新発売:MagNA Pure LC Total Nucleic Acid Isolation Kit - High Performance、ウイルス核酸を最大の収量で獲得するためのキット

Gene Expression Corner

Michael Kirchgesser*, Sabine Eppler, Christel Adem, Sabine Mitzel, Werner Malmberg, Claudia Kappelsberger, Louise Zieseniss, and Peter Wenzig
Roche Applied Science, Penzberg, Germany
*Corresponding author: michael.kirchgesser@roche.com

イントロダクション

 

核酸抽出において、マニュアル操作キットはもちろん自動化キットなど様々なキットやプロトコールが氾濫しています。しかし、高い回収率と感度を実現し、さらに完全に自動化できるキットはごく僅かに限られています。
  今回、我々はMagNA Pure LC Total Nucleic Acid Isolation Kit-High Performanceを開発しました。このキットは、様々なMagNA Pure Systemで培われてきた磁性体粒子技術に基づいています。血漿や血清、全血から高い回収率でウイルス核酸(DNAもしくはRNA)を抽出できるように デザインされています。さらに、100~1000 μlと幅広いサンプル容量に対応しています。また、MagNA Pure LC Instrument外でウイルスを不活化するExternal Lysisプロトコールも実施可能です。

材料と方法

 

このキットは、ヒトのEDTA 血漿、クエン酸血漿、血清、全血をサンプルとします。ここでは、様々な量のDNAウイルス(CMVとEBV)やRNAウイルス(HAVとインフルエンザ A)をスパイクしたサンプルを用い、MagNA Pure LC Instrumentと競合キットでウイルス核酸の抽出実験を行いました。全てのサンプルで4重測定以上を行いました。最終的に50 μl、あるいは100 μlでウイルス核酸を溶出しました。ウイルス核酸の検出にはLightCycler® 480 Instrumentを用い、上述の4種のウイルスに特異的なパラメーターで定量PCR、あるいは定量RT-PCRを行いました。PCRは各15 μlのマスターミックスと各5 μlの核酸抽出液を用い、45サイクルのPCRを行いました。

結果と考察

 

このキットを構成している試薬 は、様々な組成や反応条件を検討し、トータル核酸の収量が最大になるように最適化されています。このキットに対応するプロトコールはMagNA Pure LC 350 InstrumentでもMagNA Pure LC 2.0 Instrumentでも使用できます。

感度と陽性率

 

比較的長めのランタイム (180分/32サンプル)を要するが非常に強力な結合ステップにより、最大の感度が得られる「Total NA HS(高感度)」プロトコールは、100コピー未満(サンプル容量 200 μl中)のウイルスの検出が可能です。この感度は理論的には(RT)PCRあたり10コピー未満の検出に相当します。このプロトコールは、我々が今まで最 良としていたプロトコール(マニュアル操作キット)を上回る感度を示しました(表1)。
 また、そこまで感度を必要としない多くのアプリケーションには、「Total NA HP(ハイパフォーマンス)」プロトコールが準備されており、感度は若干劣るもののスピーディ(90分/32サンプル)な核酸抽出が可能です。

収量

 

他のキットと収量を比較するため、「Total NA HP」プロトコールと「Total NA HS」プロトコール、他社キットを用いて中程度のウイルス濃度(約104コピー/サンプル)のサンプルからウイルス核酸を抽出しました。この結果は陽性率の結果に沿ったものになりました。いずれも、このキットは高いパフォーマンスを示し、特に「Total NA HS」プロトコールは今までのキットを上回る高い収量を示しました。

クロスコンタミネーションテスト

 

各16サンプルの陽性血漿と陰性血漿をサンプルカートリッジ上に交互(市松模様)に配置して、本プロトコールについてクロスコンタミネーションの有無を検証しました。陽性血漿には最終濃度1×107と2.5×108プ ラスミド/mlになるようにParvo B19特異配列を含むプラスミドをスパイクしました。装置はMagNA Pure LC 350 InstrumentとMagNA Pure LC 2.0 Instrumentを用いました。続くPCRはMagNA Pure LC Instrument上でセットアップし、LightCycler® 480 SystemでParvo B19特異的PCRを行いました。この結果、クロスコンタミネーションは検出されませんでした。

大容量プロトコール

 

このキットは100 μl、200 μl、500 μl、1000 μlのサンプル容量に対応しています。サンプル量100 μlと200 μlでは288サンプル、500 μlでは192サンプル、1000 μlでは96サンプルの核酸抽出が可能です。500 μlと1000 μlのプロトコールは血漿と血清のみサンプルとして使用できます。全血には多量のゲノムDNAが含まれているため使用できません。

表1:MagNA Pure LCの「Total NA HS」プロトコール、「Total NA HP」プロトコールと他社キットの陽性率。検出限界前後のウイルス量を24サンプルにスパイクしました。各プロトコールでウイルス核酸を抽出し検出した 後、PCRの陽性率を算出しました。括弧内は各サンプルにスパイクしたおおよそのウイルスコピー数を記しています。ウイルスタイターはおおよその値です。

プロトコール HAV
(66コピー)
Inf. A
(50コピー)
EBV
(200コピー)
CMV
(100コピー)
Total NA HS 200 100 % 100 % 79.2 % 91.7 %
Total NA HP 200 100 % 100 % 33.3 % 83.3 %
他社キット 91.7 % 91.7 % 62.5 % 91.7 %

結論

 

今回、新製品MagNA Pure LC Total Nucleic Acid Isolation Kit-High Performanceは完全な全自動で、様々なウイルスサンプルから高い収量と感度でトータル核酸を抽出できました。このキットは用途に応じてプロト コールを選択でき、幅広いサンプル容量にも対応しています。これらの特長から、このキットは感染症パラメーターの研究に有用です。

図1:様々なサンプルからのウイルス核酸の回収量。 図1:様々なサンプルからのウイルス核酸の回収量。

図1:様々なサンプルからのウイルス核酸の回収量。
例として、HAVとEBVの結果 を記載しました。「Total NA HP」プロトコールと「Total NA HS」プロトコールの回収効率を他社キットと比較しています。定量(RT)PCRによって算出したコピー数の差として示しています。各値は4回行った実験 の平均値です。全ての比較で「Total NA HS」が他社キットより良い結果を示しています。

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BIOCHEMICA2009 NUMBER2 (No115)

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