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Richard Molenkamp*, Alwin van der Ham, Janke Schinkel, and Marcel Beld
Academic Medical Center, University of Amsterdam, Department of Medical Microbiology, Laboratory of Clinical Virology, Amsterdam, The Netherlands
加水分解プローブや、モレキュラービーコンをはじめとする蛍光ラベルされたオリゴヌクレオチドを検出するリアルタイムPCR法において、1チューブ中で 多数のターゲットを同時に検出するマルチプレックスPCRの可能性は、最も注目されている方法の1つです。リアルタイムマルチプレックスPCRは、それぞ れのターゲットを、他のターゲットの影響(クロストーク)を受けたり、感度を落とすことなく、多数の異なるターゲット遺伝子を区別して検出し、定量的な結 果を得ることを目的としています。ラベル可能な蛍光物質の種類 [2] や、蛍光波長のオーバーラップの問題のために、2種類以上の定量的マルチプレックス反応は、困難で不可能な場合が多いという報告もあります [3]。
ロシュ・アプライドサイエンスより発売されたリアルタイムPCRプラットフォーム、LightCycler® 480システムは、マルチプレックスリアルタイムPCR解析にとても適したシステムです。LightCycler® 480システムは、スペクトル幅の広いキセノンランプを採用し、5波長の励起フィルタと6波長の検出フィルタを搭載しています。励起波長と検出波長は、最 小でも30 nm離れており、一般的によく使用されている蛍光物質の蛍光波長に合わせて選択することができます。これにより、異なるチャンネルのクロストークを最小限 にし、1サンプル中の複数のターゲットを定量的に検出することが可能になります。
今回の実験では、5種類の異なるDNAサンプル (プラスミド) のマルチプレックス検出を行い、LightCycler® 480機器とソフトウェアのパフォーマンスを紹介します。
それぞれ異なる配列を含んだ5種類の異なるプラスミドDNA (A~E) は、一般的な遺伝子クローニングの手法 [4] を用いて構築しました。それぞれのDNAを検出するためのリアルタイムPCRに使用する加水分解プローブは、それぞれ異なる蛍光物質でラベルしたものを作 成しました (表 1)。プラスミドDNAの段階希釈は、20 ng/μlの子牛胸腺DNAを添加した、TE(10 mM Tris-HCl、1 mM EDTA pH 8.0)を使用して調製しました。反応溶液は、10μlの2x 濃度の LightCycler® 480 Probe Master、900 nMのプライマー(フォワードおよびリバース)、200 nMの各加水分解プローブ、5 μlのプラスミドDNAを加えた、トータル容量20μlで調製しました。PCRのサイクル条件は、50℃2分、95℃10分の後に、95℃15秒と 60℃1分を45サイクルとしました。データは、LightCycler® 480ソフトウェアを使用し、Second Derivative Maximum法(Auto)にて解析しました。カラーコンペンゼーションファイル (Color compensation)は、LightCycler® 480オペレータマニュアルにしたがって作成しました。
表 1:検出フォーマット
| DNA |
アンプリコン の長さ(kb) |
蛍光色素 |
λ励起波長 (nm) |
λ測定波長 (nm) |
| A | 95 | Cyan 500/DB | 450 | 500 |
| B | 105 | 6FAM/BBQ | 483 | 533 |
| C | 146 | VIC/NFQ | 523 | 568 |
| D | 152 |
LightCycler RED 610/BBQ |
558 | 610 |
| E | 143 |
LightCycler RED 670/BBQ |
615 | 670 |
|
DB: Dabcyl, BBQ: BlackBerry Quencher, NFQ: non-fluorescent quencher. |
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5種類の異なるターゲットのそれぞれの反応(1対のプライマーと加水分解プローブを使用)は、ターゲットとなるプラスミドDNAをそれぞれ106~102コピーの範囲で10倍ずつ段階希釈したもので直線性を示すことが確認されました。5つの異なる波長のチャンネルのクロストークの程度を決定するために、すべての蛍光色素についてそれぞれに対応するチャンネル以外のチャンネルへの影響を調べました。LightCycler® 480オペレータマニュアルにしたがってカラーコンペンゼーションを行い、各項目においてクロストークは5 %以下であることが分かりました (データ非掲載)。すなわち、今回のマルチプレックス実験では、実際の蛍光強度の95 %以上を検出していることになります。5種類のターゲットは、それぞれのシングル反応において、特異的な反応でそのPCR効率は約2.0であることがあら かじめ確認されています。標準偏差(SD)は、非常に小さく(最大0.56、4重測定)、実験を行った濃度範囲において直線性を示しました(代表的な例を 図 1に示します)。本実験において検量線は、線形回帰分析に基づいて作成しました。
続いて、プラスミドDNA(A~E)を等量ずつ混和しました(104コピー/反応)。マルチプレックスPCRは、12重測定し、 クロッシングポイント(Cp)値の平均値を、それぞれのターゲットをシングル反応した際に得られた検量線にプロットしました。図 2は、実際の測定をして得られたCp値と予測されるCp値の比較を示しています。Cp値の実測値と予測値は、それぞれ最大0.6 の誤差で一致しています。これらのデータは、LightCycler® 480システムが1反応中で異なる5種類のDNAターゲットを十分に高い信頼性で検出可能であることを示しています。
