トランスフェクションテクノロジーの進歩:PCRコンストラクトでのFuGENE® HDトランスフェクション試薬の使用

Protein Expression Corner

Jay Wang, susan Calvin, Simone Pitz, and Linda Jacobsen
Roche Applied Science, Indianapolis, USA; Roche applied Science, Mannheim, Germany

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製品名 製品番号 包装単位 希望価格
FuGENE® HDトランス
フェクション試薬
4 709 691
4 709 705
4 709 713
0.4 ml
1 ml
5×1 ml
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イントロダクション

分子生物学における最近の進歩により、ゲノムシークェンスを構築し、これらの配列により作られるタンパク質を評価することが可能になりました。その機能 や保持しているシークェンスの変化の効果が評価されたゲノム部位は増加し続けています。このような研究には、ゲノムの未知の領域の機能の試験や、タンパク 質の機能や他の分子への結合が影響を受けるかどうかを見るための、特定部位中のシークェンスに変異を入れることなどが伴います。これらのケースで、トラン スフェクションのためにプラスミド全体を使用することは煩雑で、また時間のかかるクローニング、増幅、プラスミドの精製などを必要とします。多数の変異体 を試験する場合、PCR産物を直接使用することがより簡便で、対象のシークェンスが同定されるとプラスミド構築が一度ですみます。

我々は、FuGENE® HDトランスフェクション試薬がPCR断片を細胞内に導入し、トランスフェクションされた遺伝子配列の高い発現が提供できるかどうかを決定するための一連 の実験を行いました。基底(ベースライン)のコントロールとして設定されたプラスミドと同様の結果が直鎖断片でも得られました。PCRコンストラクトは市 販のキットで作成しました。このコンセプトを実証するために、以下の評価を行いました。
何パーセントの細胞が対象のタンパク質を発現するか?
単一細胞で産生されるタンパク質のレベルは、トランスフェクション細胞を可視で検出するために十分か?
標準的なプラスミドベクターでのトランスフェクション効率と比べると?

材料と方法

細胞

ウェル当り5,000個のHeLa(ATCC® CCL-2)細胞をトランスフェクションの前日に播種しました。これは通常この細胞株で推奨されるよりも低密度ですが、個々の細胞での発現を観察するために使用しました。

プラスミド

gWIZ-GFP(GeneTherapy System P 040400)とpGL3ルシフェラーゼレポーターベクター(Promega E1741)をこれらの実験に使用し、gWIZ-GFPはXho Iで直鎖化し精製しました。

トランスフェクション試薬

FuGENE® HDトランスフェクション試薬とGenePORTER®トランスフェクション試薬(epiTAP Express®キット、GeneTherapy System TAP 010220内に同梱)を、それぞれのメーカーの説明書に従い使用しました。

PCR産物

PCR産物は、epiTAP Express®キット中の二つのプラスミドに組み込まれた遺伝子を使用して調製しました(図1)。

コンプレックスの形成

試薬:DNAコンプレックスは使用説明書に従いFuGENE® HDトランスフェクション試薬を使用して形成しました。プレートのレイアウトデザインは、アプリケーションノートNo. 3をガイドラインとして、行いました。PCRコンストラクトは今まで試験されたことはありませんので、試す比率の幅を拡げました。推奨に従い、様々な量の コンプレックスを細胞に加えました。すべての核酸(環状プラスミド、直鎖プラスミド、PCR産物)は同じプロトコールで、丸底96ウェルプレート中で調製 しましたが、DNAと試薬の比率は様々でした。

PCRコンストラクトを使用してコンプレックスを形成したとき、使用するPCRコンストラクトの量に限りがあるため、25μlのコンプレックスのみを調製しました(通常の100μlの代わりに)。epiTAP Express®キットに含まれるGenePORTER®トランスフェクション試薬を、キット中の使用説明書に従い使用しました。

