ヘルプコーナー:細胞増殖と細胞活性

Help Corner

一般:定義とテクニック

FAQ: 私の細胞の調子がいいかどうかをどのように測定できますか?
HelpCorner:通常、細胞の健常さを測定するためには2種類のパラメータが使用され、それらは生存活性と細胞増殖です。

生存活性はサンプル中の健常な細胞の数と定義されます。分裂しない細胞(初代細胞など)を分離し、これらの細胞集団の至適な培養条件を決定する際に、生 存活性アッセイはしばしば有用です。生細胞数を測定するための最も有用で正統的な方法は、トリパンブルーなどの色素で細胞を染色し、血球計数板 (Neubauer hemocytometerなど)で数えることです。色素により、完全な膜を持つ健常細胞(未標識)と不健康な細胞(青色に染色)の区別が可能となりま す。また、切断により発色する不溶性(MTT)や可溶性(XTTやWST-1)のフォルマザン塩となる、テトラゾリウム塩などと細胞のインキュベーション による代謝活性の測定も可能です。WST-1はレディー・ツー・ユースの安定な製品です。

細胞増殖は分裂した細胞数の測定です。このパラメータを測定する方法の一つは感受性試験です。このアッセイにおいて、規定の細胞数を適切なマトリックス 上に播種し、増殖後に形成されたコロニーの数を計測します。このタイプの技術の欠点は、手技が煩雑で多数のサンプルには向かないことです。細胞増殖を分析 する別の方法はDNAの合成を測定することです。このアッセイでは、DNAを標識する前駆体(3H-チミジンやブロモデオキシウリ ジン)を細胞に加え、インキュベーション後にそのDNAへの取り込みを定量します。DNAに取り込まれた標識前駆体の量は、細胞集団のトータル標識DNA の測定や、顕微鏡による標識された核の検出により、定量化されます。細胞増殖はまた、間接的なパラメータを使用しても測定できます。これらの技術では、細 胞周期に関与する(または細胞増殖マーカーとも呼ばれる)分子が、その活性(CDkキナーゼアッセイ)や定量(ウェスタンブロット、ELISA、免疫組織 染色)により測定されます。

細胞増殖と生存活性を研究するための方法

FAQ: 生存活性を定量するための製品は何がお勧めですか?
HelpCorner:細胞増殖キットI(MTT)やII(XTT)および細胞増殖試薬WST-1がお勧めです。すべてのアッセイは接着および浮遊細胞で使用できます。MTT のみがすべての細胞で代謝されることにご注意ください。一つの実験で数回の測定をおこなうためには、XTTとWST-1が使用されます。

FAQ:  生存活性と増殖の同時測定は可能ですか?
HelpCorner:  DNA合成を測定する細胞増殖ELISA BrdUと、代謝活性を測定する細胞増殖試薬WST-1の同時使用の一例が、アポトーシス&細胞増殖マニュアルの88ページとBiochemica 3/2003年に記載されています。

FAQ: 増殖中の個別の細胞中のBrdU標識DNAを検出するためにどのキットを使うべきでしょうか?
HelpCorner:  BrdUラベリング&デテクションキットIかIIをお勧めします。両方のアッセイとも培養および新たに分離した細胞で使用できます。

FAQ:  細胞を二重染色するためにBrdUラベリング&デテクションキットIと他の抗体を組み合わせて使用できますか?
HelpCorner:  二重染色を行うためには、まず固定操作まではBrdUラベリング&デテクションキットのプロトコールに従います。次に第二の一次抗体を加えま す。洗浄の後、使用説明書に従い抗BrdU抗体を加え、次に二次抗体を加えます。原理的に、これは1ステップでできますが、第二の一次抗体に依存します。

FAQ:  細胞の活性化や増殖中のDNA合成を定量化するためにはどの製品を使用すべきでしょうか?
HelpCorner:  細胞増殖ELISA BrdU(発色あるいは化学発光)を使用すべきです。このアッセイの原理はBrdUで細胞をインキュベートし、BrdUの取り込み量を免疫検出で分析します。このアッセイは接着および浮遊細胞で行えます。

FAQ:  細胞増殖ELISA BrdU(発色)に関して、690 nmのリファレンス波長はどれくらい重要でしょうか? 二枚のフィルターを持つリーダーでの2つのオプションは差し引きと比率です。どちらを使用すべきでしょうか?
HelpCorner:  リファレンス波長の正確な波長値は大して重要ではありませんが、620 nmよりは長くあるべきです。試験波長である450 nmの値からリファレンス波長の吸光度を差し引きます。

