マススペクトロメトリー分析のための酵素によるタンパク質の切断

Protein Expression コーナー

Kairat Madin, Sylvia Hermann, Claudia Kirr, Doris Schmit, and Thomas Koch
Roche Applied Science, Penzberg, Germany

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製品名 class="center" width="22%"> 製品番号 包装単位 class="center" width="22%"> 希望価格
エンドプロティナーゼAsp-N、シークェンスグレード 1420488
1054589
2μg
3×2μg
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エンドプロティナーゼLys-C、シークェンスグレード 1420429
1047825
5μg
3×5μg
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トリプシン、プロテオミクスグレード 3708985
3708969
4×25μg
4×100μg
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イントロダクション

プロテオミクス研究における主要な焦点は、生物的試料中のタンパク質群の同定です。生物的試料(細胞ライセート、血液、組織、タンパク質複合体)から免 疫沈降やアフィニティークロマトグラフィー、二次元電気泳動などで単離及び分離されたタンパク質は、同定や特徴付けのためのサンプル調製において、タンパ ク質の切断を行う必要があります。切断したタンパク質の再現性のある切断パターンは、マススペクトロメトリー(MS)によるタンパク質の明瞭な同定に必須 のものです。ここに記述した研究の目的は、シークェンスグレードのエンドプロテアーゼがマススペクトル分析に応用可能であることを示すことです。ここで は、トリプシン、Lys-C、Asp-N、Arg-Cなどのシークェンスグレードのエンドプロテアーゼの基質としてしばしば使用される、2種類のタンパク 質のMS分析の結果を示します。この研究において使用されたエンドプロテアーゼが、高特異性、純度、ロット間差の無さなどに基づき、MSによるタンパク質 分析における優れたツールであることを見出しました。

材料と方法

試薬

リゾチーム、リコンビナントのグリーンフルオレッセントタンパク質(rGFP)、エンドプロテアーゼLys-C、Arg-C、Asp-N(シークェンス グレード)、トリプシン(プロテオミクスグレード)、及びその他の主要試薬はロシュ・ダイアグノスティックスの製品を使用しました。

エンドプロテアーゼによる消化

リゾチームとrGFPは1 mg/mlの終濃度で水に溶解しました。還元アルキル化のために、タンパク質サンプルをDTTで還元し、次にヨードアセトアミドでアルキル化しました。消 化のために、1μgのエンドプロテアーゼと100μgのタンパク質サンプルを常にミックスしました(1:100)。エンドプロテアーゼの夾雑を試験するた めに、10倍量のエンドプロテアーゼを使用しました(1:10)。消化反応は通常は37℃で16時間ですが、インキュベーション時間を短くした実験ではわ ずか1時間でした。安定性試験のために、エンドプロテアーゼを基質をいれずに25℃で24時間インキュベートしました。その後、基質を加え、37℃で16 時間インキュベートしました。

二次元電気泳動

8 M尿素、2% CHAPS、還元剤、痕跡量のブロモフェノールブルー、ZOOMキャリアーアンフォライト(Invitrogen)でリゾチームとrGFPを希釈すること で、等電点電気泳動のために変性し、可溶化しました。タンパク質を含む140μlの親水化溶液をZOOMゲルストリップと1時間、受動的にインキュベート しました。IEFはZOOM Dual Powerパワーサプライを使用し、ZOOM IPGRunnerシステムで行いました。
この後、IEFストリップを2次元目の4-12% Bis-Tris ZOOMゲルにアプライし、標準的な条件で流しました。2次元目のゲルのスポットをSimplyBlue SafeStainで染色し、切り取った後で30%アセトニトリル中の0.1 M ammoniumhydrogencarbonateで脱色し、還元アルキル化を行いました。
ゲル中のタンパク質をサンプル当り0.28μgのエンドプロテアーゼにより暗所、37℃で16時間消化しました。ペプチドを20%アセトニトリル、0.1% TFA、1.3 mM Trisを含む溶液で抽出し、MALDI分析を行いました。

MALDI-TOFマススペクトロメトリー

マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)飛行時間型(TOF)マススペクトルを、リフレクターポジティブイオンモードにおいて Brucker Reflex Ⅲ(Brucker Daltonics)上で集積しました。MALDI分析の前に、サンプルをZipTip μ-C18ピ ペットチップ(Millipore)を用いて脱塩し、MALDIマトリックス(70%アセトニトリル、0.03% TFA中10 mg/mlのα-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸)を使用して、MALDIターゲット上に直接溶出しました。マスプロファイルの同定は、 PeptideMassソフトウェア(http://us.expasy.org/tools/peptide-mass )を使用して理論的に作成されるデータと比較することで実行しました。

結果と考察

プロテオミクス解析の主な焦点はタンパク質の同定です。溶液やゲル中のサンプルの消化と現代のマススペクトロメトリー解析の組み合わせは、複雑なタンパ ク質混合物の解析における強力なツールです。一般的に、マススペクトロメトリー実験は5つの一般的なステップより構成されます:1. タンパク質の分離;2. タンパク質のペプチドへの酵素的消化;3. MS解析用のサンプル調製;4. MSスペクトラムの作成;5. タンパク質シークェンスデータベースや予想されるリファレンスペプチドマスとの比較による、得られたペプチドマスプロファイルの同定。
ペプチドマッピングやタンパク質の構造ドメインを同定するために使用されるプロテアーゼは非常に特異的な切断特性を持ち、非特異的なプロテアーゼなどの 夾雑活性が無いことが特に重要です。それゆえ、プロテオーム研究では高純度の特異的なエンドプロテアーゼの使用が要求されます。

