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イントロンを含む前駆tRNAは、エンドヌクレアーゼとRNAリガーゼにより段階的にスプライシングされます。イーストのtRNAリガーゼは少なくとも 3つのドメインを含む95 kDの多機能性タンパク質です。このtRNAリガーゼの構造は、最近になり明確にされました。
おそらくその高分子量のために、このタンパク質は容易に分解します。その上、tRNAリガーゼのmRNA分子は強い二次構造を持ち、特に原核細胞システ ムにおいて、タンパク質を成熟させること無く生合成が終了します。それゆえ、大腸菌によるイーストtRNAリガーゼの発現は、多数のタンパク質断片の作成 を導き、その結果として収量が低くなっていました。
| 製品名 | 製品番号 | 包装単位 | 希望価格 |
|---|---|---|---|
| RTS 100小麦胚芽 CECFキット |
3728811 | 1キット (50μl反応で24回) |
¥140,000 |
| RTS pIVEX小麦胚芽 His6-タグ ベクターセット |
3728803 | 2ベクター | ¥ 25,000 |
| RTS 100 E. coli HYキット | 3186148 | 1キット (50μl反応で24回) |
¥ 58,000 |
| RTS pIVEX His6-タグ2nd ジェネレーションベクターセット |
3269019 | 2ベクター | ¥ 25,000 |
われわれは、最近開発されたロシュ・ダイアグノスティックスのE. coli(RTS 100 E. coliHY) および小麦胚芽(RTS 100 Wheat Germ CECF)によるラピッドトランスレーションシステム(RTS) を使用して、リコンビナントのイーストtRNAリガーゼの合成を研究し、小麦胚芽ライセートにより、C-末およびN-末にヒスチジンタグを持つ、未分解の tRNAリガーゼが効率的に作成されることを見出しました。それに比べ、E. coliシステムでは完全長のtRNAリガーゼの収量は低いものでした。Ni-NTAアフィニティクロマトグラフィーで精製されたリコンビナント酵素は、その天然の基質であるtRNAハーフをライゲーションすることが可能でした。
最近、われわれは植物のtRNAリガーゼを同定し、機能ドメインの生物学的な特徴づけを計画しています。
発現ベクターpDAKCに最初に含まれていた完全なイーストtRNAリガーゼ遺伝子をPCRで増幅し、RTS 100 E. coliでの発現のために、pIVEXのNcoI/SalIサイトにクローニングしました。これでリコンビナントタンパク質はN-末端にヒスチジンタグが付加されます。RTS 100小麦胚芽システムでの発現には、イーストtRNAリガーゼ遺伝子はpIVEX WG 1.3のNcoI/XhoIサイトにクローニングされます。これによりリコンビナントタンパク質はC-末端にヒスチジンタグが付加されますが、N-末にヒスチジンタグを付加する場合は、pIVEX WG 1.4のNcoI/XhoIサイトにクローニングします。ベクターDNAへのイーストtRNAリガーゼ遺伝子の正確なクローニングは、DNAシークェンスで確認しました。
イーストtRNAリガーゼは、プロトコール通りにRTS 100 E. coliHYキットで発現されました。反応ミックスは0.05 mMの未標識メチオニンと0.02μCi/μlの[35S]-メチオニンを含み、30℃で図に表示した時間インキュベートしました。
イーストtRNAリガーゼは、プロトコール通りにRTS 100 WG CECF キットで発現されました。反応ミックスは0.07 mMの未標識メチオニンと0.03μCi/μlの[35S]- メチオニン(SJ 1515、アマシャムバイオサイエンス)を含み、30℃で図に表示した時間インキュベートしました。それぞれの反応サンプルから2μlの溶液を分取し、 SDSポリアクリルアミドゲルにアプライしました。タンパク質の分離後、ゲルをクマシーブリリアントブルーで染色し、フルオログラフィー用に調製しました。
