細胞の非特異的なインターフェロン応答を最小限にする FuGENE HDトランスフェクション試薬の優秀性

Protein Expression コーナー

Bindu Raghavan, Guojuan Zhang, Mark Kotur, Jacquelyn Cheatham, and Joanne Trgovcich
Department of Pathology, The Ohio State University, Columbus, OH, USA

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製品名 製品番号 包装単位 希望価格
FuGENE HDトランスフェクション試薬 4709691
4709705
4709713
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特長

  • HeLa、NIH/3T3、COS-1、COS-7、CHO-K1、Hep G2、 HEK-293、MCF-7、SF9のような昆虫細胞を含む多くの一般的な細胞株で高レベルのタンパク質発現を獲得。
  • 他の試薬では十分にトランスフェクションできない細胞株(RAWなど)での素晴らしいトランスフェクション効率を達成。
  • 高密度でトランスフェクションした際の細胞の障害性や形態上の変化が最小限
  • 血清の存在/不在下に係わらず試薬が機能するため、培地変更の必要がなく時間を節約
  • ヒト及び動物由来の成分フリーの試薬

イントロダクション

ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)を含む多くのウイルスは、感染に対して抗ウイルス的に応答する細胞の能力に干渉し、低調にさせる遺伝子をコードし ています。ウイルス遺伝子の哺乳培養細胞へのトランスフェクションは、ウイルス遺伝子産物の機能を評価するための重要な研究手段です。我々は、インター フェロン(IFN)介在性の細胞シグナルパスウェイの低下に関与するウイルス遺伝子を同定するために、この手法を利用しています。しかしながらこの努力 は、トランスフェクション操作により起こる、細胞内インターフェロン応答の活性化により深刻な妨害を受けています。核酸のトランスフェクションによる IFN刺激遺伝子の誘導は、培養細胞研究に派生する結果の評価を誤らせるだけではなく、in vivoでの遺伝子デリバリーへの懸念を引き起こします。
この問題を克服するための試みとして、我々は市販の数種類のトランスフェクション試薬でプラスミドDNAをトランスフェクションした後、インターフェロ ン刺激遺伝子(ISG)から派生したプロモーターエレメントのコントロール下で、レポーター遺伝子、CD2の発現を分析しました。我々はここで FuGENE HDが、このシステムで試験されてその他の試薬と同等のトランスフェクション効率を持ちながら、レポーター遺伝子の非特異的誘導が最少であることをレポー トします。また、他の市販の試薬によるCD2発現の誘導は、少なくとも一部は、IFN-βの誘導により仲介されていることも示します。FuGENE HDは、プラスミドDNAのトランスフェクションに対する細胞応答を最小限にする、他の試薬よりも優れたトランスフェクション試薬です。

材料と方法

細胞培養

インターフェロン誘導プロモーターの存在下で、T細胞表面抗原であるCD2を安定的にトランスフェクションされたヒト線維肉腫細胞株2C4(G. R. Starkより寄贈)を実験に使用しました。細胞は10% ウシ胎児血清、L-グルタミン、ピルビン酸ナトリウムを含むDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)中で維持しました。

トランスフェクション

2C4細胞(ウェル当り40,000個)を12ウェルプレートに播種しました。24時間の培養後、3種類のトランスフェクション試薬(FuGENE HD、試薬T、試薬G)と混合したpEGFP-N3プラスミドDNA(Clonetech)で、各社のプロトコールどおりに細胞を暴露しました。トランス フェクション試薬:DNAの比率は、FuGENE HDでは1.5:1、試薬TとGでは3:1でした。その他の特異的な点は、FuGENE HDと試薬TではウェルあたりのDNAは1μg、試薬Gでは1.75μgでした。

インターフェロン処理とフローサイトメトリー

トランスフェクションの24時間後、培地を除去し新鮮な培地および、100 U/mlのIFN-β、IFN-βに対する中和抗体を含む新鮮な培地に交換しました。IFN処理の24時間後、Verseneによる非酵素的処理によりプ レートから細胞を移し、ポリスチレンチューブ中の1% 仔牛血清(NCS)を含むPBSに再懸濁しました。ここから、細胞は4℃で維持しました。1% NCSを含むPBSで2回目にリンスした後、細胞をフィコエリスリン(PE)標識抗CD2抗体(Dako)と反応させました。細胞をもう一度、PBS 1% NCSでリンスし、細胞表面CD2発現(PE, FL2チャンネル)とGFP発現(FL1チャンネル)をフローサイトメトリー(FACSCaribur、Becton Dickinson)で分析しました。データはCellQuestソフトウェア(Becton Dickinson)で分析しました。

