学術的なご相談、資料請求、機器サポートなど、お客様のさまざまなニーズに対応します。
Yama Abassi
ACEA Biosciences, San Diego, USA
yabassi@aceabio.com
以下の実験で示すようにインピーダンス技術に基づいた方法でリアルタイム、ラベルフリー、細胞接着と伸展をモニターし 定量的な評価をすることが出来ました。インピーダンス技術に基づく方法は、従来のエンドポイント法とは異なり重要な利点があります。まず、細胞を標識する ことがないため、実験において時間、労力を節約することが出来ます。また、一回の実験で接着と伸展におけるマトリックスタンパク質の影響をモニタリングす ることができます。
細胞外マトリックス (ECM)タンパク質は損傷回復時に際立った役割を果たします。またECMタンパク質は多くの重要な細胞プロセスに直接働きます。フィブロネクチン (FN)、コラーゲン(CL)、ラミニン (LM)、ビトロネクチン(VN) のような様々なECM コンポーネントは、インテグリンのような細胞表面の受容体を介し異なった細胞と特異的かつ相互に作用しています。インテグリンはECM タンパク質の特異的なモチーフを認識して結合します。モチーフの認識と結合によって細胞の特異的に接着する能力とECMタンパク質との相互作用を媒介しま す[1]。加えて、ECMタンパク質とインテグリン受容体の相互作用は、細胞の生存、増殖、分化や遊走のような細胞プロセスの細胞内のシグナリングカス ケードを開始します[1]。
異なる生物学的表面に対する細胞の相互作用と接着は、様々な生物学的、分子生物学的なテクニックで評価することが出来ます。最もよく 使用される方法は、蛍光試薬による標識と蛍光顕微鏡や共焦点蛍光顕微鏡を使った可視化です。一方、細胞はクリスタルバイオレットのような色素で標識し定量 する、もしくは6-カルボキシフルオレセイン-二酢酸(CFDA) のような蛍光色素で前もって標識することも出来ます。
これらのアッセイは多くの情報が得られますが、総てにおいてある種の制限事項があります。これらの各技術はエンドポイント法であり、 接着のプロセスの"スナップショット"のみを提供します。さらに、細胞のプレまたはポストラベル法は煩雑でコストがかかります。最後に従来法は、固定と透 過処理工程があり、分析前に細胞を破壊しなければなりません。
インピーダンス技術に基づくシステム(RT-CES®)はリアルタイムに細胞イベントをラベルフリーでダイナ ミックにモニタリングをすることが出来ます。この方法は、ロシュ・アプライドサイエンスとACEA Biosciencesが共同開発した新しいxCELLigenceシステムに引き継がれています。なおこの新規技術は非侵襲的で細胞の固定や溶解を必要 としないため、前述したアッセイの限界を打破することが出来ます。
それゆえ、増殖や分化のように、接着や伸展のあとの生物学的なイベントをモニターすることが出来ます。本稿では、この新技術に基づくシステムが、細胞接着や伸展のモニタリングに相応しいかどうかを判断するための一連の実験について記載します。
この研究に使用した総ての細胞はATCCから入手し、5% CO2 飽和、37℃のインキュベータで保持しました。以下に示した濃度のFNと対照のPLLを96xのE-Plateのウェルに加え、1時間37℃でインキュ ベートしました。タンパク質をコートしたプレートは、PBSで洗浄後、0.5% BSA PBS溶液を加え20分、37℃でインキュベートしました。処理したプレートのウェルは培地と細胞を加える前に洗浄しました。細胞はトリプシン処理し、遠 心後、0.25% BSAを含んだ無血清培地でリサスペンドして適当な細胞数に調製しました。100μLの細胞懸濁液をE-プレートのECM-あるいはPLLをコートした ウェルに移しました。接着と伸展の程度はRT-CES®システムでのインピーダンス変化として測定し、実験に応じて1-3時間、3 分毎にモニターしました。接着と伸展の程度は本システムでのインピーダンス変化として測定し、実験に応じて1-3時間の間、3分毎にモニターしました。本 システムはインピーダンスを無単位の(CI)として表現します。各タイムポイントでのCIは(Rn-Rb)/15で定義され、Rnは細胞が存在したときの ウェルの細胞-電極インピーダンスで、Rbは培地単独でのウェルのバックグランドインピーダンスです。
各インヒビター毎に、細胞を表示のインヒビター濃度で15-30分間インキュベートし、E-プレートのECMコートしたウェルに添加しました。他のすべてのステップは上述の通りです。
BxPc3細胞にsiPORTアミンを使用して最終容量60μLで20 nMのsiSRCをトランスフェクションしました。細胞の接着機能はトランスフェクションの48時間後にアッセイしました。
細胞を PLLあるいはFNをコートした16×チャンバースライドに播種しました。細胞を接着させ、表示したタイムポイントで4%パラホルムアルデヒドで固定しま した。細胞を透過処理し、ローダミン標識ファロイジンで染色しました。写真撮影は、デジタルカメラを接続した落射型蛍光顕微鏡で行いました。
