ヒトパピローマウイルス オンコジーンに対するsiRNAの効率的なデリバリー

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製品名 製品番号 包装単位 希望価格
X-tremeGENE siRNA
トランスフェクション試薬
4476093 1 ml(400回*) ¥23,000
4476115 5×1 ml(2000回*) ¥92,000

*24ウェルプレートでトランスフェクションを行った場合の回数です。

特長

  • プラスミドとsiRNAの効率的なコトランスフェクションが可能
  • 操作ステップが少ない(無血清培地で希釈し、DNAと複合体を形成させ、細胞に滴下するだけ)
  • 効率的なノックダウン-トランスフェクションの困難な細胞でも成功

表1.トランスフェクションされた困難な細胞株

細胞株 組織
MCF-10A ヒト 乳腺上皮
MDA-MB-468 ヒト 乳がん
HUH-7 ヒト 肝臓がん
WI-38 ヒト 肺線維芽細胞
NIH3T3 マウス 胎児性線維芽細胞
MEF マウス 不死化線維芽細胞

はじめに

短い干渉RNA(siRNA)は特異的遺伝子をノックダウンするための有益なツールとなっています。siRNAは、がんにおける癌遺伝子の抑制など、高 度の特異性と医療との重要な密接性を示します。われわれは、ヒトパピローマウイルス(HPV)と、子宮頸部の発がん性における役割について精力的に研究し ています。ハイリスクHPVと呼ばれるサブセットは、子宮頸部がんの病因と関連し、97%以上のがんにおいてハイリスクHPVゲノムDNA陽性となってい ます。ウイルスのオンコジーンE6とE7は原発ならびに転移腫瘍のすべての細胞で発現し、持続的なE6/E7発現が発がん性に必要とされています。ハイリ スクHPVがコードしているE6タンパク質は、p53発がんサプレッサーを分解し、一方、E7タンパク質はレチノブラストーム(Rb)腫瘍サプレッサー ファミリータンパク質を阻害し、分解することが知られています。

子宮頸部がん細胞の特徴のひとつは、ウイルスE2オープンリーディングフレームの崩壊とHPVゲノムの重合状態です。E2の欠失は、子宮頸部がん細胞中 のウイルスE6/E7プロモーターのネガティブレギュレーターとして働くことで、-少なくとも十分に高い発現レベルにおいて、-発ガン進行に関与している と推定されています。HeLaなどのHPV陽性子宮頸部がん細胞へ外部からE2を再導入することは、E2のウイルスE6/E7プロモーター配列への結合 と、E6/E7発現の効率的な抑制を引き起こします。このE2を介してのがん遺伝子の抑制は、細胞の老化やアポトーシスによる、細胞の形質転換の復帰をも たらします。E2の発現は、ウイルスがん遺伝子の発現阻害に有用で、それはHPV陰性がん細胞のアポトーシスの原因となることが観察されています。E6と E7を細胞障害性により係わらず抑制するために、われわれはウイルスがん遺伝子に対するsiRNAの使用を選択しました。HPV18 E6/E7は2シストロン性メッセージから発現されるため、この2つのがん遺伝子は単一の二本鎖siRNAのターゲットとなりえます。

二本鎖siRNAを使用する効率的なRNA干渉は、トランスフェクション効率に依存します。二本鎖siRNAは従来のトランスフェクション試薬では簡単 にトランスフェクションできません。核酸を受容した細胞の比率を定量化するために、われわれはβ-ガラクトシダーゼ(β-Gal)マーカープラスミドを構 築しました。われわれは、数種類のトランスフェクション試薬がプラスミドDNA単独、あるいは二本鎖siRNA単独で十分に作動しますが、X- tremeGENE siRNAトランスフェクション試薬がプラスミドDNAと二本鎖siRNAの両方で作動することを見出しました。ここでは、X-tremeGENE siRNAトランスフェクション試薬を使用したHPV E6とE7オンコジーンの特異的ノックダウンが、HPV陽性子宮頸部がん細胞の増殖を効率的に阻害できた例を記述します。