反応ミックスを30,000 gで15分間遠心し、50 mM Tris-HCl、pH 7.5、200 mM NaCl、5 mMのイミダゾールを含む結合バッファーで、上澄を10倍に希釈しました。Ni-NTAアガロースへの結合は、4℃、2時間のバッチ法で行われ、20 mMのイミダゾールを含む同じバッファーで洗浄し、500 mMのイミダゾールで溶出しました(図2)。
合成32P標識プレRNA(タバコ チロシンtRNA遺伝子を含むイントロンに由来)がT7 RNAポリメラーゼでin vitro合成され、その後のスプライシングアッセイの基質として使用されました。反応ミックスは、まずtRNAハーフを作成するために、小麦胚芽よりのtRNAエ ンドヌクレアーゼを多く含む分画とプレインキュベーションされました。次に適当な量のリコンビナントtRNAリガーゼを加え、ライゲーションされたハーフ の作成、すなわちtRNAのスプライシングにより酵素活性をモニターしました。
イーストtRNAリガーゼ遺伝子が、適切なベクターDNAにクローニングされ、イソプロピル-β-D-ガラクトピラノシド(IPTG)の誘導によるE. coli培養での発現に成功しました。しかし、プロテアーゼ不含株においても完全長タンパク質に加え、低分子量の多くの断片が産生されました。われわれはこの遺伝子をpIVEX2.4cベクターにクローニングし、E. coliライセート(RTS 100 E. coliHYキット)中で、リコンビナントtRNAリガーゼのin vitro産生についで研究しました。古典的なin vivo発現システムで観察されたように、97 kDの完全長タンパク質以外に、多くの小断片を検出しました(図1)。結果として、イーストtRNAリガーゼの収量は低く、インキュベーション時間の変 更、温度の低下、プロテアーゼインヒビターやGroEサプリメントの添加、などのパラメーターを変更しても改善できませんでした。タイムコース実験は、観 察されたタンパク質断片は完全長タンパク質の特定の分解ではなく、むしろイーストtRNAリガーゼのmRNAの強い高次構造のために、タンパク質合成が途中で止まった結果であることを示唆しています(図1)。
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| 図1:[35S]メチオニンで標識されたin vitro合成イーストtRNAリガーゼのフルオログラム。リコンビナントタンパク質の発現は、RTS 100 E. coliHYキットを使用して行われた。産物は、10%ポリアクリルアミド、0.1% SDSゲルで分離された。 |
われわれはまた、小麦胚芽ライセート(RTS 100 WG CECF キット)に基づくIn vitro発現も実験しました。この目的のために、イーストtRNAリガーゼ遺伝子遺伝子を、それぞれC-末、N-末にヒスチジンタグを持つpIVEX WG 1.3とpIVEX WG 1.4ベクターにクローニングしました。この2種のタンパク質は同様に良く発現されました。すなわち、クマシーブルー染色と分子量マーカーの希釈系列との 比較から類推して、約10μgのイーストtRNAリガーゼが50μlの反応液中で発現されていました。これは、正確な翻訳の開始が、両方のケースで起こっ ていることを示唆します。これらの発現タンパク質の80-90%が可溶性の分画に存在しました。<32 kDのタンパク質断片は非常に少なく、ほとんどが不溶性分画で検出されました。97 kDの完全長タンパク質は、小麦胚芽ライセートで合成される主要な産物でした(図2)。イーストtRNAリガーゼの評価は、[35S]メチオニンを含む反応ミックスの高感度フルオログラフィーか、抗His抗体でのウェスタンブロットで行いました。イムノブロットは、観察されたリガーゼタンパク質の32-kDaサブフラグメントが、N-末端から始まっていることを明らかにしました(データ未掲載)。
リコンビナントtRNAリガーゼの精製には、50μlの反応液中でHis-タグタンパク質を発現させ、Ni-NTAカラムによる天然条件でのアフィニ ティクロマトグラフィーにより精製しました。回収率は500 mMのイミダゾールで溶出された分画の大部分で、それぞれC-末タグタンパク質では70%、N-末タグタンパク質では80%でした(図2)。
