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Michael Krypuy1, Tomasz K. Wojdacz2, and Alexander Dobrovic1,3
1Molecular Pathology Research and Development Laboratory, Department of Pathology, Peter MacCallum Cancer Centre, Melbourne, Australia; 2Institute of Human Genetics, University of Aarhus, Denmark; 3Department of Pathology, University of Melbourne, Parkville, Australia
*Corresponding authors: alexander.dobrovic@petermac.org, wojdacz@humgen.au.dk, michael.krypuy@petermac.org
LightCycler® 480は、分子生物学の研究における用途の広いプラットフォームです。我々は、LightCycler® 480 High Resolution Meltingマスターを使用したメチル化感受性高解像能融解曲線分析(methylation-sensitive high resolution melting: MS-HRM)法に基づいたDNAメチル化解析を行い本機器のパフォーマンスを検討しました。そして本機器がMS-HRM法を使用して、DNAメチル化の 研究を迅速でハイスループットに行うことが可能な強力なプラットフォームであることを確認しました。
メチル化DNAとは、5位炭素原子にメチル基が付加された5-メチルシトシンとグアニン(CpGジヌクレオチド)が連続したDNAです。パリンドローム 構造を持つCpGジヌクレオチドは、細胞分裂時にDNAメチルトランスフェラーゼ I によりメチル化情報が半保存的に複製されます。ヒトゲノム中には、CpGアイランド[1]と呼ばれるCpGジヌクレオチドが比較的高密度に分布する領域の 存在が知られています。
がんにおいては、ゲノム中のメチル化領域の状態が変化していることが知られています[2]。通常メチル化されている領域が非メチル化されたり、非メチル 化領域がプロモーター領域のCpGアイランドのように高度にメチル化されたりしています。そしてメチル化による影響が染色体の構造に変化をもたらし、遺伝 子サイレンシングをもたらします。腫瘍の進行に関するDNA修復、細胞周期の制御、アポトーシスなどの重要な遺伝子が、プロモーターのハイパーメチル化に より繰り返しサイレンシングを受けます。腫瘍中の任意の遺伝子のDNAのメチル化状態が変化すると生物学的に影響を与えます。そのため迅速でハイスルー プットにDNAのメチル化を調べることは、研究者や臨床医師にとって価値あるものになってきています。
メチル化感受性高解像能融解曲線分析(MS-HRM)は、領域特異的DNAメチル化の検証に適したテクニックです[4]。メチル化および非メチル化領域 を共に増幅するデザインのプライマーを使用して、bisulfite(亜硫酸水素塩)処理したDNAの目的領域をPCRで増幅します。bisulfite 処理したDNAの非メチル化シトシンはウラシルへ変換されますが5メチル化シトシンは変換されず、その後のPCRで目的領域のメチル化状態を確認すること ができます。MS-HRMでは、飽和型DNAインターカレート色素の存在下でPCRを行い、テンプレートのメチル化または非メチル化のバリアントを増幅後 に高解像能融解曲線(HRM)分析により決定します。増幅された産物の融解曲線の波形の相違は、サンプル中に存在するメチル化の相違を表しています。既知 のメチル化および非メチル化DNAをコントロールとして使用すれば、サンプル中のメチル化の存在比を評価することが可能です。
MS-HRMは、優れた温度均一性と綿密な融解温度管理が可能なリアルタイムPCR機器を必要とします。我々は、LightCycler® 480 High Resolution Meltingマスターミックスを使用してプロモーターのメチル化に関与していると知られている2つのDNA修復遺伝子であるFANCFおよびMGMTについてMS-HRMアッセイのパフォーマンスを検証しました。
100%メチル化コントロールDNAとして、CpGenome Universal Methylated DNA(Chemicon, Millipore)を使用しました。また、非メチル化コントロールとして健常な末梢血単核細胞から抽出したDNAを使用しました。テストサンプルとして 様々なセルラインのDNAを使用しました。MethylEasyキット(Human Genetic Signatures)を使用して説明書に従って、bisulfite処理した各DNAサンプル1 μgを最終容量100 μlに溶解しました。メチル化スタンダードは、100%メチル化コントロールDNA(bisulfite処理済み)を用い、ノーマルDNA(非メチル化、 亜硫酸水素処理済み)で、50%、25%、10%、5%、1%の比率で段階希釈したものを調製しました。
プライマーは、WojdaczとHansen [5]に従ってデザインしました。MGMT遺伝子のMS-HRMアッセイプライマーの配列は[4、5]に示しました。FANCF遺伝子のMS-HRMアッ セイプライマーの配列は、筆者へ問い合わせください。DNAインターカレート色素を含むLightCycler® 480 High Resolution Meltingマスターミックスを使用し、反応容量10 μl として96ウェルのLightCycler® 480 プレートで反応させました。反応溶液の組成は、1 x LightCycler® 480 High Resolution Meltingマスターミックス、200 nmol/lの各プライマー、1 μl のbisulfite処理したDNA、FENCE遺伝子については最終濃度2.5 mmol/l、MGMT遺伝子については4 mmol/lのMgCl2 としました。すべての反応は2重測定しました。2つのアッセイのPCRサイクル条件は次のとおり:SYBR Green I 検出フォーマットにて、95℃10分 x 1サイクル、95℃10秒-58℃20秒-72℃20秒 x 50サイクル、HRMのステップとして、95℃ 1分、50℃ 1分、72℃5秒の後、95℃へ向かって1℃につき30回、連続して蛍光を取得しました。
