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Yama Abassi
ACEA Bioscience, San Diego, USA
yabassi@aceabio.co
ナチュラル キラー(NK)細胞は腫瘍細胞の認識と破壊に関係していることが知られています。NK細胞の細胞障害活性の評価は、癌における免疫能、感染症、自己免疫疾患のモニタリングだけではなく、細胞溶解の影響を左右するたんぱく質の同定において重要です。
細胞障害活性の標準的な測定法としては、放射性同位体を用いたリリースアッセイがよく用いられます:ターゲット細胞は放射性同位元素で標識され、NK細 胞のようなエフェクター細胞と混合されます[1, 2]。NK活性の程度は、ターゲット細胞の溶解により放出される放射能を測定することにより決定されます。これらの方法は放射性同位元素を使用するという ことだけでなく、高いバックグランドノイズに悩まされることがあり非常に面倒かつ煩雑です。
xCELLigence(excellence、CELL、intelligenceから造語されたシステム名です。)システムは、ACEA Bioscience社, San Diego, USAによりRT-CESとして開発され、NK細胞介在性細胞障害活性のラベルフリー、in vitro定量の方法論として提供され、使用し易さとデータの品質において大きな貢献をしています。この新規技術は、細胞溶解全体の変遷のダイナミックモニタリングを行うことにより細胞溶解活性の正確な評価をも可能としています。
本システムの核心部分は、マイクロタイタープレートの底面に配置された電気的インピーダンス(交流抵抗)細胞センサーアレイであり、それは接着した細胞 の生物学的状態についての連続的かつ定量的情報を提供してくれます。細胞数、大きさ、形態、接着状況のいかなる変化もレポーター試薬を使用することなくリ アルタイムに検出することが可能です。統合されているソフトウェアは実質的には、いかなる期間にわたっても分きざみでデータ収集と格納を行うことが可能で す。
NK92、NIH 3T3セルライン及び総ての癌セルラインはATCCより入手しました。マウスNKセルライン(mNK)は米国Louisville大学のHui Shaoより提供されました。総てのセルラインは5%CO2、 37℃インキュベータ内で保持しました。NK92とmNKは2 mM L-グルタミン、1.5g/l炭酸水素ナトリウム、0.2 mM イノシトール、0.1 mM 2-メルカプトエタノール、0.02 mM葉酸、12.5%馬血清、12.5%FBS、100-200 U/ml 組換え型IL-2を加えたAlpha MEM培地中にて保持しました。他の癌セルラインは5%FBS、1%ペニシリン、1%ストレプトマイシン(GIBCO社)含有RPMI培地中に保持しまし た。NIH3T3細胞は10%FBS、1%ペニシリン、1%ストレプトマイシン含有DMEM培地中に保持しました。
ターゲット細胞は100μl培地とともにE-プレート96の各ウェルに5,000細胞ずつ播種しました。細胞増殖はターゲット細胞(T)が対数増殖期に 入りモノレイヤーを形成するまで、インピーダンス測定に基づくシステムによりダイナミックモニタリングを行いました。異なる濃度のエフェクター細胞(E) は、各ウェルに異なるE/T比で直接添加されました。バックグランドコントロールのためにエフェクター細胞を、ターゲット細胞が添加されていないウェルに も加えました。エフェクター細胞添加後20時間、15分毎に測定をし続けました。
ターゲット細胞へのNK細胞介在性細胞溶解の影響は、ニコン社製正立顕微鏡を用いて観察しました。mNK添加8時間後、セルインデックス(CI)が 50%(コントロールと比較して)に減少した時に細胞をシステムから取り出し5分間80%メタノール中で固定し、ギムザ ブルーで染色しました。細胞の形態は顕微鏡付属のCCDカメラを用いて撮影しました。
付属のシステムソフトウェアは実験全体を表示しますし、時間軸に対してE/T比毎の曲線がリアルタイムに表示されますので、NK細胞活性のダイナミック モニタリングが可能です。システムは任意のCI単位でインピーダンスを表現します。任意のCI単位で表現される各時点でのCIは、(Rn-Rb)/15と 定義されており、Rnとは細胞が添加されたウェルの細胞-電極インピーダンスであり、Rbは培地のみを添加したウェルのバックグランドインピーダンスで す。特定の時点における溶解を定量的に示すために、あるE/T比における細胞溶解百分率はコントロールと比較することにより算出します。
E/T比が15:1 の時のmNK細胞添加後にNIH 3T3細胞における顕著なCI減少が観察されました(図1a)。細胞溶解とは関係の無いTリンパ球ラインであるYAC細胞を用いたエフェクターコントロー ルウェルでは顕著なCI減少は検出されませんでした。これは、CIの減少はmNK細胞特異的な作用の結果であり、おそらく細胞溶解に関与していることを示 しています。NIH 3T3細胞の時系列的な細胞溶解はYAC細胞存在下ではなく、mNK細胞存在下において測定されました(図1b)。YAC細胞がなんら影響を与えない一方 で、mNK細胞の細胞溶解活動がターゲット細胞を実際に一掃したことをターゲット細胞の形態の観察結果からも確認することができました(図1c)。
