MagNA Pure Compact RNA Isolation Kit: 様々なサンプル材料からの高品質トータルRNAの精製分離

Gene Expression コーナー

Ruth H. Paulssen*, Lotte Olsen, and Thea Charlotte Sogn
Laboratory of Molecular Medical Research, Institute of Clinical Medicine, Unversity of Tromsφ, Norway
*Corresponding author: Fruthp@fagmed.uit.no

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MagNA Pure Compact RNA Isolation kit 4802993 1キット(32回) ご照会

イントロダクション

核酸抽出装置「MagNA Pure Compact」と新製品である「MagNA Pure Compact RNA Isolation Kit」を使用し、血液、血液細胞、組織、培養細胞からトータルRNAを自動分離精製しました。MagNA Pure Compactシステムは、ロシュ・アプライド・サイエンスのリアルタイムPCR統合ソリューションコンセプトの製品ラインであるMagNA Lyser、Universal ProbeLibrary、Transcriptor First Strand cDNA Synthesis Kit、FastStart TaqMan® Probe Master 等に完全にフィットしています。RNA分離精製の原理はMagNA Pure 磁性ガラス粒子(MGP:Magnetic Glass Particle)テクノロジーを基本としています。抽出原理は、まずカオトロピック塩を含む専用の組織溶解バッファーと、ヌクレアーゼやタンパク質を分 解するプロテナーゼKでサンプルを溶解します。核酸はMGPの表面に固定され、ゲノムDNAはDNaseとのインキュベーションで分解されます。MGPに 結合しない物質は、数回の洗浄ステップで除去され、最終的に精製されたRNAがMGPから溶出されます。今回、様々な組織と細胞株からトータルRNAを抽 出することで、MagNA Pure Compact RNA Isolation Kit の有用性を評価しました。さらに、抽出されたRNAの純度と完全性、そしてリアルタイムPCRやマイクロアレイによる遺伝子発現解析のようなダウンスト リームアプリケーションへの適合性も評価しました。

材料と方法

組織と細胞サンプル

SK-N-DZ細胞(ヒト神経芽細胞腫; ATCC no. CRL-2149)は10 %ウシ胎児血清、4 mM L-グルタミン含有ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)で培養しました。PC12細胞(ラット褐色細胞腫; ATCC no. CRL-1721)は15%ウマ血清、2.5%ウシ胎児血清、2 mM L-グルタミン含有ハムF12K培地で培養しました。ヒト組織サンプルは北ノルウェーのトロムソ大学病院の病理部より入手しました。動物組織サンプルは Sprague-Dawleyラットより得ました。動物は、我々の動物施設で、基本実験餌を与えて管理しました。

RNAの分離精製

組織標本は直接、新鮮凍結、またはRNA Later溶液に保存したものを使用しました。組織サンプルの破砕とホモジナイズはMagNA Lyser装置を用い、使用説明書に従って行いました。培養細胞サンプルは、PBSとキット内の溶解バッファーに直接懸濁しました。溶出容量は50μLと しました。

トータルRNAの収量と純度

RNA量は260nmの吸光度より算出し、RNA純度はNano Drop装置を使用してOD260nm/280nmとOD260nm/230nmの比より決定しました。RNAの完全性(RIN)はAgilent Bioanalyser 2100を使用した電気泳動で判定しました。

Cyclophilin AのリアルタイムRT-PCRによるmRNA定量

Transcriptor First Strand cDNA Synthesis Kit を使用し、溶出されたRNAのうち3μLを逆転写しました。リアルタイムPCR装置、FastStart TaqMan® Probe Master、Universal ProbeLibrary プローブ(ヒト プローブ#48、ラット プローブ#42)を使用して、250ngのcDNAについてCyclophilin Aを目的遺伝子としたリアルタイムPCRアッセイを行いました。陰性コントロールは、RNAの代わりに水としました。RNA抽出液中にゲノムDNAが残存 していないことを確認するため、2 ngのヒトゲノムDNAを陽性コントロールとし、RNAサンプルを直接Cyclophilin AをターゲットとしたPCRにかけました。

マイクロアレイ実験

3つの別々のdye-flip実験において、ラット肝臓とラット肺より得た3μLのトータルRNAを3DNA Array 350 HS Kitを使用してCy3、Cy5標識しました。ハイブリダイゼーションはTECAN 4000 HS 装置を使用しました。ラットのオリゴアレイはノルウェー マイクロアレイ コンソーシアム(NMC)より購入しました。実験はマイクロアレイ リソース センター トロムソ(MRCT)で行いました。アレイは3つのdye-flipレプリケートで標準化しました。これにより、6アレイのセットを3つの標準化された バージョンにまとめました。その後、dye標準化レプリケートのM-M(log比 対 log比)スキャッタープロットを作成しました。レプリケートの相関係数は最終的にピアソン相関関数を用いて算出しました。