FAQ:細胞増殖ELISA BrdUを使用した刺激インデックスを計算するための正しい数式は?
HelpCorner:三重測定の平均を計算し、各サンプル(刺激細胞)とネガティブコントロール(未刺激細胞)の値からバックグランド(細胞不含)の値を差し引きます。その 次に、サンプルの値をネガティブコントロールで割ります。得られたデータは、様々な試験の間で比較することができる相対値となります。

トラブルシューティング

FAQ:  刺激されたヒトリンパ球において細胞増殖ELISA BrdUを使用し、大変低い値しか得られませんでした。この低効率の原因は何でしょうか?
HelpCorner:  リンパ球の増殖を研究するために、細胞は刺激(成長因子、サイトカイン、マイトジェンなどで)されます。細胞数の増加は(ある特別なケースで)、リンパ 球の塊化を引き起こします。同じ由来の細胞はくっつき合い、培養皿中で凝集します。この効果はELISAシステムでの抗体の認識を妨げ、応答を低く評価さ せます。シグナルの変動を避けるために、BrdU標識期間の後で培地を除去する前に、注意深く細胞をピペッティングで再懸濁します。これにより、BrdU 標識物への抗体認識のための各細胞への近接性が等しくなります。
この問題はリンパ球などの懸濁細胞に影響します。この問題を接着細胞で経験した場合、浮遊細胞のために能書で記述されている通りに、標識が終わった後で標識培地を除去し、注意深くトリプシン処理して細胞を個別化し、マイクロプレートを遠心し、細胞を乾燥させます。

FAQ:  BrdUラベリング&デテクションキットIIを使用したときのバックグランドを減らす方法はありますか?
HelpCorner:  ほとんどの場合、バックグランドはプレートのプラスチックや不完全な洗浄ステップに原因があります。POD標識抗BrdU抗体は、ある種のプラスチック 材料に非特異的に結合します。常に非吸着性の滅菌平底マイクロプレート(NuncのMaxisorp、Coaster)を使用してください。抗体を加える 前に、PBS/1-5% BSAでの更なるブロッキングステップを行うこともできます。いくつかの細胞株では、高い細胞密度が抗体の非特異的な結合の原因となります。この場合は、 細胞数を減らすことがバックグランドの減少に役立ちます。

リファレンス

  1. Heath JR (2001) Principles of Cell Proliferation, Blackwell Publishing
  2. Hughes D et al. (2002) Cell Proliferation and Apoptosis, BIOS Scientific Publication
  3. Apoptosis and Cell Proliferation Manual, 3rd edition
    ( https://www.roche-applied-science.com/sis/apoptosis/docs/manual_apoptosis.pdf )

もっと多くのFAQはこちらを訪問してください。
www.roche-biochem.jp/faq

図1:代謝活性の測定アッセイの操作法。

表1:ロシュ・ダイアグノスティックスの細胞増殖研究用製品のアッセイ操作法の性質

パラメータ BrdUラベリング&デテクションキットI(蛍光) BrdUラベリング&デテクションキットII(AP) BrdUラベリング&デテクションキットIII(POD) 細胞増殖ELISA,BrdU(発色/化学発光) In situ細胞増殖キット,FLUOS(蛍光)
インキュベーションステップ 3 5 3 2 5
洗浄ステップ 4 4 3 1 3
ワーキング溶液 6(キット内に4) 7(キット内に5) 7(キット内に5) 4(キット内にすべて) 6(キット内に2)
アッセイ時間 2.5-3時間 3.0-3.5時間 2.5-6時間 1.5-3時間 3.0-4.0時間
インキュベーション温度 -20℃:固定
37℃:インキュベーション
-20℃:固定
室温:基質のインキュベーション
37℃:その他のインキュベーション
-20℃:固定
室温:基質のインキュベーション
37℃:ヌクレアーゼのインキュベーション
37℃:標識
室温:固定、抗体と基質
4℃:固定
37℃:標識
室温:変性
利点 Non-RI
二重標識が可能
S期の細胞の定量検出
Non-RI
二重標識が可能
Non-RI
高感度
Non-RI
高感度短いアッセイ時間高い正確性(低い標準偏差)直線性のある測定
Non-RI
短いアッセイ時間
S期の細胞の定量検出
BIOCHEMICA2008 NUMBER2 (No111)

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