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Rong-Mei Wu1, Marion Wood1, Anthony Thrush2, Eric F. Walton1, and Erika Varkonyi-Gasic1
1HortResearch Mt Albert, Auckland, New Zealand; 2Roche Diagnostics New Zealand, Auckland, New Zealand
microRNA(miRNA)は、それよりも大きなヘアピン構造の前駆体よりつくられる、高く保存された転写産物(18-25塩基)のファミリーで、 自然に存在しています。植物ゲノムや動物ゲノムにもmiRNAはコードされており、現在までに4000以上のマチュアなmiRNAの転写産物がアノテート されています。miRNAは比較的高く発現している転写産物の一つですが、、その発現レベルは種や組織によってさまざまです。あまり高く発現していない miRNAは、クローニング、ノーザンハイブリダイゼーション、マイクロアレイなどで検出を試みられていますが、難しいのが現状です。今回我々は、リアル タイム定量PCR法による、miRNA特異的プライマーとステムループ領域に特異的なUniversal ProbeLibrary(UPL)プローブを組み合わせた、ステムループRTプライマーをベースにした、植物miRNAの正確、高感度、安価な検出法を 報告します。このアプローチは、特異性が高く、高感度でmiRNAの検出に応用しやすいことを示しています。
microRNA(miRNAs)は、それよりも大きなヘアピン構造の前駆体よりつくられる、短くて保存性の高い、ノン・コーディング転写産物のファミ リーです[1]。microRNAは、siRNA(short interfering RNA)と共に、18-25塩基の小さなRNAに属し、ゲノムの安定性、発生、分化、細胞間コミュニケーション、生物的/非生物的ストレス応答に不可欠な ものと言われています[1, 2]。現在までに約4000以上の脊椎動物、ハエ、線虫、植物、ウイルスのmiRNA配列がSanger Institute miRNA Sequence データベース(miRBase, Release 9.0, October 2006)に登録されています[3]。
効率的で信頼性のあるmiRNAの定量は、特定の組織や細胞における役割を知るために不可欠です。あまり高く発現していないmiRNAは、クローニング やノーザンハイブリダイゼーションやマイクロアレイなどの一般的な方法では検出が困難です。また、一般的な方法は、植物におけるmiRNAと内在性 siRNAから成る、低分子RNAの複雑なポピュレーションの影響を受けます。ステムループRTに続いてTaqMan®PCR解析を行う、哺乳類miRNAを正確で高感度に検出する、リアルタイム法を用いた、高感度定量RT-PCR技術があります[6]。しかし、TaqMan®プ ローブは、ターゲットmiRNAそれぞれに合成する必要があるため、数多くのmiRNAをスクリーニングする際には多大なコストがかかってしまいます。今 回我々は、ステムループRT-PCR法とUniversal ProbeLibrary(UPL)技術を組み合わせ、植物miRNAの発現レベルの検出と定量に最適化した、正確、高感度で安価なmiRNA定量法を示 します。
植物miRNA遺伝子はSanger Institute miRBase Sequenceデータベース(www.microrna.sanger.ac.uk/sequence/index) から選択しました。プローブは、Universal ProbeLibraryより#21を選択しました。Universal ProbeLibraryプローブ#21の配列がプライマーのステム領域に含まれるように、Chenらの方法 [6]を一部改変してステムループRTプライマーをデザインしました。各配列データをTable 1に示しました。
トータルRNAは実生シロイヌナズナを自然日照下の温室内にて4週間育成した苗条より単離しました。逆転写反応(10 μl)は、サンプルRNAに、50 nMのステムループRTプライマー、0.25 mMのdNTPs、50 unitsの逆転写酵素、1x濃度の逆転写酵素バッファー、10mMのDTT、4 unitsのRNaseインヒビターを加えて行いました。16℃で30分間インキュベートした後、30℃30秒、42℃30秒、50℃1秒を60サイクル 行う、パルスRTをおこないました。パルスRTはパルス無しの反応と比較してよりよい検出感度が得られる反応です[7]。85℃5分インキュベーションす ることで逆転写酵素を失活させ、反応を停止しました。すべての逆転写反応で、no-テンプレートとマイナスRTのコントロールを含んで行いました。