トランスフェクションプロトコール

1.プラスミドあるいはPCRコンストラクトをそれぞれ20μg/mlと40μg/mlに希釈し調製し、混合のために短くボルテックスします。必要な容量を計算します。
2.新しい組織培養用96ウェル丸底プレートの2列にDNAを加えます
3.様々な比率で調製するために、新しい組織培養処理済96ウェル丸底プレートの2列に2-10μlのFuGENE® HDトランスフェクション試薬を加えます(表1:試薬とDNA比のリスト)。
a.ピペットチップを直接希釈したプラスミドに差し入れ、ピペットを15回上下することでウェルの内容物を穏やかに撹拌します。
b.すべてのコンプレックスを形成するときは、しっかりと撹拌するために15-30秒間プレートをオービタルシェイカー上に置きます。プレートを室温で10-15分間インキュベートします。
4.細胞プレートをインキュベーターから出し、様々な量のコンプレックス(ステップ3より)を細胞の入ったウェルに加えます(表1のように7μl、5μl、3μl、1μl)。
a.コンプレックスを直接培地に加え、細胞を損傷しないように十分撹拌します。
b.十分に撹拌するために、細胞プレート(コンプレックスを加えた)を15-30秒間、オービタルシェイカー上に置きます。
5.細胞プレートを観察およびアッセイまでインキュベーターに静置します(24時間か48時間)。

結果

環状および直鎖gWIZ-GFPプラスミドのトランスフェクション

標準的な環状プラスミドは、直鎖より高いレベルのトランスフェクション結果でした(図2)。細胞は様々な量のタンパク質を発現しました。ほとんどのHeLa細胞は、FuGENE® HDトランスフェクション試薬を使用して環状プラスミドをトランスフェクションしたとき、いくつかの発現レベルを見せました。直鎖プラスミドで形成された コンプレックスは少ない発現レベルの結果となりました。直鎖プラスミドでトランスフェクションされた細胞の3分の1以下で発現GFPが可視化されました。

gWIZ-GFP PCR産物のトランスフェクション

図3に見られるように、PCR産物を直接のトランスフェクションに使用したとき、蛍光顕微鏡での観察では、各細胞で十分な量のGFPが産生されていまし た。この単純な至適実験においてさえ、3分の1の細胞でのタンパク質発現が十分に可視化される条件が見つかりました。PCRコンストラクトのコンプレック スでは、GenePORTER®よりもFuGENE® HDトランスフェクション試薬の方がトランスフェクション効率も、発現も高いことが観察されました(データ未掲載)。FuGENE® HDでトランスフェクションされたHeLa細胞は、形態学的にもコントロール細胞と同様に見えました。

ルシフェラーゼプラスミドとPCR産物のトランスフェクション

PCRコンストラクトでのトランスフェクション効率をGFPにより可視化した後で、ルシフェラーゼを使用して発現の差異を定量しました(図4)。 pGL3コントロールベクターをルシフェラーゼ遺伝子の増幅のテンプレートとして使用し、PCRコンストラクトをepiTAP Express®システムで作成しました。ルシフェラーゼの発現レベルの比較はトランスフェクションの24時間後に行い、FuGENE® HDでのトランスフェクションでは、PCRコンストラクトはpGL3ベクターよりも高いレベルを示しました。ウェル当り10,000個の細胞の方が5,000個の細胞よりも高い発現を見せました。また、FuGENE® HDのほうがGenePORTER®よりも発現が高くなりました。

討論と結論

FuGENE® HDが環状、直鎖プラスミドおよび遺伝子と調節シークェンスを含むPCR産物を導入できることを示しました。細胞での発現レベルは3種類のDNAの導入後、蛍光顕微鏡で容易に観察できるほど、十分なGFP発現量でした。

直鎖化プラスミドはしばしばステーブルトランスフェクションに使用されますが、その発現は環状プラスミドよりも低いとされています。我々は、環状プラス ミドでの発現が最も高いのですが、直鎖プラスミドおよびPCRコンストラクトもほぼ同様の発現であることを見出しました。

この実験に使用したGFPベクターは非常に強力なCMVプロモーターを含んでいるため、PCRコンストラクトの低レベルの発現は、コンストラクトの導入 よりも調節因子の問題と思われます。この推測は、ルシフェラーゼPCRコンストラクトよりも弱いプロモーターを持つ、ルシフェラーゼプラスミドによる結果 に基づいています。

