High Pure PCR Cleanup Micro Kit:フレキシビリティの高い核酸精製キット

Gene Expression コーナー

Nina Lassonczyk, Constanze Stadler, Jenna Liedtke, and Horst Donner*
Roche Applied Sience, Penzberg, Germany
*Corresponding author:horst.donner@roche.com

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製品名 製品番号 包装単位 希望価格
High Pure PCR Cleanup Micro Kit 4983955 50回 ←製品番号をクリック
4983912 200回 ←製品番号をクリック

High Pure製品はマニュアル核酸精製用キットとして、多くの研究施設でご使用頂いています。これらの製品ラインナップは、ゲノムDNAやRNA、プラスミド DNA、酵素修飾核酸の精製まで多岐にわたります。すべての製品開発の目標は、必要な核酸精製キットの種類を減らし、様々なサンプルに最適なソリューショ ンを提供することにあります。

イントロダクション

High Pure Microフォーマットは、2006年にHigh Pure FFPE RNA Micro Kitで新しく開発したフォーマットです。このHigh Pure Microフォーマットは、少容量(10μl以上)の溶出が可能で、マイクロスケールで核酸を抽出・精製できます。高濃度で溶出できるため、精製後の濃縮 ステップは必要なくなります。

High Pure PCR Cleanup Micro Kit

High Pure PCR Cleanup Micro Kitは、ほぼすべての分子生物学ワークフローで使用されるアプリケーションであり、製品ラインナップを拡充します。このキットは、PCR産物や標識核 酸、修飾核酸を精製します。また、10年以上の長期にわたり確立されたスピンカラムの原理に基づいた製品で、迅速・簡単・便利に使用することができます。
複数のメーカーからPCR産物用や標識核酸用のさまざまな精製キットや、アガロースゲルからの核酸回収用キットが販売されていますが、High Pure PCR Cleanup Micro Kitは、これらすべてのサンプルに対応しています。100μlの液体サンプルに対するプロトコールと、100 mgのアガロースゲルスライスに対するプロトコールをご用意しています。

Binding BufferとBinding Enhancerにより、新しいレベルのフレキシビリティをご提供致します。Binding BufferとBinding Enhancerを最適な比率に混ぜ合わせることで、個々の実験に応じてバインディング特性を調節できます。Binding Enhancerの混合比率はカラムマトリックス上の結合効率に相関し、その混合比率に応じて収量やサイズ排除が異なります。実験によって、これらのパラ メーターの重要性は様々です。各実験における混合比率の推奨値は表1をご参照ください。標識核酸の精製や、プライマーダイマー除去の必要が無いPCR産物 の精製には、200μlのBinding Enhancerの添加を推奨します(オプション1)。プライマーなどの低分子オリゴヌクレオチドの除去には、300μlのBinding Bufferと100μlのBinding Enhancerのミックスを推奨します(オプション2)。シークエンス反応のためのPCR産物の精製には、Binding Enhancerを加えないことで、シークエンス反応に大きな影響を与えるプライマーやプライマーダイマーを完全に除去できます。Binding Enhancerを一切加えない場合、低分子核酸(プライマーやプライマーダイマーなど)を最大限に除去できます(オプション3)。

表1:セレクションガイド

100μlの液体サンプル、または
100 mgのアガロースゲルスライス
オプション1
Binding Buffer:200μl
+ Binding Enhancer:200
μl(40%)
オプション2
Binding Buffer:300μl
+ Binding Enhancer:100
μl(20%)
オプション3
Binding Buffer:400μl
液体サンプルからの精製100μl 標識などの酵素反応核酸
100 bp~5 kb
+    
  PCR産物
100 bp~5 kb
+    
  DNA断片
シークエンス用
100 bp~5 kb
    +
アガロースゲルスライスからの精製
100 mg
DNA断片
100 bp~5 kb
  +  
低分子DNAの除去
100 mg
25 bases以下の
プライマー
  +  
  70 bp以下のプライマーダイマー     +

アプリケーション例

High Pure PCR Cleanup Micro Kitのパフォーマンスを評価するために次の実験を行いました。FastStart HiFi PCR Systemの反応バッファーに3μgの分子量マーカーVIII(19~1114 bpの二本鎖DNAが含まれる)をミックスし、High Pure PCR Cleanup Micro Kitで精製しました。Binding Enhancerの混合比率を段階的に調節しました。精製したサンプルは、Bioanalyzer instrument(Agilent, USA)でDNA 1000 chipを用いたキャピラリー電気泳動で分析しました。

図1は、様々な混合比率のBinding Enhancerを用いたHigh Pure PCR Cleanup Micro Kitでの精製産物と、他の2社の製品で精製した産物を分析したものです。Binding Enhancerを用いないHigh Pure PCR Cleanup Micro Kitだけが、効率良く67 bpの断片を除去できました。242 bpの断片では、すべてのサンプルで同等の結果となりました。特にPCR産物の精製において、低分子核酸の除去は重要です。PCRには、プライマーとして 2つの合成オリゴヌクレオチド分子が必ず含まれています。収量や特異性においてPCR反応条件を最適にしたとしても、PCR反応産物には未だ多くのプライ マーやプライマーダイマーが含まれています。