SYBR Green IアッセイおよびUniversal ProbeLibraryプローブアッセイには、LightCycler®1.5を使用しました。SYBR Green Iアッセイは、1x濃度のLightCycler® FastStart DNA MasterPLUS SYBR Green I、各0.5μMのForwardおよびReverseプライマー、1μlのcDNAを加え、最終反応容量10μlで反応しました。増幅は、95℃5分の 初期変性の後、95℃5秒、60℃5秒、72℃8秒を45サイクルで行いました。融解曲線は、次の温度プログラムで行いました。まずPCR産物を95℃で 変性した後、60℃まで20℃/秒で冷却しました。その次に65℃から95℃まで0.2℃/秒で上昇させて530nmの蛍光シグナルを連続的に取得しまし た。
Universal ProbeLibraryプローブアッセイは、1x濃度のLightCycler® TaqMan Master、各0.5μMのForwardおよびReverseプライマー、0.1μMのUniversal ProbeLibraryプローブ#21、1μlのcDNAを加え、最終反応容量20μlで反応しました。増幅は、95℃10分の初期変性の後、95℃5 秒、60℃10秒、72℃1秒を45サイクルで行いました。
SYBR Green IおよびUniversal ProbeLibraryプローブのPCR産物は4%アガロースゲルで電気泳動し、エチジウムブロマイド染色にて可視化しました。
4種類の植物miRNAの発現は、次の2ステップのプロセスで検出しました。まずステムループRTプライマーがmiRNA分子にハイブリダイズし、次に パルスRT反応で逆転写を行いました。次にRT産物をSYBR Green Iアッセイ(図 1a)またはUniversal ProbeLibraryプローブアッセイ(図 1b)にて増幅および定量しました。1つのUniversal ProbeLibraryプローブを使用して4種類のmiRNAを検出しました。
SYBR Green Iは2本鎖DNAに非特異的に結合する蛍光色素です。図2は、4種類のmiRNAをSYBR Green Iで検出した一例を示しています。目的のPCR産物からの蛍光シグナルに加え、SYBR Green Iアッセイでは、マイナスRTコントロールにおいて見られる非特異的な産物による蛍光も検出しますし、no-テンプレートコントロール(water)内の プライマーダイマーによる蛍光も検出してしまいます(図 2a)。融解曲線分析では、このような小さなサイズのPCR産物のため、特異的PCR産物と非特異的なものを区別することができませんでした(図 2b)。このアッセイの感度は、加えるRNA量を2 ngまで低くすることができました。アガロースゲル解析では、予想されたサイズと同じ増幅産物を、プラスRT反応およびマイナスRT反応コントロールの両 方において確認をしました(Figure 2c)。プラスRT反応の産物のクローニングとシークエンシングから、これは予想されたmiRNAのものであることを確認しました。また、クローニングと シークエンシングによって、マイナスRTコントロールの増幅産物はプライマー配列のコンカテマーであることが確認されました。
Universal ProbeLibraryプローブアッセイは、locked nucleic acid(LNA)を含む8-9塩基の短い加水分解プローブを利用しています。Universal ProbeLibraryプローブアッセイの再現性は、トータルRNAを20 ngから20 pgまで段階希釈したものを、4種類の異なるmiRNAについて繰り返し実験することで確認しました(図 3)。増幅曲線は、RNAテンプレート濃度と4桁にわたって相関が見られました。miR166およびmiR167のネガティブコントロール(マイナスRT およびno-テンプレート(water))について、アガロースゲルで非特異的増幅のバンドが見られましたが、蛍光シグナルは検出されませんでした。 miR156およびmiR159のマイナスRTコントロールでは、プラスRT反応と同じ量のテンプレートRNA量でプラスRT反応の15サイクル以上遅れ た38サイクル以降で増幅シグナルが見られました(図 3eおよび3f)。これらの結果は、このアッセイにおけるバックグランドシグナルの影響は無視できることを示しています。クローニングとシークエンシング によって、プラスRT反応産物は予想したアンプリコンであることを確認しました。また、マイナスRTコントロールのシークエンシングによって、そのアンプ リコンは非特異的なターゲットへのプライミング由来であることを確認しました。さらにマイナスRT反応において、そのアンプリコンにUniversal ProbeLibraryの検出配列を含まれないことを確認しました。大きなバックグランドとなっているアンプリコンは、プライマー配列のコンカテマーで あり、そこにはステムループプライマーの配列が含まれていますが、Universal ProbeLibraryプローブの結合サイトは含まれていませんでした(データ未掲載)。
