esiRNAを用いたジーンサイレンシング : 効果的で頑健、ポジション効果に影響されません

Gene Knockdown コーナー

Effi Ress*, Bianca Horeis, Nadja Gernold, Oliver Heil and Bernhard Korn
RDPZ-Deutsches Resourcenzentrum fur Genomforschung GmbH, Heidelberg, Germany

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製品名 製品番号 包装単位 希望価格
X-tremeGENE siRNA Dicerキット 4579020 10回反応 \88,000

キットの特長

  • 高効率 : siRNAプールによる効率的なジーンノックダウン
  • 低毒性 : インターフェロン応答を引き起こす夾雑の長鎖dsRNAがフリー
  • 非特異的なオフターゲット効果の低減 : それぞれ低濃度のsiRNAミックス
  • 簡便 : 高品質なsiRNAを24時間以内に調製します

イントロダクション

RNA干渉(RNAi)は進化的に保存された防御機構で、遺伝子はmRNAの分解により特異的にサイレンシングされます。この過程は、ホモロガスな二重鎖(ds)RNAが仲介します。無脊椎動物においては、長鎖のdsRNAが遺伝子のスクリーニングに使用され、遺伝子機能の情報を提供します。長鎖のdsRNAは多くの脊椎動物においては非特異的なインターフェロン応答の引き金となるため、特異的なジーンサイレンシングを保証するためには、短い干渉 (si)RNAやショートヘアピン(sh)RNAを使用しなければなりません。最近の論文では、大スケールのRNAiスクリーニングにおいてエンドヌクレアーゼで分解したsiRNA(esiRNA)の適用性が報告されています。

RZPDにおいて、我々はT7プロモーターテイルを持つPCR産物をin vitro トランスクリプションすることで作成された長鎖のdsRNAからsiRNAプール(esiRNA)を製造しました。長鎖のdsRNAの分解は、RNase ⅢやリコンビナントのDicer酵素により行いました。このアプローチは、ヒトの全遺伝子に対する高度に遺伝子特異的なPCR産物の作成に基づいていま す。適切なシークエンス情報を得るために、我々は各mRNAの特異的なシークエンス内容を定義するために、ヒトのすべてのmRNAシークエンスを他のもの と交差比較しました。次のステップで、siRNAデザインルールを使用して、すべてのremainingシークエンスフラグメントを解析しました。すべて のトランスクリプトに対する180-450 bpのフラグメントの増幅を可能にする遺伝子特異的プライマーがデザインされました。PCRの成功率を上げるために、PCRテンプレートとしてRZPDの ユニークなcDNAクローンリソースを採用しました。構築されたプライマー対はT7プロモーター配列をテイルとして持っていますので、このPCR産物を ジーンサイレンシングのスタート材料として使用します。

材料と方法

esiWayサイレンシングリソースの作成

ヒトmRNAとEST(Expressed sequence tag)シークエンスは、National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)によりクラスタリングされています。我々は、このクラスタリング情報を使用し、各クラスターにおけるコンセンサスシークエンスを構築しました。これらのコンセンサスシークエンスを、同様にヒト遺伝子間のクロスホモロジーを同定するために使用しました。

図1:esiWayサイレンシングリソース。
5´UTR、オープンリーディングフレーム、3´UTR、ポリAテイルを含む典型的なmRNA。T7プロモーターシークエンステイルを持つ2種類の遺伝子 特異的(GS)プライマーを、メッセンジャーの一部であるesiWayサイレンシングリソースを増幅するために使用しました。この製品は、dsRNAを作 成するためのin vitroトランスクリプションとesiRNAへのdicingを行うX-tremeGENE siRNA Dicerキットのテンプレートとして提供されます。

 

各トランスクリプトの残りのシークエンスフラグメントをElbasherとReynoldsらの方法[11、12]に従い解析しました。PCR増幅に至 適な部位を選択し、T7プロモーターシークエンステイルを含む、適切な遺伝子特異的プライマーをデザインしました。これらのプライマーを、それぞれのシー クエンスを増幅するために使用し、PCR産物(esiWayサイレンシングリソース)の品質は、均質性やサイズを検証するために、ゲル分析やキャピラリー 電気泳動で検査しました。

esiRNAの合成

完全なesiRNAの合成は、X-tremeGENE siRNA Dicerキットを使用して行いました。0.5μgのesiWayサイレンシングリソースを、末端のT7プロモーターシークエンスを利用して、in vitro 転写しました。RNAは沈殿法により精製し、95℃で5分の変性操作の後、dsRNAを作るためにアニーリングしました。このdsRNAを、1μgの dsRNA当り1ユニットのDicer酵素を使用して、37℃で16時間、切断しました。21から23-merの産物を分離するために、カラム精製システ ムにより反応産物を精製しました。

