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Rebecca L. Tomlinson* and Andrew B. West
Center for Neurodegeneration and Experimental Therapeutics, Department of Neurology, University of Alabama School of Medicine, Birmingham, AL, U.S.A.
| 製品名 | 製品番号 | 包装単位 | 希望価格 |
|---|---|---|---|
| FuGENE® HDトランスフェクション試薬 | 4 709 691 | 0.4 ml | ←製品番号をクリック |
| 4 709 705 | 1 ml | ←製品番号をクリック | |
| 4 709 713 | 5×1 ml | ←製品番号をクリック |
レンチウイルスベクターは幅広い研究アプリケーションに適する有用な媒体です。そのシュードタイプに応じて、レンチウイルスは分裂および未分裂細胞にか かわらず幅広いタイプの細胞に感染します。他の一般的なベクターシステムと異なり、レンチウイルスは安定的かつ迅速にホストのゲノムに組み込まれ、in vivoで の長期研究を可能にします。現在のレンチウイルスベクターシステムは10 kb以上の外来DNAを導入することができます。プロモーターやエンハンサーエレメントが実際のオープンリーディングフレームのサイズを5から6 kbへと小さくしますが、ほ乳類のゲノムにおいて通常研究されるほとんどの遺伝子の導入には十分です。遺伝的な組み換えはまた天然のクロマチン構造にも適 用でき、特定のレンチウイルスのシュードタイプは選択的感染用に開発され、対象の細胞が選択的に遺伝子導入されます。例えば、VSV-Gシュードタイプは 幅広い向性を持っていますが、神経系のニューロンが特に標的とされます。すべての不死細胞を高い効率で遺伝子導入できる能力のほかに、レンチウイルスはト ランスジェニック動物やin vivoでの疾患モデルの開発に使用されてきました。遺伝子治療における応用研究も引き続き増加しています。
研究室では、特別な器具は必要なくレベル2のバイオセーフティを承認されたエリアで、第三世代のレンチウイルスベクターを作成することができます。必要 な最小限の遺伝的要素は4つのプラスミドに分割され、これらが同時に各々の細胞で発現することでウイルスの生産が実現されるようになっています。これに よって、安全性を考慮する面から、この第三世代のレンチウイルスは最も高い予防レベルをもたらします。トランスフェクションとそれに続くコードされたタン パク質の発現の後、細胞培養上澄には直ちに対象の細胞に遺伝子を導入できる、活性のあるレンチウイルス粒子が含まれます。しかしながら、研究者は、充分量 のレンチウイルスを得られないという問題を常に報告し、in vivoでのレンチウイルスの使用の成功は、論文でも様々な意見がなされてい ました。精製調製品の低い力価と細胞毒性の問題は、レンチウイルスベクターの使用での一般的な悩みです。レンチウイルスの作成に使用される従来法は、最も 一般的に使用されるHEK-293T細胞に4つのプラスミドをトランスフェクションし、パッケージするために、リン酸カルシウム沈殿法を利用しています。 我々の経験では、この標準的なアプローチはトランスフェクション効率と、それに対応する力価のおおきな変動をもたらし、濃縮されたウイルスはダウンスト リーム実験で細胞に対する高い毒性を持ちます。
ここでは、レンチウイルスベクター生産における多くの改善を記述します。現在では以前に比べ、多くの利点を持つ優れた新製品が販売されています。これらのプロトコールと関連製品を使用して、レンチウイルス調製品に関連する細胞毒性を回避し、ml当りに1010トランスダクションユニット(TU)という高い力価をルーチン的に獲得しましたが、さらに重要なこととして、ウイルス生産の均一性をも獲得できました。
第三世代のレンチウイルスシステムは第二世代のパッケージングシステムをより安全にしたものです。3種類のパッケージングプラスミドは機能的なウイルス 生産に必要なタンパク質のトランス発現を可能にします。パッケージングプラスミドであるpLP1、pLP2、pLP/VSVG(Invitrogen)は HEK-293FT細胞での発現に至適化されたプロモーターとエンハンサーが付加され、相同的組換えを回避するために改変されました。これらのパッケージ ングプラスミドはレンチウイルス発現プラスミドのホストで使用可能です。ここで述べる実験では、eGFP(cFUGW)、WPRE、cPPTをコードした レンチウイルスベクターを使用しました。導入効率が初代細胞で特に増加するように、cPPTとWPREエレメントを含むレンチウイルス発現プラスミドを選 択しました。