今回の研究で示した、Universal ProbeLibraryプローブを使用した、ステムループRT-PCRアッセイは、非常に少量の植物RNAからmiRNAを検出することができる、迅 速、高感度、特異的、再現性の高い方法です。そのため数多くのmiRNAを迅速で安価にスクリーニングすることができます。そしてこのアプローチは、動物 を含む他の種への応用の可能性を示唆しています。
表1 : miRNAおよびプライマーの配列。赤字はUniversal ProbeLibraryプローブ#21結合サイトです。
| miR156a |
miRNA sequence RT primer Forward primer |
UGACAGAAGAGAGUGAGCAC GTTGGCTCTGGTGCAGGGTCCGAGGTATTCGCACCAGAGCCAACGTGCTC GCGGCGGTGACAGAAGAGAGT |
| miR159a |
miRNA sequence RT primer Forward primer |
UUUGGAUUGAAGGGAGCUCUA GTTGGCTCTGGTGCAGGGTCCGAGGTATTCGCACCAGAGCCAACTAGAGC CGGCGGTTTGGATTGAAGGGA |
| miR166a |
miRNA sequence RT primer Forward primer |
UGAAGCUGCCAGCAUGAUCUA GTTGGCTCTGGTGCAGGGTCCGAGGTATTCGCACCAGAGCCAACGGGGAA TCGCGTGAAGCTGCCAGCAT |
| miR167a |
miRNA sequence RT primer Forward primer |
UGAUUGAGCCGCGCCAAUAUC GTTGGCTCTGGTGCAGGGTCCGAGGTATTCGCACCAGAGCCAACTAGATC TTCCTTGATTGAGCCGCGCC |
| Universal | Reverse primer | GTGCAGGGTCCGAGGT |
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図1:miRNAのリアルタイムPCRアッセイ。
miRNAアッセイは、初めにステムループRTを行い、次にリアルタイムPCRを行うという2つのステップで行いました。ステムループRTプライマーは最 初のmiRNAの逆転写で、miRNA分子の3’側に結合します。黄色部分はUniversal ProbeLibraryプローブの結合サイトです。次に、RT産物を、miRNA特異的なForwardプライマーと、共通のReverseプライマー でPCRを行いました。(a)SYBR Green Iアッセイ。(b)Universal ProbeLibraryアッセイ。
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図2:SYBR Green I Master Mix。
miR166の解析。増幅にはSYBR Green Iマスターミックスを使用しました。(a)20 ngから20 pgのトータルRNAについてプラスRT、マイナスRT、no-テンプレート(water)コントロール反応を行いました。(b)融解曲線。(c)リアル タイムPCR産物をアガロースゲル(4%)電気泳動で分離し、エチジウムブロマイド染色で可視化しました。矢印は予想されるPCR産物のサイズを示してい ます。
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図3:Universal ProbeLibraryプローブアッセイ。
Universal ProbeLibraryプローブ#21を使用して(a)miR166および(b)miR167の増幅を検出しました。miR166(c)および miR167(d)の増幅産物は、アガロースゲル(4%)電気泳動で分離し、エチジウムブロマイド染色で可視化しました。矢印は予想されるPCR産物のサ イズを示しています。白枠内のバンドは、非特異的PCR産物およびプライマーダイマーです。miR156(e)およびmiR159(f)の増幅は Universal ProbeLibraryプローブ#21を使用して検出しました。非特異的な増幅のために、マイナスRTコントロール反応では、ターゲットの増幅の15サ イクル後にシグナルが検出されました。
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