トランスフェクション

HeLa細胞は、24ウェルプレート(ウェル当り7.4×104細胞)を使用し、トランスフェクションの前に24時間静置し、 10% ウシ胎児血清、1× PEN/STREP、2 mM L-グルタミンを含むD-MEM中に播種しました。細胞は5μlのX-tremeGENE siRNAトランスフェクション試薬、20μlのOPTIMEM、25μlのOPTIMEM/esiRNAミクスチャーを使用して、サプライヤーのプロト コールに従いトランスフェクションしました。RNAはトランスフェクションの48時間後に回収しました。

mRNAレベルでのジーンサイレンシングの分析

トランスクリプター ファーストストランドcDNA合成キットを使用して、1μgのトータルRNAを逆転写しました。LightCycler TaqManマスターを使用して、LightCycler 2.0インスツルメントでリアルタイムPCRを実行しました。至適なアッセイ、ユニバーサルプローブセットの相当する標識プローブ、遺伝子特異的プライ マーをデザインするために、ProbFinderソフトウェアを使用しました。mRNAレベルはハウスキーピングジーン転写産物(GAPDHあるいは HPRT1)の量を参照して補正しました。

結果と討論

ジーンサイレンシングの効率

esiRNAを上述の通り作成し、X-tremeGENE siRNAトランスフェクション試薬を用いてHeLa細胞にトランスフェクションしました。98-100%のトランスフェクション効率が認められました (データ未掲載)。HPRT1(RZPDp30000D098)esiWayサイレンシングリソースを使用して、X-tremeGENE siRNA DicerキットによりesiRNAを作成しました。様々な濃度のesiRNAをトランスフェクションしました(図2)。

トランスフェクションの48時間後、RNAを分離し、定量PCRを行いました。データは、50 nMのルシフェラーゼsiRNAのトランスフェクションをリファレンスとして補正しました。データは、低濃度のsiRNAでも高いノックダウン効率を持つ ことを示しています。5 nMのHPRT1 esiRNAが68%のサイレンシングを引き起こしています(図2)。10 nM、15 nM、50 nMと濃度を順次増やしていくと、ノックダウン効率も86%、90%、94%と上昇していきました。データは生物的に3回測定、手法的に2回測定して作成 しました。並行して行ったトランスフェクションの最小限の標準偏差は、この技術の高い再現性を反映しています。

図2:様々な濃度のesiRNAを使用したHPRT1のサイレンシング。
LightCyclerシステムを使用したmRNAの定量が、トランスフェクションの48時間後に行われました。データはルシフェラーゼsiRNAをリファレンスとして補正されています。

 

サイレンシングの頑健さ

それ以上に、50種類近くの遺伝子に対する同様の実験で、25 nMのesiRNA濃度において少なくとも70%のジーンサイレンシングが観察されました。それゆえ、esiRNA濃度の至適化は不要で、標準の25 nMのesiRNAプールが使用できました。実際、ヒトCaveolin 1遺伝子において、CAV1に対する特異的なesiWayサイレンシングリソースであるRZPDp3000A129を使用した場合、48時間後に99%の サイレンシングが観察されました(データ未掲載)。

esiRNAは、esiRNAを構成する数百の異なるsiRNA分子(長鎖dsRNAより作成されるsiRNA分子)の付加効果に頼っています。プール 内の個々のsiRNAの濃度はそれぞれ0.1 nM以下ですので、それらはサイレンシング効果を構成しそうもありませんが、それゆえoff-Target効果は観察されません。合成のsiRNAや shRNAは21ベースのたった一つのシークエンスエレメントのみを認識します。それに対して、esiRNAでのサイレンシング効果は、多数の分子にわた りますので、個々のsiRNAデザインに依存せず、頑強なノックダウンをもたらします。

ジーンサイレンシングにおけるesiRNAのポジション効果

転写産物におけるesiRNAのそれぞれの部位での潜在的効果を検討するために、我々はlamin A/C(RZPDp3000C044)を例として選択し、3181 bpのlamin A/C mRNAの全長に対するesiWayサイレンシングリソースを作成しました(表1、図3)。5種類のesiWayサイレンシングリソースから派生した esiRNAを調製し、並行実験において一定の条件下でHeLa細胞にトランスフェクションしました。48時間後、lamin A/CのmRNAをRT-PCRで定量しました。lamin A/Cの転写産物の中央に位置するesiRNAは52-61%のサイレンシングを示し、5'UTRとオープンリーディングフレーム(ORF)の開始点をカ バーするesiRNAはノックダウンを示しませんでした。それに対し、3'UTRを指向するesiRNAは平均68%のノックダウンと最高の性能でした。

