションのような自動化ロボットパイプラインを組み合わせてreverse-geneticスクリーニング実験が 出来ることを立証しています。結果は、平均変動係数(CV)が0.05以下で、本システムの高い再現性を示しています。さらに実験は xCELLigenceがノックダウンの実験の後の動的な効果をモニターすることが出来ることを示しており、xCELLigenceはエンドポイント法で はできなかったリアルタイムに測定出来るという優位性を示しました。異なるsiRNAでトランスフェクトされた細胞の増殖曲線は、分析した遺伝子とタンパ ク質のより良い理解に導くような特徴的な結果を示しました。
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