Transcriptor First Strand cDNA Synthesis Kitを用いたホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPET)からのcDNA合成

Gene Expression コーナー

Vesna Evimova *1, Constanze Stadler 2, and Manuela Poignee-Heger 2
1 Department of Pathology, University of Regensburg, Germany
2 Roche Applied Science, Penzberg, Germany
* Corresponding author: vesna.evtimova@roche.com

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Transcriptor First Strand cDNA Synthesis Kit 4379012 50回反応 ←製品番号をクリック

ホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPET:Formalin-Fixed Paraffin-Enbedded Tissue)サンプルを使用する実験の場合、部分的なRNAの分解は最も一般的な問題です。 ハウスキーピング遺伝子βアクチンの3'-末端配列と5'- 末端配列の定量RT-PCRで、3'-末端と5'-末端の比率の計算により、RNAの状態を予測できます。
再現可能な定量化のための重要なステップは、逆転写反応です。 FFPETの部分的に分解されたRNAに対するTranscriptor First Strand cDNA Synthesis Kitの適用性は高く評価されました。 ここでは、この新製品Transcriptor First Strand cDNA Synthesis Kitは、 従来から広く使用されているFirst Strand cDNA Synthesis Kit(AMV)と比較し、様々に改変した反応条件(温度、時間)で、 高い効率でFFPETサンプルを逆転写しました。

イントロダクション

転写レベルにおける遺伝子発現解析は、研究調査での固形腫瘍の分子差異に使われ、未来の治療判断を導く可能性があります。 マイクロアレイを用いた長期間 保存された組織の遡及的研究は、新しい予後マーカーの検出に重要です。 ホルマリン固定パラフィン包埋組織から得られたRNAの状態の悪さは、様々な転写の 定量において偏りを引き起こします。

ホルマリン固定組織がマイクロアレイ分析に使用出来るかどうかの調査で、我々は定量RT-PCRによりRNAの分解レベルを予測しました。 この分析は、 ハウスキーピング遺伝子βアクチンの5'-末端配列と3'-末端配列の定量増幅に基づきます。5'-末端配列と3'-末端配列の比率の算出により RNAの 品質を予測します。完全な状態のRNAは比率1を示しますが、分解されたRNAは比率が増えます(図1)。 この調査により、Transcriptor First Strand cDNA Synthesis Kitでの部分的に分解されたRNAの逆転写が評価されました。

図1:RNAの完全な状態を決定する為の分析
インタクトなRNA転写の場合は「比率1」を示し、「比率」の増加はRNAが分解されている事を示します。
表1:Transcriptor First Strand cDNA Synthesis KitでcDNA合成した様々なRNAサンプルのCP(Crossing Point)と3’/5’比率
反応条件 55℃ 30分間 25℃ 10分間
42℃ 60分間 99℃ 5分間
サンプル CP 3’/5’ 比率 CP 3’/5’ 比率
Calibrator RNA HBAC 3’
Calibrator RNA HBAC 5’
16.49
16.29
1.00
16.49
16.33
1.00
Xenograft RNA HBAC 3’
Xenograft RNA HBAC 5’
18.79
21.97
12.79
17.61
20.78
7.79
RNA_1 HBAC 3’
RNA_1 HBAC 5’
20.15
25.88
65.28
20.10
24.08
14.23
RNA_2 HBAC 3’
RNA_2 HBAC 5’
19.52
24.74
45.54
19.53
23.22
11.17
RNA_3 HBAC 3’
RNA_3 HBAC 5’
20.71
27.77
165.63
20.56
25.16
25.46
RNA_4 HBAC 3’
RNA_4 HBAC 5’
20.23
24.83
30.17
19.18
23.25
14.53

材料と方法

5µmのFFPET異種移植片切片と保存していた研究サンプルから、High Pure RNA Paraffin Kitを用いてトータルRNAを抽出しました。 アンカーオリゴ[dT]18プ ライマーとTranscriptor First Strand cDNA Synthesis Kitを製品説明書に従って使用し、 200 ngのトータルRNAを逆転写しました。反応条件は製品説明書に記載されている条件(55℃で30分)と、 改変プロトコール(25℃で10分、42℃で 60分、99℃で5分(最後の99℃で5分は酵素の不活性化の為のステップです))で行いました。

LightCycler® でLightCycler® FastStart DNA Master SYBR GreenⅠとテンプレートとして2µlのcDNAを用いて リアルタイムPCRを行いました。βアクチンの5'-末端と3'-末端の増幅と分析のために、 1761 baseのヒトβアクチン配列の1385と1650の2箇所にプライマーペアをデザインしました(Arcturus, Mountain View, USA)。

PCR条件は次のとおりです。

1サイクル 95℃ 10分
  95℃ 0秒
  62℃ 5秒
  72℃ 10秒
ランプタイム20℃/秒

 

3 '/5'比率は、LightCycler® Relative Quantification Softwareを使用して完全な状態のRNA(キャリブレータ)の転写と比較して決定しました。

結果と考察

FFPET異種移植片と保存していた研究サンプルから抽出したRNAの分解状態は、Transcriptor First Strand cDNA Synthesis KitでcDNA合成した後のβアクチンの3'/5'比率の計算で分析しました。

Transcriptor First Strand cDNA Synthesis Kitを用いて55℃、30分間(製品説明書どおり)で合成したcDNAの3'/5'比率は、 改変プロトコールで得られたcDNAの比率より極めて高いも のでした(表1)。 同時に、キャリブレーターRNAを用いて両条件の逆転写反応から得られたcDNAも全く同じ比率を示しました。 部分的に分解された FFPETのRNAは、 Transcriptor Reverse Transcriptaseを高い温度(55℃)で使用した場合にはさらに分解されているように見えました。 一方、完全な状態のサンプル(キャリブレータ RNAなど)で反応温度を上げた場合に、cDNA合成に影響はありませんでした。

結果的に、逆転写反応のインキュベーション条件は改変されました。 温度プロファイルの55℃30分間から、25℃10分間、42℃60分間、99℃5分 間への変更は、 Transcriptor First Strand cDNA Synthesis Kitを用いたFFPETのRNAのcDNA合成を効率的にしました(表1)。 新キットを用いたcDNA逆転写の3'/5'比率と従来のキット(AMV) を比較しました(詳細データなし)。 改変プロトコール条件では、部分的に分解されたRNAと共に用いた新キット「Transcriptor First Strand cDNA Synthesis Kit」は素晴しい結果を示しました。

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製品名 製品番号 包装単位 希望価格
Transcriptor Reverse Transcriptase 3531317
3531295
3531287
25回反応
50回反応
200回反応
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Protector RNase Inhibitor 3335399
3335402
2000ユニット
10000ユニット
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High Pure RNA Paraffin Kit 3270289 100回抽出用 ←製品番号をクリック
LightCycler® FastStart DNA Master SYBR GreenⅠ 3003230
2239264
96回反応
480回反応
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BIOCHEMICA2006 NUMBER1 (No102)

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