各プラスミドDNAのマルチプレックスPCRの結果より、異なるDNA濃度の影響について興味深い結果が得られました。この実験では、各ターゲットDNA C、D、Eを等量ずつ105(サンプルシリーズ1)、104(サンプルシリーズ2)、103(サンプルシリーズ3)、102(サンプルシリーズ4)コピー/反応で混和しました。続いて、ターゲットDNA Aをそれぞれの反応液に最終濃度105、104、103、102コピー/反応ずつ加えました。たとえば、サンプル1.1には、ターゲットDNA A、C、D、Eが105コピー/反応ずつ含まれ、サンプル3.4には、ターゲットDNA C、D、Eが103コピー/反応、ターゲットDNA Aが102コ ピー/反応含まれているということになります。すべてのサンプルについてマルチプレックスPCRを行いました。結果の一例を図 2に示します。各濃度のターゲットAのCp値は、ターゲットC、D、Eの様々な濃度のバックグランドにもかかわらず大きな相違は見られませんでした。たと えば、サンプル1.4では、低濃度(102コピー/反応)のDNA Aが、バックグランドとなる高濃度(105コピー/反応)のターゲットC、D、E中に存在しています。この時のサンプルDNA AのCp値は約31以下でした。一方、サンプル4.4では、すべてのDNA量は、低濃度(102コ ピー/反応)でした。この時のサンプルDNA AのCp値は約30でした。DNA C、D、Eでは、Cp値は、各濃度で大きな誤差は見られませんでした。また、各濃度のターゲットDNA C、D、EのCp値は、ターゲットDNA Aの様々な濃度のバックグランドにもかかわらず大きな相違は見られませんでした。これらのデータは、すべてのターゲットにおいて検出感度を損なうことな く、約1000倍のターゲット濃度の範囲にわたって、高い信頼性での定量が可能であることを示しています。
PCR機器のスペックの違いに加えて、LightCycler® 480のソフトウェアは、他のリアルタイムPCRシステムとは異なり、生の蛍光データを分かりやすい結果にする解析が可能で、ユーザーによって任意の値を 設定できるCycle threshold方式を採用している他のリアルタイムPCRプラットフォームと比較して、増幅曲線全体を2次微分し、その最大値を算出しています。この 値(クロッシングポイント、Cp値)は、PCR初期の指数増幅期において、蛍光値の増加率が最大になったサイクル数を表しています。この2次微分 (Second derivative) のアルゴリズムを採用することで、蛍光値が比較的低い場合でも、より信頼性が高く再現性の高いデータを得ることが可能です。この2次微分最大値 (Second derivative maximum) アルゴリズムは、ここに示したようなマルチプレックスPCRにおいて優れた定性的・定量的データをもたらします。
表 2:DNA A~EのCp値の実測値と予測値
| 実測値a | 予測値b | ⊿Cp | |
| DNA A | 25.7±0.11 | 25.9 | 0.2 |
| DNA B | 27.0±0.21 | 27.3 | 0.3 |
| DNA C | 25.9±0.17 | 26.5 | 0.6 |
| DNA D | 25.3±0.16 | 25.7 | 0.4 |
| DNA E | 26.0±0.18 | 26.5 | 0.5 |
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a Cp値は12重測定の平均値。 b 標準曲線からのCp値の予測値。 |
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我々は、優れた機能を有するLightCycler® 480システムを使用して、1反応中で5種類の異なるターゲットDNAを高い再現性で検出することができました。これらのターゲットDNAは、バックグラ ンドとなるDNAが混合されている場合でも、単独で定量的に検出することができました。また、DNA濃度が1000倍の範囲にわたっていても、他のター ゲットDNAが大きく影響しないことが分かりました。これらの結果より、LightCycler® 480機器は、定量的マルチプレックスPCRのプラットフォームにふさわしいことを示しています。
Reprinted from Journal of Virological Methods, 141, Richard Molenkamp, Alwin van der Ham, Janke Schinkel, Marcel Beld, Simultaneous detection of five different DNA targets by real-time TaqMan PCR using the Roche LightCycler480: Application in viral molecular diagnostics, 205-211, Copyright (2007), with permission from Elsevier.
| 製品名 | 製品番号 | 包装単位 | 希望価格 |
|---|---|---|---|
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LightCycler® 480 インスツルメント |
4640268 | 1台 | ご照会 |
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LightCycler® 480 マルチウェルプレート96 |
4729692 |
5×10 プレート |
←製品番号をクリック |
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LightCycler® 480 シーリングフォイル |
4729757 | 50枚 | ←製品番号をクリック |
|
LightCycler® 480 プローブマスター |
4707494 4887301 4902343 |
5×1 ml 10×1 ml 1×50 ml |
←製品番号をクリック |
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図 1:ダイナミックレンジ。
(a) プラスミドDNA D(LightCycler® Red 610でラベルしたもの)を10倍ずつの段階希釈したものと、(b) プラスミドDNA E (LightCycler® Red 670でラベルしたもの)をそれぞれ単独にPCRし解析した。それぞれのPCR効率とr2値を表示している。
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図 2:マルチプレックスPCRにおける、サンプル中の異なるターゲットDNA濃度の影響。
濃度の異なるサンプルの構成を示した。サンプル中のそれぞれのターゲットDNA(A、C、D、E)を図中に示した。すべてのCp値は2重測定の平均値である。
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