ウイルス生産における主要な制限や変動の原因は市販の血清製品にあり、ロット間の変動はいくつかの成長因子で10,000倍の変動があると報告されてい ます。このため、ウイルス生産の間の血清製品の使用を回避し、市販の細胞株(HEK 293-FT細胞、Invitrogen)を無血清培地で使用しました。293-FT細胞は293-F細胞株の迅速に増殖するバリアントのクローン派生株 で、pCMVSPORT6Tag.neoコンストラクト由来のSV40ラージT抗原を安定的に発現しています。ラージT抗原の過剰発現はSV-40由来の 複製開始点を含むパッケージングおよびレンチウイルス発現プラスミドのエピソーム性複製を増強し、未知の機構によりさらにレンチウイルスの生産を増強しま す。293-FT細胞はメーカーの推奨の培地から、増殖と維持のために5%のウシ胎児血清と500μg/mのG418を含む低/無血清培地(Opti- MEM、Invitrogen)に移し替えました。培養容器は95%の湿度中5% CO2、37℃で維持しました。
5%のウシ胎児血清を含むOpti-MEM(Glutamax入り)中で維持されたHEK-293FT細胞は、ポリリジンでコートされたNalgen Nunc Nunclon T-175フラスコ(フラスコは0.1 mg/mlのポリリジンで1時間処理し、使用の直前に蒸留水で3回洗浄しました)中に約50%のコンフルエントで播種しました。16時間後に、培地を 25μMのクロロキンを含む20 mlのOpti-MEMに置き換え、10.5μgのLP1、7μgのLP2、10.5μgのpVSV-G、9μgのレンチウイルスベクターを2 mlの無血清Opti-MEMに加えました。100μlのFuGENE® HDを加え、軽くボルテックスした後、室温で15分間インキュベートしました。このミクスチャーをHEK-293FT細胞層に直接加え、トランスフェク ションコンプレックスが十分に行き渡るようにフラスコをゆっくりと振とうします。8時間後、10μMの酪酸ナトリウムをフラスコの培地に加え、トランス フェクションコンプレックスの添加の24時間後に、培地を除去し、20 mlの無添加の無血清Opti-MEMと交換しました。次の24時間後に、培地を50 mlチューブに採取し、他の20 mlのOpti-MEMをT-175フラスコに加えます。培養上澄を3,000×gで10分間遠心して、他の50 mlチューブに移し4℃に保ちます。24時間後に、第二の採取液を第一の採取液に加え、3,000×gで10分間遠心します。上澄を44μmのメンブレン でろ過し、分注して-20℃で保存します。それぞれのT-175フラスコで40 mlのウイルス上澄が収量として得られ、ml当りに1-5×107個の感染粒子が得られるはずです。このプロトコールはスケールアップ可能です。
レンチウイルスを細胞株に使用する際、通常は高い導入効率を達成するためには濃縮が必要です。それに加え、濃縮はp24タンパク質の測定を使用する力価 検定にも必要です。ウイルス上澄を濃縮するために、100μlのOpti-prep密度勾配培地(Sigma)をBeckmanウルトラクリアー遠心管に 加え、チューブに38 ml の上澄を加えます。密度勾配培地は荒いペレット化と力価の減少となる再懸濁を予防します。上澄はスイングバケットローターを用いて50,000×gで3時 間遠心し、上層の37 mlをピペットで除去します。底の1 mlにin vitroでのアプリケーションで有用な40×ウイルス調製品(力価は~5×108 TU/ml)が含まれます。
In vivoアプリケーションのために、1 mlの40×分注液を滅菌マイクロ遠心管中に加え、4℃で20,000×g、18時間遠心しました。上澄を注意深く捨て、あらかじめ暖めておいた無血清 Opti-MEM中で穏やかなピペッティングにより、溶解度の上限までペレットを再懸濁します。ウイルスペレットは暖めたPBS中でも可溶化できますが、 Opti-MEM中の少量のタンパク質がウイルスの可溶性を増強する活性剤として働きます。ウイルスは5μlの分画に小分けし、-80℃で保存します。期 待される力価は~5×1010 TU/mlです。
