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Cathleen Pfefferkorn1, Ulrike Scholz1, Verena Veneruso1, Thomas Nikolaus2, Kairat Madin2, Udo Eichenlaub2,
Andreas Schubert1, and Jörg Lehmann1*
1Fraunhofer Institute for Cell Therapy and Immunology, Leipzig, Germany; 2Roche Applied Science, Penzberg, Germany
この研究の目的はマウスの間葉系前駆細胞セルラインMuSC-E8の同調における血清飢餓の影響をxCELLigence(エクセリジェンス)システム を使用して評価することです。細胞の同調は細胞周期の特定の期に細胞が留まることを意味します。細胞の同調の実験は、細胞を静止(G0)期の状態から細胞 周期に復帰させるために、細胞をG0期に留め、細胞周期の後の相(つまりG1、S)へ同時に移行させるために注意深く決められた実験条件で行います[3、 4]。細胞周期を同調させる方法として適切な方法として血清飢餓法があります[4-6]。
一般的には、同調はDNAの定量、例えばフローサイトメトリーよって検出します。また、細胞は増殖アッセイ(例:BrdUや[3H] チミジンの取込み)や細胞が生きているが増殖していないことを確認するためのエンドポイントアッセイ(例:MTTアッセイ)を使用して研究されます。更 に、同調した細胞の静止は特定のマーカー遺伝子のmRNAの発現を測定することにより検出することもできます。例えば、転写調節因子Oct-4は、同調さ れた胚性幹細胞[5]中の多分化のマーカーとして分析することができます。
細胞をある時間以上飢餓状態に置き、培地に10%のFCSを供給すると細胞周期に復帰させることができます。xCELLigenceシステムの技術を用い、飢餓化したMuSC-E8細胞が細胞周期に復帰するための最適の時間ポイントを決定しました。
リアルタイム セル アナリシス (RTCA) シングル-プレート (SP) インスツルメントはxCELLigenceシステムシリーズの最初のインスツルメントです。xCELLigenceシステムは、細胞プロセスのリアルタイ ム測定に電気的な細胞-基質間インピーダンスの変化を応用しています。電気的インピーダンスは基本的に、電極と溶液の境界面と溶液部分のイオン環境によっ て決まります。細胞の存在は電極と溶液の境界面の局所的イオン環境に影響を与えます。細胞のサイズ、細胞の形態、細胞の電極表面に対する接着力の強さの差 がインピーダンス変化となります。
xCELLigenceシステム RTCA SPインスツルメントはRTCA アナライザー、 RTCA SPステーション、RTCAコントロールユニット(図1) の3つのコンポーネントで構成されています。RTCA SPステーションは1枚のE-Plate 96を使うようにデザインされており、E-Plate 96は個々のウェルの底面にくし型の微小電極を集積、配置しています。細胞をE-Plate 96 のウェルに播種し、播種したE-Plate 96を湿度飽和、37℃に制御されたCO2インキュベータに置いたSPステーションにセットしました。RTCAコントロールユニッ トにインストールされたRTCAソフトウェアは、測定を行うウェルを自動的に選択し、プログラムされた時間間隔でリアルタイムデータを取得します。細胞の 状態は、測定された電気的なインピーダンスの相対的な変化として導き出されるセル・インデックス(CI)と名付けられた無単位のパラメーターによって表わ されます。CI値は、培地単独でのバックグランド測定値を差し引いたインピーダンスの変化を表します。
xCELLigenceシステムの個々のアプリケーションを行うには、前もって細胞のE-Plate 96での培養条件の最適化が必要です。 特に、最良な結果を得るためには細胞数の調整が必要です。当研究室で幹細胞の分化プロセスを研究するために確立したマウスの間葉系前駆セルライン MuSC-E8を緩やかな条件でトリプシン処理し、温めておいた培地(RPMI 1640, 2 mM stable L-glutamine, 10 mM HEPES, 100 U/ml penicillin, 100 μg/ml streptomycin, 10% FCS, Biochrom) で2回洗浄し、異なる濃度(1 × 102, 3 × 102, 1 × 103,3 × 103, 1 × 104, 3 × 104, 1 × 105 cells/well)に調製した後、E-Plate 96に播種しました。また培地単独をコントロールとして使用しました。細胞を48時間以上培養し、細胞の接着と増殖をxCELLigenceシステムで連続的にモニターしました。
当研究室で確立したマウスの間葉系前駆セルラインMuSC-E8を血清飢餓法により細胞周期のG0期に同調しました。G0期への同調と代謝活性/生存活 性の観点からMuSC-E8細胞の同調の最適条件を決定するために、FCS不添加、もしくはFCS濃度を段階的に減少(0.1%, 0.5%, 2.5%, 5%)させて培養しました。培地のみ添加(無細胞)をバックグランドCIとして使用しました。飢餓期をxCELLigenceシステムで連続的にモニター しました。平行して、WST-1アッセイを使用し24時間、48時間の生存活性と代謝活性を分析しました。飢餓時間の最適化後、10%FCSを加えると細 胞は細胞周期に復帰しました。MuSC-E8細胞の同調後の増殖についてもRTCA SPインスツルメントを使用してさらに72時間モニターしました。