結果と討論

我々は、2C4細胞におけるCD2発現の非特異的誘導に対する3種類の試薬の影響を評価しました。これらの研究に使用した2C4線維肉腫細胞株は、イン ターフェロン誘導プロモーターのコントロール下にあるCD2遺伝子を保持しています。インターフェロンへの暴露は、細胞表面のCD2抗原の増加を導きま す。インターフェロンパスウェイを低下させる遺伝子のトランスフェクションは、インターフェロン処理の有無におけるCD2発現を測定することで評価できま す。しかしながら、我々はプラスミドDNA単体のトランスフェクションが、細胞表面のCD2の蓄積を増加させることを観察しましたので、CD2発現の非特 異的誘導を起こさないトランスフェクション試薬を同定できるかどうかを測定することとしました。

表1:GFP発現細胞と細胞表面CD2発現の割合
試薬 DNA(μg) GFP陽性(%) CD2-PE(MFI)
非染色細胞 0.8 4.5
未トランスフェクション細胞 1.1 28.7
FuGENE HD 1 42.6 69.0
試薬T 1 41.9 136.2
試薬G 1 45.8 190.9

FuGENE HDトランスフェクション試薬は2C4細胞におけるCD2発現の非特異的誘導を最小限にします

トランスフェクションに起因するインターフェロン刺激遺伝子の発現を評価するために、2C4細胞を12ウェルプレートで培養し、3種類のトランスフェク ション試薬(FuGENE HD、試薬T、試薬G)により、1μgのpEGFP-N3プラスミドDNAをトランスフェクションしました。トランスフェクションの48時間後、細胞表面 のCD2発現を、細胞とPE標識抗CD2抗体をインキュベートし、フローサイトメトリーにより細胞集団を分析しました。トランスフェクション効率は、 GFP蛍光を分析することで測定しました。図1に見られるように、プラスミドDNAのトランスフェクションは、未トランスフェクション細胞に対して、細胞 表面のCD2量の増加を反映する、より高いCD2発現へとシフトさせました。細胞表面でのCD2蓄積度は、3種類の試薬で異なっていました(表1に要 約)。未トランスフェクション細胞に比べ、FuGENE HD、試薬T、試薬Gを使用したCD2発現はそれぞれ2.7、4.7、6.6倍でした。この変動は、発現されたGFPが同様(41%-46%)であり、こ れらのトランスフェクション効率の違いによるものとは説明できません。これらのデータは、外因的に加えられるインターフェロンの不在下でも、プラスミド DNA単独のトランスフェクションがインターフェロン刺激遺伝子発現の誘導に十分で、FuGENE HDは非特異的な誘導が最小限で、一番優れていることを見出しました。我々はまた、トランスフェクション試薬単独の細胞への暴露は、CD2発現の上昇を導 かないことを見出しました(図2)。我々は、トランスフェクション試薬の本質的な性質に関連して、細胞はプラスミドDNAとトランスフェクション試薬の組 み合わせに応答すると結論付けました。
興味深いことに、FuGENE HDと使用する際にDNA量を減らしたとしても、トランスフェクション効率は高レベルを維持していました。12ウェルプレートで培養された細胞を、 FuGENE HDと混合された0.25μgのpEGFP-N3プラスミドDNAで暴露した場合、44%の細胞がGFP発現陽性でした。この実験(データ不掲載)におい て、CD2-PEの蛍光は最小限でした(未トランスフェクション細胞の1.4倍の高さ)。

トランスフェクションとIFN処理によるCD2発現の誘導

2C4細胞は、IFN-β処理に応答して細胞表面にCD2抗原を発現するように改変されています。インターフェロン刺激遺伝子の発現における、トランス フェクションの相対的なインパクトを正確に評価するために、(1)トランスフェクション、(2)IFNの細胞への暴露、(3)トランスフェクションと IFNの暴露の組み合わせに起因する細胞表面の発現CD2を測定しました。細胞はFuGENE HD、試薬T、試薬Gと混合されたpEGFP-N3 DNAに暴露されました(図3)。トランスフェクションの24時間後、細胞は未処理のままと、100 U/mlのIFN-βに暴露されました(パネルAとBを比較)。FuGEHE HDとは異なり、試薬Tと試薬Gでの2C4細胞のトランスフェクションは、細胞表面CD2発現をすばやく増加させました(パネルAとCの比較)。試薬Tと GのケースではCD2細胞表面発現のレベルは、100 U/mlのIFN-β出の細胞処理で得られたレベルと同等でした(パネルCとDの比較)。実際、FuGENE HDでトランスフェクションされた細胞のみで、IFN-β処理によるCD2発現において、意味のある増加を観察しました。