材料と方法

トランスフェクションの前日に、HeLa細胞(Howley Laboratory, Boston, MA, USAより贈与)を、10%のFCS添加、抗生物質不含のDMEMの4 ml中(60-mmプレート)、および2 ml中(6ウェルプレート)に播種しました。細胞が60-80%のコンフルエントに達したとき、トランスフェクションを行いました。

β-ガラクトシダーゼの発現を定量化するために、6ウェル中の細胞をX-tremeGENE siRNAトランスフェクション試薬あるいは、他のメーカーの試薬Aでトランスフェクションしました。 X-tremeGENE siRNAトランスフェクション試薬においては、3μgのβ-Galプラスミドあるいは2μgのβ-Galプラスミドを、1μgの siRNA(Dharmacon Inc., Lafayette, Colo., USA)と共に、100μlの抗生物質不含の無血清培地中に希釈しました。各ウェルに対しては、トータル10μlのX-tremeGENE siRNAトランスフェクション試薬を、100μlの抗生物質不含の無血清培地中に希釈しました。希釈したトランスフェクション試薬を核酸に一滴ずつ加 え、室温で15-20分間インキュベートしました。その後、ミックスを一滴ずつ細胞に加えました。翌日に、毒性を顕微鏡で観察し、固定化した後、β- Gal発現を染色しました。青色に着色した細胞を計測し、トータルの細胞数に対する青色細胞のパーセントをデータとして集計しました。

プラスミド不在下での二本鎖RNAのトランスフェクションには、60-mmプレート中の細胞をモックトランスフェクションと同時に4μgのsiRNAで トランスフェクションしました。トランスフェクション操作は上述と同様でした。3日後にトータルRNAを採取し、HPV18 E6/E7およびGAPDHオープンリーディングフレームに特異的なプローブを使用して、ノーザンブロット分析を行いました。トータルタンパク質も3日後 に採取し、p53特異的抗体によりウェスタンブロットを行いました。細胞の形態学的実験では、トランスフェクションの3日後に鏡検を行いました。試薬Aは メーカーの指示に正確に従い使用しました。

結果と討論

2種類の試薬の、最初のトランスフェクションの24時間後のDNAトランスフェクション効率を比較するために、HeLa細胞中のβ-Gal活性を染色し ました(表2)。β-Gal陽性細胞のパーセントは、二本鎖RNAの存在、不在にかかわらず同一でした。トランスフェクション試薬Aでは、いかなるβ- Gal陽性細胞も検出されませんでした。これは、プラスミドのトランスフェクションが非効率であることを示唆しています。それに対し、X- tremeGENE siRNAトランスフェクション試薬では80-90%のトランスフェクション効率を示しました。細胞毒性効果はアポトーシス細胞や細胞残渣を鏡検すること で評価しましたが、両方の試薬ともほとんど影響を与えないことを見出しました(表2)。

表2.HeLa細胞を、X- tremeGENE siRNAトランスフェクション試薬と試薬Aを使用して、β-Galプラスミド単独、あるいはsiRNAと一緒にトランスフェクションしました。細胞はト ランスフェクションの24時間後にβ-Gal活性を染色し、顕微鏡で毒性の程度を鏡検しました。

  β-Gal効率 毒性
X-tremeGENEとβ-Gal 80-90% マイナー
試薬Aとβ-Gal None マイナー
X-tremeGENEとβ-Gal+ siRNA 80-90% マイナー
試薬Aとβ-Gal + siRNA None マイナー