結果とアプリケーション

MagNA Pure Compact装置とMagNA Pure Compact RNA Isolation Kitで抽出されたトータルRNAの品質と収量を測定するため、230nm、260nm、280nm吸光度の測定、LabChip(Agilent)マイ クロフルイディック解析、Cyclophilin Aの定量的リアルタイムPCRを行いました。
これに加え、抽出されたトータルRNAがマイクロアレイ解析に適合するかどうかも調べてみました。我々は、様々なヒトあるいはラット組織、細胞株からの トータルRNAの調製をMagNA Pure Compact装置で行うことで、高品質なRNAが十分量得られることを示しました。電気泳動とOD260nm/280nmでは、高品質のトータルRNAが抽出されたことが示されました(図1、表1)。RNAサンプルの完全性(RIN)は、テストに使用された様々な組織の中では、非常に良い結果でした。ラット脳から分離精製されたRNAでは、より低いOD260nm/230nmが示されましたが、これは脳組織では脂質と脂肪酸が比較的多いためだと思われます。

ヒト結腸より抽出されたRNAをリアルタイムPCRで評価し、RNA抽出の再現性を評価しました。増幅曲線による定量解析で計算ではクロッシングポイン トのCV値が低く、分離精製の再現性の良さが示されました(図2a)。調製した総てのRNAにおいて、実質的にゲノムDNAの残存が無く(図2b)、 PCR阻害の徴候も見られませんでした(図2a)。また、ラット肺からのRNA対、ラット肝臓からのRNAで行ったdye-flipマイクロアレイ実験で は、レプリケート間で高いlog比の相関が見られ、抽出されたRNAはディファレンシャル発現解析に適していることが示されました(図3)。アレイで利用 可能な全ての機能を使用して、相関係数が計算されました。その結果、その値はレプリケート間で高い一貫性を示しました。

結論

結論として、MagNA Pure Compact装置とMagNA Pure Compact RNA Isolation Kitにより、容易に培養細胞サンプル、新鮮組織、新鮮凍結組織より高純度のトータルRNAが調製できます。特別な試薬(例:RNA Later)で安定化した組織サンプルにも使用できます。8サンプルのRNA自動精製にかかる総処理時間は約35分間です。組織や細胞から精製された RNAはリアルタイムPCRやマイクロアレイベースの遺伝子発現解析などのダウンストリーム アプリケーションの出発材料として理想的です。

図1:トータルRNAサンプルの電気泳動とRNA完全性(RIN)。
ヒト結腸(レーン1と2); ラット肺(レーン3と4); ラット肝臓(レーン5と6); ラット脳(レーン7と8); SK-N-DZ細胞株(レーン9と10)。
図2:リアルタイムPCR解析の例(ターゲット:Cyclophilin A)。
(a)ヒト結腸より分離精製された8つのRNAサンプル。
(b)表1で示した各組織と細胞サンプルのRNA調製8回分のマイナスRT-PCRで、ヒトゲノムDNAを陽性コントロールとしている。
図3:ラット肝臓 対 ラット肺のトータルRNAのマイクロアレイ解析。
この図では、3つのdye標準化レプリケートのlog比の相関を表示しています。
表1:RNAの収量と純度。
組織もしくは培養細胞サンプルからRNAを分離精製しました。溶出容量は50 μlとし、RNA収量と純度はOD260nm/280nmとOD260nm/230nmの測定より決定しました。表には、典型的なRNA収量のレンジと、各サンプルで10回までの異なるRNA調製におけるOD260nm/280nmとOD260nm/230nmの平均値が示されています。
Sample Material Amount Average Yield Average OD260nm/280nm Ratio Average OD260nm/230nm Ratio
Human Colon 10mg 14-32μg 1.97-2.07 2.04-2.14
Rat Lung 10mg 7-11μg 2.07-2.08 2.07-2.08
Rat Liver 10mg 27-36μg 1.94-2.07 2.05-2.12
Rat Brain 10mg 3-6μg 2.05-2.10 1.52-1.93
SK-N-DZ(human) 5×105 cells 14-17μg 2.05-2.06 2.04-2.06
PC 12(rat) 5×105 cells 17-21μg 2.03-2.05 2.03-2.07


BIOCHEMICA2006NUMBER2(No103)

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