ロシュ・ダイアグノスティックスのシークェンスグレードプロテアーゼは高度に精製された酵素で、夾雑プロテアーゼ活性を除去するために更に精製されてい ます。長時間の消化操作の間も高活性を維持しています。エンドプロテアーゼAsp-N、Lys-C、トリプシンは酵素的タンパク質消化で最も頻繁に使用さ れます。

この実験のゴールは、シークェンスグレードプロテアーゼが、タンパク質のマススペクトメトリー解析に使用できることを示すことでした。溶液及びゲル中での消化にエンドプロテアーゼが適するか、及び酵素の高い純度と安定性を確認するための試験を意図しました。

エンドプロテアーゼの安定性を示すために、リゾチームやrGFPを1:100の比率で添加する前に25℃で24時間、酵素を溶液中でインキュベートしま した。基質の添加後、消化反応を37℃で16時間行いました。エンドプロテアーゼAsp-Nで消化されたリゾチームのMALDI-TOF分析に従い、同定 されたピークと予想とマッチしたシークェンスを比較しました。図1に見られるように、100%のシークェンスカバー率が得られました。リゾチームの場合 は、Lys-C及びArg-Cでも100%のカバー率が得られ、トリプシンは95%でした。rGFPを基質とした場合、Lys-Cは86%、Asp-Nは 72%、トリプシンは79%のシークェンスカバー率でした。

また、標準的な条件での1:100の比率でのrGFP消化では、図2に示すようにトリプシンで77%、Asp-Nで72%、Lys-Cで78%のカバー 率を達成しました。エンドプロテアーゼ中のコンタミネーションを試験するために、リゾチームとrGFPを10倍量のエンドプロテアーゼ(1:10)とインキュベートしました。MS分析では余分なピークは見られませんでした(データ未掲載)。

これらのエンドプロテアーゼの効率を更に示すために、トリプシンとLys-Cでインキュベーション時間を短縮した実験を追加しました。わずか1時間のインキュベーションで消化を行いましたが、結果は両者とも100%のシークェンスカバー率を達成しました(図3)。

最後に、ゲル内消化へのエンドプロテアーゼの適合性を示すため、リゾチームとrGFPを二次元電気泳動にかけました。ゲルのスポットを切り取り、脱色後 に消化反応のために調製しました。消化反応は暗所で16時間(オーバーナイト)、シェーカー上でインキュベートしました。その次に抽出溶液を加えて遠心し た後、ペプチド消化物をMALDIにより解析しました。図4はリゾチームをトリプシンで消化した結果を示し、期待されるペプチドマススペクトルが、 PeptideMassソフトウェアで予想されるピークとマッチしていることを示しています。他の酵素のシークェンスカバー率は;トリプシンとLys-C で84%、Asp-Nで100%、Arg-Cで98%でした。rGFPではトリプシンで75%、Lys-Cで74%のシークェンスカバー率でした。

まとめ

この研究において、ロシュ・ダイアグノスティックスのエンドプロテアーゼトリプシン、Lys-C、Asp-N、Arg-Cはマススペクトロメトリー分析 において、高い特異性と品質を持つことを、明瞭に示しています。これらには不純物は含まれず、制御された条件下でタンパク質を同定するためのペプチドの作 成に有用な分析ツールです。酵素は非常に安定で、また再懸濁バッファーの調製を必要としないため、サンプル調製の時間を減らすことができます。

リファレンス

  1. Medzihradszky K (2005) Methods Enzymol 402:50-65
  2. Aebersold R. Mann M (2003) Nature 422:198-207

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製品名 製品番号 包装単位 希望価格
エンドプロティナーゼArg-C、シークェンスグレード 1370529 3×5μg
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エンドプロティナーゼGlu-C(プロテアーゼV8)、シークェンスグレード 1420399
1047817
5μg
3×5μg
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rGFP 1814524 50μg
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リゾチーム 837059 10 g
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図1:エンドプロテアーゼAsp-N、シークェンスグレードで消化されたリゾチーム。
Asp-Nは25℃で24時間プレインキュベートしました。リゾチームを加え、50 mMリン酸ナトリウムバッファー、pH 8.0中で37℃で更に16時間インキュベートしました(酵素:タンパク質比は1:100)。100%のシークェンスカバー率が得られました。

図2:トリプシン、プロテオミクスグレードで消化されたrGFP。
rGFPは25 mM Tris、1 mM EDTA、2 M尿素、pH 8.5のバッファー中で37℃で16時間消化されました(酵素:タンパク質比は1:100)。77%のシークェンスカバー率が得られました。

図3:エンドプロテアーゼLys-C、シークェンスグレードで消化されたリゾチーム。
リゾチームは25 mM Tris、1 mM EDTA、2 M尿素、pH 8.5のバッファー中で37℃で1時間消化されました(酵素:タンパク質比は1:100)。100%のシークェンスカバー率が得られました。

図4:トリプシン、プロテオミクスグレードでゲル内消化されたリゾチーム。
2D-電気泳動の後、タンパク質のバンドを染色により同定し、切り出した後に、2 mM Trisバッファー、pH 8.5中で37℃、16時間、トリプシン(ゲル片当り0.28μg)で消化しました。84%のシークェンスカバー率が得られました。

BIOCHEMICA2007NUMBER3(No108)

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