図3:lamin A/Cに対する5種類のesiWayサイレンシングリソースから派生したesiRNA(15 nM)をトランスフェクションした後のHeLa細胞におけるlamin A/Cのノックダウン。
esiRNA作成に使用した部分的シークエンスの局在は、mRNAパネルの下に記載しています。RZPDとラベルされた産物は、RZPDが推奨する lamin A/C(RZPDp3000C044)のためのesiWayサイレンシングリソースです。合成ルシフェエラーゼsiRNAがネガティブコントロールとして 使用されました。qPCRの結果補正は、lamin A/Cの発現レベルに対するレファレンス遺伝子として、HPRT1を使用して行いました。

 

表1:lamin A/Cへのサイレンシング能をスキャンするために使用されたesiRNA作成用のテンプレート。相対的位置(各テンプレートの始点と終点)はリファレンスシークエンスとしてNM_17070(gi: 27436945)でのbpとして記述されています。

  開始点(bp) 終点(bp) 長さ(bp)
A 27 550 524
B 561 861 301
C 1115 1522 408
D 1805 2268 464
RZPD 2834 3124 291

この初期実験は、転写産物へのesiRNAの相対的な位置が重要でないという事実を指摘しています。siRNAは開始コドンATGの近接にあるべきだと の(アンチセンスオリゴを用いたジーンサイレンシングにおける)初期の指摘は、esiWayサイレンシングリソースにとっては真実ではありませんでした。 この初期実験を証明するために、我々は更なる転写産物の詳細な検討を行うつもりです。

アクセスとアウトルック

ジーンノックダウン分野におけるロシュ・ダイアグノスティックスとRZPDの共同マーケッティング

現在、RZPDではヒトの5,000種類とマウスの14,000種類の遺伝子に対するesiWayサイレンシングリソースを提供しています。我々は 2005年の終わりまでにヒトゲノムを完了する予定です(他のスプライスフォームなし)。これらのリソースにアクセスするには様々な方法があります: (a)ゲノムキューブを使用してのキーワード、ジーンID、AccNoサーチ、(b)BLASTを用いたシークエンスの近似性サーチ、(c)アノテーショ ンを含む全データの大量ダウンロード。これらの特性は直接、RZPDのホームページで使用でき (https://www.rzpd.de/products/esiRNA/)、またプロトコールやハンドブックも提供されます。

ロシュ・ダイアグノスティックスのジーンノックダウン製品の詳細は、www.roche-applied-science.com/geneknockdownを訪問してください。

リファレンス

  1. Fire A et al. (1998) Nature 391:806-811
  2. Bernstein E (2000) Nature 409:363-366
  3. Fraser AG et al. (2000) Nature 408:325-330
  4. Boutros M et al. (2004) Science 303:832-835
  5. Elbashir SM et al. (2001) Nature 411:494-498
  6. Paddison PJ (2002) Gene Dev. 16:948-958
  7. Brummelkamp TR, Bernard R, Agami R (2002) Science 296:550-553
  8. Kitter R et al. (2004) Nature 432:1036-1040
  9. Yang D et al. (2002) PNAS 99:9942-9947
  10. Hannon GJ (2002) Nature 418:244-251
  11. Elbashir SM (2002) Methods 26:199-213
  12. Reynolds A et al. (2004) Nature Biotechnology 22:326-330

 

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関連製品名 製品番号 包装単位 希望価格
X-tremeGENE siRNAトランスフェクション試薬 4476093
4476115
1ml(400回*)
5×1ml(2000回*)
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トランスクリプター ファーストストランドcDNA合成キット 4379012 30回反応 ←製品番号をクリック
LightCycler 2.0インスツルメント 3531414 1台 ご照会
LightCycler TaqManマスター 4535286 96回反応 ←製品番号をクリック
LightCycler h-ハウスキーピングジーン セレクションセット 3310159 90回反応 ←製品番号をクリック
ユニバーサルプローブライブラリーセット、ヒト 4683633 20μlで625回反応、50μlで250回反応分の90プローブ ご照会

esiWayサイレンシングリソースの日本での取り扱いはB-Bridgeです(http://www.b-bridge.com/products/index.php?supplier=rzpd&product=siRNA)。

* 24ウェルプレートでトランスフェクションを行った場合の回数です。

BIOCHEMICA2005 NUMBER3 (No100)

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