多くの真核細胞遺伝子のコーディング部位に割り込む介在配列は転写され、次にRNAプロセッシングパスウェイにより除去されます。前駆tRNAのイント ロンは、2種の酵素の段階的反応によりスプライシングされます。最初に、エンドヌクレアーゼが3'と5'スプライス部位のホスフォジエステル結合を切断 し、直鎖のイントロンと同様に、2',3'-環状リン酸と5`末端を持つtRNAハーフが創生されます。次に、tRNAのハーフはATP/GTP依存 RNAリガーゼにより結合されます。
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| 図2:RTS 100小麦胚芽CECFキットを使用してのイーストtRNAリガーゼの発現と、その後の精製。 (a) N-末およびC-末にヒスチジンタグを持つリコンビナントタンパク質の発現を示している。ベクターDNAのインキュベーションは24度で24時間、[35S]- メチオニン含有の50μlの反応ミックス中で行われた。トータル反応液(T)の2μl、30,000 gでの遠心の上澄(S)およびペレット(P)の適当量を、 10%ポリアクリルアミド、0.1% SDSゲルにロードした。クマシーブリリアントブルー染色の後、ゲルはフルオログラフィーのために現像された。 (b) 20μlの反応液からの発現N-タグtRNAリガーゼはNi-NTAアガロースクロマトグラフィーで精製できた。Ni-NTAアガロースに結合する前 (S)と後(FI)のタンパク質ミックスが、500 mMのイミダゾール(E)での溶出の最初の分画と同様に示されている。 |
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| 図3:タバコのイントロンを含むプレtRNATyrのスプライシング。前駆tRNAはエンドヌクレアーゼを多く含む分画と60分間プレイン キュベーションされ、介在配列(IVS)が削除され、5'と3' tRNAハーフが作成された。次に、20μlの反応液量あたりに約20 ngのN-タグ化リコンビナントtRNAリガーゼを加え、表示の時間通りに37℃でのインキュベーションを行った。右のレーンはtRNAリガーゼの不在下 での前駆体のインキュベーションを示している。産物は10%アクリルアミド、8 M尿素ゲルで分析された。 |
精製されたHisタグ化リガーゼタンパク質の酵素活性は、イントロンを含むプレtRNA基質により測定されました。この前駆体は、5'と3' tRNA ハーフを作成するために、最初にエンドヌクレアーゼを多く含む分画とプレインキュベーションされ、次にリコンビナントtRNAリガーゼが加えられました。 スプライシングされた産物(成熟tRNA)が、N-タグtRNAリガーゼの10分間のインキュベーションにより、明瞭に作成されています(図3)。 tRNAハーフのライゲーションは、リコンビナントタンパク質を加えていないコントロール反応では起こっていません(図3、最も右端のレーン)。C-タグ tRNAリガーゼも同様にtRNAハーフのライゲーションを刺激しました(データ不掲載)。
RTS 100小麦胚芽CECFキットの採用により、われわれは分解されていない97 kDのイーストtRNAリガーゼを可溶性分画に優勢的に作成することが出来ました(50μlの反応ミックスで10μg)。これはNi-NTAアフィニティ カラムでの精製と、その後の酵素活性測定に十分な量でした。N-末やC-末にヒスチジンタグを持つ精製リコンビナントtRNAリガーゼ調製品は、両方とも 機能活性を持っていました。小麦胚芽でのイースト酵素の効率的な発現に対して、RTS 100 E. coliシステムでは、多数のタンパク質断片が作り出されるため、 リコンビナントタンパク質の収量は低くなりました。
著者:Markus Englert
Institute of Biochemistry, Biozentrum, University of Wurzburg, Germany
BIOCHEMICA2004NUMBER3(No96)
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