学術的なご相談、資料請求、機器サポートなど、お客様のさまざまなニーズに対応します。
(nature methods (4) 903-)
ゲノム上の特定部位の選択的濃縮は、複雑なゲノムの高スループット・シークエンシングに必要不可欠です。従来法であるPCRに代わる方法として、 NimbleGenのT. AlbertらはDNAマイクロアレイによる濃縮と次世代シークエンシングを組み合わせ、ヒトおよびマウスゲノムから最大5Mbの標的領域群のDNAの取 得し(シークエンスキャプチャー)、その後シークエンシングする方法を紹介しています。筆者らはゲノム上の広範囲に分布している標的配列を細切れでなく一 括して取得するため、高密度オリゴアレイをカスタムで作製し、大量のエクソン断片や、特定の遺伝子部位もしくは疾患に関る領域の取得と解析を試みました。
最初に、この手法の再現性を示すため、筆者らはバーキットリンパ腫由来の細胞株NA04671のゲノムDNAから、数千のエクソンを標的部位として取得 する実験を行いました。まず、サンプルのゲノムDNAをWGA (whole-genome amplification)法にて増幅し、超音波破砕に処しました。こうして~500bp程度にした断片の末端にリンカーをライゲーションし(このあと のリンカーを介したPCRによる増幅操作のため)、得られた1本鎖DNAをシークエンスキャプチャー用アレイにハイブリダイゼーションさせました。結合し た1本差DNAは、アレイから溶出した後にPCRにより増幅させました。濃縮効率を調べるため、得られた増幅物を、標的とした8つの遺伝子部位それぞれに 対する特異的プライマーを用いて定量的PCRに供しました。その結果、従来法であるPCRによる特定部位の増幅法に比べ、マイクロアレイによる取得と増幅 を組み合わせた本手法では3回の平均で378倍の濃縮効率が達成されていることが分かりました。更に、454ゲノムシークエンサー FLXによるDNAシークエンシングおよびその後のBLAST解析では、3回行った実験での高い再現性が確認されました(図1)。
更に、筆者らはNimbleGen社のシークエンンスキャプチャー法と454シークエンサーを組み合わせた本手法について、ゲノムの多様性解析における 有用性を、数千のエクソンを標的部位としたシークエンスキャプチャー用アレイを用いて調べています。筆者らはヒトHapMap CollectionのDNAを本手法に供しました。その結果、サンプルをWGAせずにアレイで取得・増幅した場合は、WGAの後に取得・増幅した場合と 比較して、Sequence Coverage(配列包括度)が均一であることが分かりました。総じて79~94%の既知のHapMapに登録されている変異部位が最少1回の実験で検 出されました。
次に、筆者らは、連続的なゲノム領域を標的部位として調べるため、BRCA1遺伝子を含む200 kb~5 Mbの連続領域を標的とし、NA04671のゲノムDNAからの取得と濃縮を試みました。その結果、それぞれの実験で少なくとも140 Mbのシークエンスデータが得られ、標的領域が5 Mbの実験においては、平均のSequence Coverageは18となりました。
特定ゲノム領域の高スループット・シークエンシングのための当該領域のサンプル濃縮法として、NimbleGenマイクロアレイを用いたシークエンス キャプチャー法は、従来法であるPCRによる増幅法と比較して非常に効率的です。シークエンスキャプチャー法により、ゲノムDNAサンプルからリピート領 域や非特異的配列を効率よく取り除き、目的配列のみを得ることができます。したがって、その後の454シークエンサーによる網羅的なシークエンシングにお いても不純物由来のデータが少なくなります。筆者らは本論文において、カスタムデザインが容易なNimbleGenの385,000本のプローブを搭載し たマイクロアレイを用いて、5 MbものDNA領域を標的とした取得・濃縮が可能であることを示しました。
![]() |
図1:シークエンスキャプチャーされた配列。
(a)シークエンス解読結果の1例。特定領域由来のエクソン断片を3回の実験で調べ、アレイによる領域特異的濃縮法の再現性を第16染色体 を例に取って示しています。青い点は、454シークエンシング後のBLAST解析において最もスコアが高かった部位、ピンクの棒はシークエンスキャプ チャー用マイクロアレイのプローブの位置を示しています。
(b)第17染色体にあるBRCA1遺伝子を含む2-Mbの領域からマイクロアレイで濃縮・増幅した約2000塩基の解読結果の詳細。緑の線は、シークエンスキャプチャー用マイクロアレイのプローブの位置。プローブは10塩基間隔で配されており、見やすいようにy-軸上に並べてあります。
1回の454シークエンシングで得られたSequence Coverageは、赤のグラフで塩基ごとの値で、また、青のグラフでそれぞれの解読断片の位置を示しました。
当社のカタログに掲載する製品は、ライフサイエンス分野の研究のみを目的としています。特に明記のない限り、診断用途目的には使用できません。カスタムバイオテック製品は、特に明記のない限り工業原料用のみを目的としています。
本ウェブサイトでは、幅広い利用者を対象とした製品情報を掲載しています。お住まいの国では利用できない製品、もしくは認可を受けていない製品の詳細情報が掲載されている場合もあります。それぞれの居住国における正当な法的手続や規制、登録、慣習法を満たしていない可能性のある情報の閲覧に関しては、当社は一切の責任を負いません。
〒105-0014 東京都港区芝2-6-1