動力学的解析は、細胞溶解はmNK細胞存在下でゆっくりと起こることを示しています:mNK細胞添加後2時間以内に検出されました。30%以下の細胞溶 解活性が4時間後も残存しており、それは放射性同位元素を用いたアッセイの標準的なインキュベーション時間に相当していました。インピーダンスに基づいた システムを用いて得られたデータは、細胞溶解活性がmNK細胞添加後12時間以内に70%まで到達できることを示しています。最大の細胞溶解活性は既存の 標識を行うアッセイの標準的インキュベーション時間後にのみ生じていましたので、この活性は安易に過小評価されていたかもしれません。インピーダンスに基 づいたシステムでは、細胞溶解の全過程のダイナミックモニタリングが可能ですので、細胞溶解のより正確な評価が行えます。
CIは細胞数に比例しています[4]ので、抗癌剤のような化学化合物により引き起こされる細胞毒性の定量的モニターに使用されてきました。mNK細胞活 性が定量的にアッセイできるかどうかを試験するために、異なるエフェクター/ターゲット比において細胞溶解をモニターしてみました。ネズミとヒトNKセル ライン(mNKとNK92)がエフェクターとして使用され、NIH 3T3ラインとMCF7ライン(ヒト乳癌細胞)がそれらのそれぞれのターゲットとして使用されました。
更に、細胞溶解のダイナミックモニタリングにより我々はNK細胞介在性障害の根元的なメカニズムをより深く知ることができるかもしれません。例えば、細 胞溶解の動力学的分析は、NK92細胞がmNK細胞よりもより効果のあるエフェクターであることを示しています。E/T比が4:1もしくはそれ以上におい て、MCF7細胞は、NK92細胞添加後4時間以内に90%以上が細胞溶解されています(図2d)。ところが、mNK細胞に関しては、その時間内で30% しか細胞溶解は生じませんでした(図2b)。NK細胞の細胞溶解動力学における差異は、エフェクターとターゲット間の相互作用の本質が細胞特異的で、NK 受容体やリガンドの発現のような因子、もしくは異なるNK細胞介在性細胞溶解のメカニズムとかかわっているかもしれないということを示しています。
mNKとNK92の細胞溶解活性は、9種類の研究用セルライン、すなわち8種の異なるヒト癌セルラインとNIH 3T3セルラインを用いて試験されました。NK92は7種類の癌セルラインにおいて広範な細胞溶解活性を示しました(データ非表示)。H460、 HepG2、MCF7、MDA-MB231において90%を超える細胞溶解に達しました。細胞溶解はエフェクター添加後直ちに生じ、8時間以内で最大障害 活性に到達しました。
逆に、mNK-細胞-介在性細胞溶解はより選択性が高いようです(データ非表示)。NIH 3T3、A549、HeLa、MDA-MB231細胞については、mNK細胞との12時間インキュベーション後に30%以上の細胞溶解が観察されました。 OVCAR4、HT1080、HepG2、H460、MCF7細胞においては細胞溶解は生じない(0%)もしくは弱い細胞溶解(10%)がモニターされま した。更に、mNK介在性細胞溶解は、NK92介在性の細胞溶解よりもよりゆっくりとしたもので、エフェクター添加後最大活性に到達するのに12時間を要 しました。
我々の実験は、本システムがヒトとネズミのNKセルラインの両方でNK細胞介在性細胞溶解活性のダイナミックで定量的な評価ができることを示しました。
更に、インピーダンスのリードアウトにより得られたデータは細胞溶解活性が、エフェクター細胞添加後12時間以内に70%まで到達できることを示しまし た。このような細胞溶解活性-標準的なインキュベーション時間後に長時間にわたり生じる-既存の標識を必要とするエンドポイントアッセイでは簡単に見落と されてしまいます。xCELLigenceシステムはラベルフリー検出を実現するだけではなく、細胞溶解全過程のダイナミックモニタリングにより細胞溶解 活性のより正確な評価を可能としています。
| 製品名 | 製品番号 | 包装単位 | 希望価格 |
|---|---|---|---|
| RTCA SP インスツルメント | 1セット | ご照会 | |
| RTCA アナライザー | 5 228 972 | 1 | |
| RTCA SP ステーション | 5 229 057 | 1 | |
| RTCA コントロールユニット | 5 229 014 | 1 |
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図1:NK細胞介在性細胞溶解のダイナミックモニタリング
(a)NIH 3T3細胞のNK細胞介在性細胞溶解のダイナミックモニタリング:細胞播種後34時間でセルインデックス(CI)値は3に到達している。これは約 10,000細胞/ウェルに相当している。150,000個のmNKもしくはYAC(ネガティブコントロール)細胞を3重測定で各ウェルに添加。
(b)mNK細胞時系列細胞溶解活性。細胞溶解活性は細胞溶解百分率(=[CIno effector - CIeffector]/CIno effector × 100)として計算。
(c)mNK細胞による細胞溶解の形態変化観察(ギムザ ブルー染色)
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図2:mNK細胞とNK92細胞の細胞溶解活性の非標識かつ定量的測定
(a)mNK細胞の細胞溶解活性の定量的測定
(b)異なるE/T比における時系列的mNK細胞の細胞溶解活性
(c)NK92細胞の細胞溶解活性の定量的測定
(d)異なるE/T比における時系列的NK92細胞の細胞溶解活性
BIOCHEMICA2008 NUMBER3 (No112)
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