この検証として、tPA遺伝子由来の341bpのPCR断片を、Taq DNA Polymeraseを用いてブロックサイクラーで増幅しました。このPCR産物を、様々な混合比率のBinding Enhancerを用いて精製し、NanoDropインスツルメントを用いてODを測定しました。各キットで精製したPCR産物の250 ngは、1% ゲルで電気泳動しました。精製ステップでBinding Enhancerを用いることで、DNA断片の回収量が増加します。特に、低分子のDNA断片(プライマーダイマーなど)の回収量が増加します。PCR産 物の回収量は、図2と表2に示します。

表2:Binding Enhancerの混合比率を変化させた場合のPCR断片の収量

結合条件 280/260比 収量(μg)
Binding Enhancerを含まない(オプション3) 1.9 0.6
10%のBinding Enhancerを含む 1.9 0.9
20%のBinding Enhancerを含む(オプション2) 1.8 1.2
40%のBinding Enhancerを含む(オプション1) 1.8 1.2

Binding Enhancerの混合比率を高くすると、PCR産物からのDNA断片の回収率が向上します。ただし、図2に見られるように、これにはPCR産物から共に 精製される多量のプライマーダイマーが含まれます。プライマーダイマーなどの残存したPCR産物は、次の実験に影響を与えます。精製したPCR断片を再 PCRのテンプレートにして、LightCycler® 1.5でプライマーダイマーの影響を検証しました。この再PCRにはブロックサイクラーで使用したプライマーも含まれます(図3)。ネガティブコントロー ル(テンプレートを含まない)では、tPA遺伝子断片のPCR産物にピークは見られませんが、プライマーダイマーに高いピークが見られます。 Binding Enhancerの混合比率を段階的に高くして精製したPCR産物をテンプレートにした再PCRには、tPA遺伝子特異的PCR産物量の低下が見られま す。これは、1回目のPCR産物から共に溶出されるプライマーダイマーが増加し、再PCRにおいてプライマーダイマーがテンプレートとして働いていること を示します。

他の多くのアプリケーションでは、PCRで取り込まれなかったフリーのヌクレオチドや標識物質などの不純物除去や収量性に比べて、サイズ排除はあまり重 要視されていません。このサイズ排除の重要性を評価するために、次の実験を行いました。1μgの1,100 basesのmRNA断片を、Microarray cDNA Labeling Kitを用いて逆転写し、EDTAを添加して逆転写反応を止めました。標識ヌクレオチドの除去性能を検証するために、各精製反応に2.2 nmolのCy5-dUTPを加えました。この標識反応産物をHigh Pure PCR Cleanup Micro Kitを用いて、20%、40%のBinding Enhancerを添加したプロトコール(オプション1、2)に従って精製しました。また他の2社の製品で精製した産物も比較しました。表3は、Cy5- dUTPを含む逆転写産物の精製結果を示しています。High Pure PCR Cleanup Micro Kitは、他の2社の製品に比べて高収量を示しています。Cy5-dUTPの残存量については、20% Binding Enhancer(オプション2)を用いた精製の方が少量であり、40% Binding Enhancer(オプション1)を用いた精製ではNanoDropの検出限界を下回っています。

表3:1100 bp cDNA断片の精製とCy5-dUTPの除去

サンプル 収量
(μg)
260/280比 Cy5-dye
(nmol)
FuGENE®Q社 0.1 1.9 検出不可
M社 1.1 2 0.22
High Pure PCR Cleanup Micro Kit
+20% Binding Enhancer(オプション2)
1.8 2.1 検出不可
High Pure PCR Cleanup Micro Kit
+40% Binding Enhancer(オプション1)
1.9 2.1 0.01

結論

溶出容量を10μlに下げ、結合性能を20μgに上げたことで、様々な実験に使用できるキットになっています。Binding BufferとBinding Enhancerを個々のバイアルでご提供することにより、各研究者がバッファーの混合比率を調整し、各実験に適した結合効率に調整できます。また、 Binding Enhancerを用いないことでプライマーダイマーや低分子のDNA断片を除去できます。その一方、40% Binding Enhancerを用いることで、Cy5-dNTPを効率的に取り除き、しかも高収量でcDNA合成産物を精製することもできます。このフレキシブルな キットにより、精製の目的ごとに幾種類ものキットを使い分ける必要が無くなります。
High Pure PCR Cleanup Micro Kitは、そのパフォーマンスと幅広いアプリケーションにより、分子生物学研究における核酸精製のユニバーサルなツールとなります。

図1:精製した分子量マーカーVIIIの電気泳動

  • 1=分子量マーカーVI
  • 2=Binding Enhancerを含まない(オプション3)
  • 3=10%のBinding Enhancerを含む
  • 4=20%のBinding Enhancerを含む(オプション2)
  • 5=40%のBinding Enhancerを含む(オプション1)
  • 6=未精製のPCR産物
  • 7=ネガティブコントロール(テンプレートを加えないPCR)
  • 8=分子量マーカーVI

図2:341 bpのPCR断片の電気泳動とエチジウムブロマイド染色

図3:LightCycler® 1.5を用いた融解曲線分析

BIOCHEMICA2007NUMBER3(No108)

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