HEK-293FT細胞や興味のある他の細胞を低コンフルエントで、100μlの無血清Opti-MEMを含むポリリジンコートの96ウェルプレートに 播種しました。翌日、レンチウイルス調製品を最初のウェル(50μlの1×上澄、10μlの40倍濃縮、2μlの高濃縮ウイルスを推奨)を加え、 Opti-MEMを更に加えてボリュームを200μlとします。混合の後、最初のウェルから100μlを取り、次のウェルに加え、混合し、100μlを取 り更に次のウェルに加える操作を4つのウェルで繰り返し、ウイルスの2分の1希釈系列を作成します。レンチウイルスが蛍光タンパク質をコードしている場 合、計測可能な蛍光細胞を含むウェルが容易に同定できます。それぞれの感染細胞はトランスデューシングユニットを表します。レンチウイルスが蛍光タンパク 質をコードしていない場合、細胞を固定し、形質導入細胞を同定するために免疫蛍光法を使用します。
レンチウイルスの至適な生産における第一のステップは、変動とダウンストリームでの細胞毒性の原因となる成分を除去するための調製ステップを加えること でした。我々は低および無血清成分で維持しやすく、最大レベルのレンチウイルスを生産する細胞株(HEK-293FT細胞)を同定しました。Opti- MEMは動物由来成分を含むため、それ以外の化学的成分が同定された、CD-293とFreestyle-293(Invitrogen)と呼ばれる、2 種類の培地成分も使用しました。CD-293培地に置き換えた場合は20%、Freestyle-293では80%のレンチウイルス生産の減少を経験しま した(データ未掲載)。
従来のリン酸カルシウム法によるトランスフェクションは毒性があり、細胞が剥離する問題があり、更なる培地交換の必要がありました。ウイルス生産の間に 剥離する細胞と死細胞は細胞内の成分を放出し、これがウイルス粒子と共濃縮されることで、ウイルス調製品が毒性成分を含むことになります。我々は FuGENE® HDトランスフェクション試薬が、低血清に改変されたHEK-293FT細胞へ、ウイルス生産に必要な4種類のプラスミドを100%の効率でコトランスフェクションすることを見出しました。FuGENE® HDトランスフェクション試薬はリン酸カルシウム法とは違い、細胞の剥離や死を引き起こさず、断続的な培地交換は必要ありませんでした。
我々は細胞をクロロキンで前処理し、更に酪酸ナトリウムで処理することを通して、ウイルス生産とトランスフェクション効率の更なる最大化を模索しました (図1)。クロロキンは、リソゾーム内のpHを部分的に中性化することで、プラスミドを含むトランスフェクションコンプレックスの分解を減少させていると 考えられています。クロロキンは活性化プラスミドDNAの効果的濃度を増加させることにより、ウイルス生産において短期および長期的な利点をもたらしま す。転写活性に幅広い効果を持つ酪酸ナトリウムは、ウイルスプロモーターのアップレギュレーションとタンパク質生産のアウトプット能力のブーストの組み合 わせにより、ウイルス生産を増加させます。クロロキンと酪酸ナトリウム処理の組み合わせは、トランスフェクションされた細胞のウイルスアウトプットの制限 の最大化により、それぞれ単独の処理よりもウイルス生産を増加させます。
レンチウイルスのin vivoでの使用には特に高純度で高濃縮の調製品が要求されます。ここで述べたプロトコールで、必要な質のウイルスが生産されたかどうかを決定するために、eGFPをコードした2μlの4×1010 TUウイルスをマウスの新線条体の前方領域に注射しました(図2)。一週間後に、脳の切片を免疫組織化学(図2、パネルa)および免疫蛍光(図2、パネルb)で分析しました。注射針を刺した部位の回りと線条体における広い感染性と最小の毒性が、FuGENE® HDトランスフェクション試薬を使用して生産されたレンチウイルス調製品の高い品質を示唆しています。
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図1:FuGENE® HDトランスフェクション試薬を用いてのトランスフェクションとウイルス生産の至適化。
ウイルスを含む上澄をトランスフェクションの後、それぞれの表示の時間点で採取しました。p24タンパク質の濃度を市販のELISAキットで測定しました(Chlo = クロロキン、Butyr = 酪酸ナトリウム)。
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図2:高濃縮のレンチウイルスのマウス線条体へのデリバリー。
(a)注射針の周りのマウス線条体の前部分がDAB染色によりeGFPが染色されています。
(b)パネルaの注射部位から1 mm離れた線条体切片を採取し、eGFPタンパク質の蛍光を評価しました。
BIOCHEMICA2008 NUMBER3 (No112)
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