初期細胞数を変えた増殖のアッセイから典型的な4種のフェーズの曲線が得られました。最初のフェーズ(9時間まで)は細胞の接着を示しています(I : 接着フェーズ)。続くフェーズでは細胞はまだ増殖していません(II :ラグフェーズ)。3番目のフェーズ (18時間から始まっている) は細胞増殖を示しています(III :増殖フェーズ)。40時間後、初期細胞数がもっとも高い (1×105個/ウェル) 群のCIは徐々に減少し始め、細胞が培地中の必須因子が限界になることにより死に始めていることを示唆しています (IV : コンフルエントフェーズ)。対照的に他の群 (初期細胞濃度が低い) は、個々のCI 値の値は初期細胞濃度に依存しているものの、この時点では増殖を続けています。MuSC-E8細胞を3×104個/ウェルで播種した群は培養約50時間後でもコンフルエントフェーズに入っておらず、CI値が最も高かったので、同調実験の開始濃度を3 × 104個/ウェルとしました。
図2bに示したように、FCS無し (0% FCS)、つまり細胞が飢餓状態となっているMuSC-E8細胞だけが48時間後も増殖が妨げられました。一方、FCS濃度を段階的に減らした群は大変低 いレベル(0.1%, 0.5%) であってもE-Plateに播種してから30時間後にCI値が増加を示し増殖が始まっていました。2.5%の血清濃度の群は10% FCSを含んだ群のダイナミックスに近い増殖曲線になっています。最終的には5%と10%のFCS濃度の増殖曲線には違いが見られませんでした。このこと は血清に含まれる必須成長因子が5%FCS以上で飽和することを示唆しています。
興味深いことに、培地中のFCS濃度の違いは接着フェーズに顕著な違いを起こしています。FCS無しではMuSC-E8細胞はE-Plate表面により 効率的に接着し、0.1% と 0.5%FCS添加では2.5%, 5%, and 10%FCS添加よりもより速くより効率的に接着しました。 この現象は可溶性の血清因子が、細胞接着に応答する分子をブロックするためかもしれません。
24時間、48時間の飢餓状態でも細胞が生きていることを確認するために、WST-1アッセイを用いて細胞の生存活性と代謝活性を調べました。得られた 0%、0.1%、0.5%FCSで培養したMuSC-E8細胞のWST-1シグナルは細胞の生存活性/代謝活性において同様の活性を示しました。2.5% - 10%FCSではより低濃度のFCS濃度よりも高いWST-1シグナルが得られましたが、細胞をFCS無しで48時間培養しても生存が見られました(デー タ非掲載)。要約するとMuSC-E8細胞は、48時間の完全な血清飢餓でも生存できます。また、MuSC-E8細胞をG0期に留めるは48時間の完全な 血清飢餓が最適です。
細胞が48時間の血清飢餓後に細胞周期を再開できることを確認するために、血清の入っていない培地を10%FCSを含んだ培地に交換して xCELLigenceシステムで増殖曲線を分析しました。図2cに示したようにすべてのサンプルで細胞周期のG1/S期が再開されました。細胞周期への 復帰後、CI値のレベルは飢餓状態の時期のFCS濃度に相関していました。MuSC-E8細胞はFCS無しで培養することができ、10%FCSを供給する と増殖が再開しました。
この研究から新規xCELLigenceシステムは前駆細胞セルラインの細胞培養条件を詳細に描写し、その最適化に大変有効なツールであることが示され ました。特に血清飢餓法によって静止する細胞株の細胞同調にはエンドポイント法による増殖アッセイやフローサイトメトリーでのDNA含有量の測定のような 古典的な技術よりもxCELLigenceシステムがより効果的で利便性があることが示されました。
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図1:xCELLigence RTCA SPインスツルメントの構成。
RTCA SPインスツルメントはRTCAアナライザー、RTCA SPステーション、RTCAコントロールユニットで構成されます。
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図2:血清飢餓による細胞同調の培養条件の最適化のためのxCELLigence RTCAシステムで作成されたMuSC-E8細胞のダイナミック増殖カーブ。
(a)増殖:最適な細胞数が測定されました(I adhesion phase, II lag phase, III logarithmic growth phase, IV confluent phase)。
(b)同調:増殖と生存における血清成分の影響が見られました。
(c)細胞周期の再開:細胞周期の再開が確認されました。
| 製品名 | 包装単位 | 製品番号 |
|---|---|---|
| RTCA SP インスツルメント | 1セット | 5 229 057 |
| E-Plate 96 | 6プレート | 5 232 368 |
| E-Plate 96 | 36プレート | 5 232 376 |
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