2C4細胞でのCD2発現の非特異的な誘導は抗IFN-β抗体で部分的にブロックされている

トランスフェクション過程によるCD2の誘導は、固有のシグナリングパスウェイやインターフェロンの誘導を介して成立します。トランスフェクションそれ 自体がインターフェロンを誘導する可能性をテストするために、2C4細胞はFuGENE HDと試薬Gを使用してpEGFP-N3に暴露し、直ちに培地中にIFN-ベータに対する中和抗体を加えました。細胞を48時間後に採取し、フローサイト メトリーによりCD2発現を分析しました(図4)。我々は、試薬Gでトランスフェクションされた細胞において、中和抗体量を増やすにつれて投与量依存的で すが、不完全なCD2発現の抑制を観察しました。再度、FuGENE HDの使用は、IFN-βに対する中和抗体には影響されない細胞表面CD2の劇的な集積を排除しました。DNAのトランスフェクションによるインターフェ ロンの誘導は、少なくともインターフェロン応答遺伝子の発現に部分的に係わりがありました。

結論

我々の結果は、FuGENE HDトランスフェクション試薬がプラスミドDNAの導入のために使用されたとき、インターフェロン刺激遺伝子の誘導を最小限にすることを示唆しています。 これに比べ、トランスフェクションに対する細胞応答は、試薬Tと試薬Gを使用した場合に劇的でした。2C4細胞におけるCD2発現の非特異的誘導は、試薬 Tと試薬Gの場合、IFN-β処理で観察されたものと同等でした。インターフェロン応答プロモーターのコントロール下にあるレポータージーンの、トランス フェクションで誘導される発現は、トランスフェクション効率の直接の結果ではなく、トランスフェクション試薬単独のせいでもありませんでした。このシステ ムでのCD2遺伝子の非特異的誘導は、少なくとも一部分は、トランスフェクション細胞でのIFN-βの誘導のせいだとされます。それゆえ、FuGENE HDトランスフェクション細胞はインターフェロンの非特異的誘導が望ましくない場合のアプリケーションに有用です。

リファレンス

  1. Miller DM et al. (1998) J Exp Med 187: 675-683
  2. Cebulla CM et al. (1999) Intervirology 42: 325-330
  3. Watling D et al. (1993) Nature 366: 166-170
図1:トランスフェクション試薬に依存したプラスミドDNAのトランスフェクションによるインターフェロン刺激遺伝子発現の誘導。
数種類のトランスフェクション試薬を使用したpEGFP-N3プラスミドをトランスフェクションされた2C4細胞のCD2発現(y軸)とGFP発現(x 軸)のドットプロット。(a) 抗体と反応していない未トランスフェクション細胞;(b)未トランスフェクション細胞;(c)FuGENE HDでトランスフェクションされた細胞;(d)トランスフェクション試薬Tでトランスフェクションされた細胞;(e) トランスフェクション試薬Gでトランスフェクションされた細胞。トランスフェクションの48時間後に、細胞をPE標識抗CD2抗体と反応させ、GFPと PEの蛍光をフローサイトメトリーで分析しました。
図2:プラスミドDNAをトランスフェクションされた細胞でのCD2の誘導は、トランスフェクション試薬により変動します。
(a)トランスフェクション試薬のみ、(b)FuGENE HD(灰色面)、試薬T(薄腺)、試薬G(強調線) を使用してEGFP-N3プラスミドDNAがトランスフェクションされた、2C4細胞上のCD2発現のヒストグラム。
図3:pEGFP-N3プラスミドDNとIFN存在下、および不在下で、FuGENE HD(灰色面)、試薬T(薄腺)、試薬G(強調線)に暴露させた細胞でのCD2発現の比較。
(a)トランスフェクション試薬のみに暴露;(b)トランスフェクション試薬と100 U/mlのIFN-βに暴露された細胞;(c)pEGFP-N3プラスミドDNAがトランスフェクションされた細胞;(d) pEGFP-N3プラスミドDNAがトランスフェクションされ、IFN-βで処理された細胞。
図4:トランスフェクションが介在するCD2のアップレギュレーションは少なくとも部分的にIFN-ベータの誘導により仲介されます。
FuGENE HDトランスフェクション試薬と試薬Gを使用してpEGFP-N3プラスミドDNAをトランスフェクションされた2C4細胞中のCD2-PE反応性の平均 蛍光強度(MFI)を示したバーグラフ。左から未トランスフェクション細胞(NT)、10、100、1000中和ユニットの抗IFN-β抗体の存在下での 培養細胞。


BIOCHEMICA2006NUMBER3(No104)

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