接着と伸展の程度を評価するために、E-プレートをFNとPLL(コントロール)でコートしました。NIH3T3細胞をコートしたウェルに添加し、接着と 伸展の程度を本システムでモニターしました。同時にチャンバースライドをFNとPLLでコートし、同数の細胞を各ウェルに加えました。細胞の接着と伸展を 評価するために細胞をローダミン標識ファロイジンで染色し、落射型蛍光顕微鏡で分析しました。
図1に見られるように、細胞をFNコートのウェルに添加したとき細胞インデックス(CI)は、顕著に増加しました。一方、PLLコー トの方は、CIの増加は緩やかでした。同時に、免疫蛍光の画像はFNでの細胞の接着は、迅速な伸展により達成され、1時間後に最大の伸展を示しました。 PLLコートのウェルでは、細胞は接着開始後2時間たっても丸いままでした。
細胞の接着と伸展の程度におけるFN濃度の効果を測定するために、FNの濃度を0μg/mLから20μg/mLの範囲で増やしてE- Plateにコートしました。NIH3T3細胞をウェルに加え、接着と伸展の程度を本システムでモニターしました。図2aに見られるようにCIはFNの コート量の増加に比例して上昇しました。CIが基質に接着する細胞数と比例することを証明するために、接着の3時間後に細胞をトリプシン処理し、手動で細 胞数を計測しました。図2bに見られるように、異なるFN濃度で3時間後にカウントした細胞数と3時間後のCIは比例していました。上記の実験結果は、本 技術が、ラベルフリー、リアルタイムで細胞の接着と伸展を定量的に評価できることを示唆しています。
アルギニン-グリシン-アスパラギン酸 (RGD) を含むペプチドのFNへの細胞接着の阻害効果を評価するために、NIH3T3細胞を剥がし、さまざまな濃度の環状RGDペプチドの存在下でインキュベート しました。処理した細胞をFNコートされたE-プレートに播種し、本システムでモニターしました。
環状RGDペプチドは、濃度依存的にNIH3T3細胞の接着と伸展をブロックしました。RGDモチーフを欠くコントロールペプチドは その効果は示しませんでした。これらの実験は、インピーダンス技術を用いて、インテグリン受容体機能の摂動をリアルタイムに、定量的に評価できることを示 唆しています。
細胞の接着と伸展におけるアクチン細胞骨格の役割を確定するために、NIH3T3細胞を剥がし、アクチン重合化の有力な阻害剤である Latrunculinとともにその濃度を増やしながらプレインキュベートしました。細胞をE-PlateのFNコートしたウェルに播種し、本システムで 細胞の接着と伸展をモニターしました。図3aに見られるように、Latrunculinは濃度依存的に細胞の接着と伸展を阻害しました。処理の2時間後に 細胞の接着と伸展を解析した結果、明瞭にLatrunculinが細胞の接着と伸展の有力な阻害剤であることが証明されました(図3b)。
細胞の接着と伸展は非受容体型チロシンキナーゼのSrcファミリーキナーゼの阻害剤のPP2でも著しくブロックされます。播種の2時 間後、PP2で処理した細胞はDMSO処理細胞より約60%少ない接着を示しました。この知見は従来法で得られた結果の裏づけとなりました[2]。
これらの実験はインピーダンスに基づ くシステムが細胞の接着と伸展をリアルタイムで定量的に評価できることを示しています。システムは手間とコストがかかる細胞の標識を必要としないため、従 来法よりも迅速で経済的です。それに加え、インピーダンス技術に基づく本法は非侵襲的で、細胞接着と伸展だけではなく、分化や増殖などのその他の生物学的 イベントが一つの実験でモニターできます。従来の方法はこれらのイベントの各々をモニターするために別々の実験が必要となります。
Order INFO
| 製品名 | 製品番号 | 包装単位 | 希望価格 |
|---|---|---|---|
| RTCA SPインスツルメント | 5229057 | 1セット | ご照会 |
| E-Plate 96 | 5232368 | 6プレート | ¥98,000 |
| E-Plate 96 | 5232376 | 36プレート | ¥540,000 |
![]() |
図1:PLLおよびFNをコーとした表面上での細胞の接着と伸長の動的モニタリング。
![]() |
図2:
(a)FN濃度増加時の細胞接着と伸展の定量的、動的モニター。
(b)様々なFN濃度で得られた細胞インデックスと細胞計測数の比較。処理の3時間後に解析。
![]() |
図3:
(a)細胞の接着と伸展におけるLatrunculinの用量依存的効果の動的モニタリング。
(b)播種の2時間後に測定された、NIH3T3細胞の接着と伸展におけるLatrunculinの用量依存的効果。
当社のカタログに掲載する製品は、ライフサイエンス分野の研究のみを目的としています。特に明記のない限り、診断用途目的には使用できません。カスタムバイオテック製品は、特に明記のない限り工業原料用のみを目的としています。
本ウェブサイトでは、幅広い利用者を対象とした製品情報を掲載しています。お住まいの国では利用できない製品、もしくは認可を受けていない製品の詳細情報が掲載されている場合もあります。それぞれの居住国における正当な法的手続や規制、登録、慣習法を満たしていない可能性のある情報の閲覧に関しては、当社は一切の責任を負いません。
〒105-0014 東京都港区芝2-6-1