ルシフェラーゼで行われた実験において、FuGENE® HDは十分な量のpGL3由来PCRコンストラクトを導入でき、HeLa細胞におけるルシフェラーゼ発現は環状プラスミドよりも高いものでした。これは pGL3コンストラクト自身に原因があるようです。我々は以前、pGL3の発現レベルはpM1-ルシフェラーゼなどの他のベクターの10%しかないことを みいだしています(データ未掲載)。PCRコンストラクトの調節因子を改良することにより、タンパク質発現は増加するでしょう。PCRコンストラクトの細 胞への直接トランスフェクションは、タンパク質発現の探索に新しい道を開きます。DNAシークェンスの1個あるいは数個の塩基変化が、タンパク質レベルで より迅速に試験できます。FuGENE® HDトランスフェクション試薬は、このアプリケーションのための素晴らしい試薬です。その発現レベルは従来の発現ベクターと同等で、GenePORTER®よりも高い発現が得られます。

リファレンス

  1. FuGENE® HD Transfection Reagent Application Note No. 3 / November 2006, “Protocol for optimizing transfection of adherent cell lines”

表1:細胞に加えるコンプレックスの比率と量。
星付きの列は細胞プレートに加えるコンプレックスの比率を表しています。表では1-12の番号列が加えるコンプレックスを表しています。
第1列は細胞コントロールとして使用します。2-5列(黄色)は標準的な試薬:DNA比とコントロールで、6-9列(緑色)は拡張した比率です。
第10列はGenePORTER®を使用したPCRコンストラクト用で、11と12列はFuGENE® HDを使用したプラスミドのデリバリー用に使用します。

*** 1 2 3 4 5 *** 6 7 8 9 10 11 12
試薬コントロール   7μl 5μl 3μl 1μl                
8:2   7μl 5μl 3μl 1μl 10:2 7μl 5μl 3μl 1μl      
7:2   7μl 5μl 3μl 1μl 6:4 7μl 5μl 3μl 1μl      
6:2   7μl 5μl 3μl 1μl 5:4 7μl 5μl 3μl 1μl      
5:2   7μl 5μl 3μl 1μl 4:4 7μl 5μl 3μl 1μl      
4:2   7μl 5μl 3μl 1μl 3:4 7μl 5μl 3μl 1μl      
3:2   7μl 5μl 3μl 1μl 2:4 7μl 5μl 3μl 1μl      
DNAコントロール   7μl 5μl 3μl 1μl                

図1:epiTAP Express®キットに従いHeLa細胞へのデリバリー用のPCRコンストラクトを調製。

図2:標準的なプラスミドをトランスフェクションして2日後のHeLa細胞の顕微鏡写真。
上の図は、5,000個/ウェルに播種され8:2の比率と5μlでトランスフェクションされたHeLa細胞の(a)位相差と(c)蛍光顕微鏡写真。ウェル 中での最終量は0.4μlの試薬と0.1μgの環状プラスミド。下の図は、5,000個/ウェルに播種され8:2の比率と7μlでトランスフェクションさ れたHeLa細胞の(b)位相差と(d)蛍光顕微鏡写真。ウェル中での最終量は0.56μlの試薬と0.14μgの直鎖プラスミド。

図3:PCRコンストラクトをトランスフェクションした翌日のHeLa細胞の顕微鏡写真。
上の図は、3:4の比率と7μlのFuGENE HDでトランスフェクションされたHeLa細胞の(a)位相差と(c)蛍光顕微鏡写真。下の図は、4:2の比率と5μlでトランスフェクションされたHeLa細胞の(b)位相差と(d)蛍光顕微鏡写真。

図4:ルシフェラーゼの発現。5,000個/ウェルに播種されさまざまな試薬およびDNA量でトランスフェクションされたHeLa細胞。

試された材料:
-左 :FuGENE® HDでトランスフェクションされたPCRコンストラクト
-中央:GenePORTER®でトランスフェクションされたPCRコンストラクト
-右 :FuGENE® HDでトランスフェクションされたpGL3ベクター

BIOCHEMICA2007 NUMBER4 (No109)

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