β-Gal染色はプラスミドDNAのコトランスフェクションの成功しか表しませんので、siRNAのトランスフェクション効率を測定するために、機能 アッセイを行いました。HPV18陽性HeLa細胞をモックトランスフェクション、あるいはE6/E7特異的siRNAでトランスフェクションしました。 トランスフェクションされたHeLa細胞を、トータルRNAとタンパク質を分離するために3日後に採取し、ノーザンブロットとウェスタンブロット分析のた めに細胞抽出を行いました。ノーザンブロットは、HPV18 E6とE7シークエンスに特異的なRI標識プローブとハイブリダイズしました。ブロットをストリッピングし、コントロールとしてのGAPDHでリプロービ ングしました。二種類の試薬でモックトランスフェクションされた細胞(レーン1と3)に相対して、HPV18 E6/E7 siRNAをトランスフェクションされた細胞を含むレーンにおいて、HPV18 E6/E7のmRNAレベルの減少(図1a、レーン2と4)が観察されました。この減少はX-tremeGENE siRNAトランスフェクション試薬を用いた細胞のほうが、試薬Aを用いた細胞(レーン2と4)より顕著でした。

同じ量のトータルタンパク質を、p53特異的抗体によるウェスタンブロットに用いました(図1b)。p53タンパク質はE6による分解の対象であり、 E6の発現がRNA干渉により十分に抑制され た場合、p53の発現レベルが上昇します。モックコントロールのp53レベルに比較して、HPV18 E6/E7 siRNAを二種類の試薬でトランスフェクションされたHeLa細胞では、高いp53タンパク質レベルが検出されました(図1b)。ただし、 モックコントロールにおいてX-tremeGENE siRNAトランスフェクション試薬と比較した時、p53のレベルが試薬Aで誘導されていました(レーン3と1)。p53レベルの上昇は、培養細胞におい て細胞増殖の停止やアポトーシスを誘導すると知られているため、p53でのトランスフェクションに関連する効果を最小限に抑えることは、機能研究において重要です。

最終的に、HPV18 E6/E7に対するRNA干渉は、HeLa細胞において細胞の老化の原因になると報告されていますので、われわれはX-tremeGENE siRNAトランスフェクション試薬でトランスフェクションされた細胞の、典型的な老化に関連する紡錘状の巨大な細胞形態をモニターしました(図1c)。 期待されたとおり、HPV18 E6/E7 siRNAをトランスフェクションされたHeLa細胞において、老化細胞の特徴が観察されました。同様の効果はモックトランスフェクションされたHeLa 細胞コントロールでは見られませんでした。HPVオンコジーンを持たない293細胞株が実験の陰性コントロールとして使用されましたが、影響は無く、 RNA干渉が特異的であることが確認されました。

図1:細胞を、X-tremeGENE siRNAトランスフェクション試薬や他のメーカーの試薬Aで、モックトランスフェクションならびにHPV18 E6/E7 siRNAでトランスフェクションしました。
(a) HPV18 E6/E7 mRNAの発現をノーザンブロット分析で定量しました。(b) p53タンパク質の発現を、Bradfordアッセイにより測定されたタンパク質の当量を用いて、ウェスタンブロットで定量しました。(c) 細胞の増殖と形態を評価するために、同一の倍率で写真を撮りました。

結論

X-tremeGENE siRNAトランスフェクション試薬は、最小の毒性で、プラスミドDNAとsiRNAを培養細胞に効率的に導入できる優れた製品です。将来的には、この試 薬とHPV18 E6/E7 siRNAの組み合わせは、HPVオンコジーンの分子パスウェイの分析において、有用なツールとなるでしょう。

参考文献

  1. Shi Y (2003) Trends in Genetics 19: 9-12
  2. Howley PM (1996) Papillomavirinae: Viruses and their Replication. In Fields BN, Knipe DN and Howley PM (eds) Fields virology, 3rdedn Lippincott-Raven, Philadelphia
  3. Webster K et al. (2000) J Biol Chem 275: 87-94
  4. Hall AHS and Alexander KA (2003) J Virol 77: 6066-6069

著者:Trisha M. Wise-Draper and Susanne I. Wells
Division of Hematology/Oncology, Children's Hospital Medical Center
The University of Cincinnati, College of Medicine, Cincinnati, Ohio, USA

ニュース速報!!
X-tremeGENE siRNA DICER Kit 近日発売
発売に先立ち、キットの概要をご案内します。X-tremeGENE siRNA トランスフェクション試薬と組み合わせると、お互いのパフォーマンスが最高に発揮できます。

BIOCHEMICA2005NUMBER1(No98)

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