LightCycler® 480を使用して取得した融解曲線データは、微分プロットに変換してピークとして表示する “Tm calling” アルゴリズムにより解析し、メチル化または非メチル化サンプルを区別しました。図1は、メチル化DNA由来の増幅産物にはCpGが含まれるためより高い Tm値を示し、逆に非メチル化DNA由来の増幅産物で、bisulfite処理により非メチル化CがUに変換されている増幅産物にはTが含まれるためより 低いTm値になることを示しています。メチル化および非メチル化DNAが混合しているものには、メチル化スタンダードが示しているように2つのピークが見 られます。
高解像能融解曲線データを解析するもうひとつの方法として、LightCycler® 480 Gene Scanningソフトウェアがあります。このソフトウェアでは、増幅後のPCR産物量の差により生じるサンプル間の蛍光シグナルレベルの違いを補正しま す。標準化された融解曲線データを直接比較したり、既知のメチル化と非メチル化テンプレートを混合したスタンダードの融解曲線データとの相似性から、未知 サンプルDNAのメチル化レベルを評価することができます(図1)。
どちらのMS-HRMアッセイにおいても非メチル化DNAのバックグラウンドに対して1%のメチル化DNAを検出することができました。図1は、この実 験におけるプライマーアニーリング温度(58℃)において、MGMT MS-HRMアッセイの方がFANCFアッセイよりの低頻度のメチル化スタンダードがより明確に分離されたことを示しています。別の検証実験より、プライ マーアニーリング温度を上げることでメチル化が低頻度でもMS-HRMの解像能を高くすることが可能です[4]。図2は、MS-HRMアッセイにより様々 なセルラインについてFANCFおよびMGMT遺伝子のメチル化をスクリーニングした結果を示しています。図2aは、FANCF遺伝子についてのスクリー ニングにおいて、サンプルおよび100%のメチル化コントロールの融解曲線データの比較し、9つのセルラインでは変化が見られず卵巣がんのセルライン 2008のみでメチル化が見られたことを示しています。図2bは、乳がんのセルラインMDA-MB435のMGMT遺伝子がメチル化を受けていることを示 しています。これらのサンプルのデータは、100%メチル化コントロールのデータと類似性が高いため、アンプリコン中のすべてのCpGサイトがメチル化さ れていることが示唆されます。興味深いことにHS578T乳がんセルラインでは、融解曲線データが非メチル化およびメチル化と明らかに異なっています。こ のデータは実験対象の領域のメチル化がヘテロ型であるという特徴を示しています。このようなメチル化の変化により、ヘテロ型2本鎖が形成されるとPCR産 物は完全非メチル化サンプルよりも低い温度で融解しはじめ、非メチル化サンプルと交差して、メチル化レベルの高いホモ型2本鎖の完全メチル化コントロール のデータの方へと向かうデータとなります。
MS-HRMでは、プライマー間のアンプリコン全体のメチル化を検証することが可能です。1反応中で行える閉鎖系の方法であるため、メチル化検証の予備 実験を非常に迅速に行うことが可能です。CpG領域特異的なメチル化情報の詳細を検証するには、bisulfiteシーケンス法が有用です。
我々は、LightCycler® 480 High Resolution MeltingマスターミックスとLightCycler® 480機器の組み合わせが、DNAのメチル化研究において迅速でハイスループットにメチル化感受性高解像能融解曲線分析(MS-HRM)を行うための非常に有用なプラットフォームであることを確認しました。
| 製品名 | 製品番号 | 包装単位 | 希望価格 |
|---|---|---|---|
| LightCycler® 480インスツルメント |
4 640 268 4 545 885 |
1台(96well) 1台(384well) |
ご照会 ご照会 |
| LightCycler® 480 Gene Scanningソフトウェア | 4 980 336 | 1パッケージ | ←製品番号をクリック |
| LightCycler® 480 High Resolution Meltingマスター | 4 909 631 | 500反応分 | ←製品番号をクリック |
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図1:(a)FANCF遺伝子のMS-HRMアッセイ。100%メチル化および非メチル化コントロールと、50%、50%、 25%、10%、5%、1%のメチル化スタンダード。データは ”Tm calling” および “Gene Scanning” ソフトウェアで解析しました。(b)MGMT遺伝子のMS-HRMアッセイ。100%メチル化および非メチル化コントロールと、50%、50%、25%、10%、5%、1%のメチル化スタンダード。データは ”Tm calling” および “Gene Scanning” ソフトウェアで解析しました。
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図2:(a)FANCF遺伝子のMS-HRMアッセイ。卵巣がんセルライン2008においてDNAメチル化が見られます。(b)MGMT遺伝子のMS-HRMアッセイ。乳がんセルラインMDA-MB435およびHS578においてメチル化が見られます。
BIOCHEMICA2008 NUMBER1 (No110)
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