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この10年以上にわたり、多くの生物において大スケールのゲノムプロジェクトが行われ、ゲノム配列に関する多数の結果をふまえ、いまや機能研究の準備が整いました。特定の遺伝子を発現している組織と細胞に関する知識が、遺伝子機能の理解の鍵となります。
マイクロアレイや同様のハイスループット遺伝子発現技術は十分に確立され、同時並行での多数の遺伝子の発現の測定に広く使用されています。しかしなが ら、発現パターンの細胞内での分解能や正確性に関しては、組織解剖体のレベルでは制限がありました。それでもなお、これらはIn Situ ハイブリダイゼーションによる分析に適した遺伝子の選択に対する優れたフィルターです。
In Situ ハイブリダイゼーションは、空間的な詳細を保証し、無傷の組織環境において少数の陽性細胞を検出できる遺伝子発現テクニックです。この技術は遺伝子の機能分析にきわめて重要で、20年以上にわたり生物および医学研究で広範囲に使用されてきました。最近になり、In Situ ハイブリダイゼーションによる大量の遺伝子の同時分析を可能にするために、操作法が全自動化されました。
Non - RIのIn Situ ハイブリダイゼーションの自動化は、スループットを増やすだけではなく、技術的な困難さや労働集約的、人間のエラーなどの大きな障害を克服し、温度やピペッティング容量、インキュベーション時間、多数の反復などの、重要なパラメーターの正確な制御に力を発揮します。
In Situ ハイブリダイゼーションを自動化するための機器は、市場にはあまり存在しません。動物の卵や幼生、ごく小さい植物根端などの、大変に小さく透過性の組織サンプルのためには、ホールマウントIn Situ ハイブリダイゼーションに至適化された機器(Intavisなど)が最適です。しかし、大多数の組織はホールマウント法には大きすぎるので、更なる分析のためには切開、切片化、顕微鏡スライドへの塗付を行わなければなりません。
ハノーバーのマックスプランク インスティチュートの実験内分泌学と、スイスの研究室自動化会社のテカンは、組織切片の顕微鏡スライドを作成する新しいシステムを共同で開発しました。組 織切片を載せたスライドはフロースルーチャンバー内に装着され、操作の終わりまで保持されます。毛細管現象により組織切片は常に液体で覆われ、乾燥から保 護されます。すべての溶液は、コンピュータ制御された液体搬送システムにより加えられ、その注入により、事前のインキュベーション時の溶液を排出します。 機器は96スライドを同時処理するための2個の過熱槽を備えています。
このレポートで述べられた結果は、Gregor Eichele教授のグループにより作成されました。提示された例は、成熟マウスの脳のカルビンディンと、14.5日齢マウス胎児の神経栄養チロシンキ ナーゼ タイプIIレセプター(Ntrk2)の発現です。このグループの、大スケールマウス遺伝子発現プロジェクトの更なる結果は、www. gene- paint.orgで見ることができます。Non - RIの自動In Situ ハイブリダイゼーション法とそのアプリケーションは以前に述べられています。
対象の遺伝子に対応するDNAテンプレートは、T3あるいはT7、SPプロモーター配列も含む遺伝子特異的プライマー - ペアを使用して、PCRで作成しました。1μgのゲル精製テンプレートを使用し、DIG RNAラベリングキットでのin vitro 転写により、DIG標識RNAプローブを作成しました。プローブ濃度は、ハイブリダイゼーションバッファー中で100 ng/μlに調整しました。DIG RNAプローブは使用まで-20℃で保存しました。
成熟マウス脳および14.5日齢胎児を単離し、O.C.T. 4583(Tissue - Tek, Sakura)を含む包埋チャンバー内に移し、ゆっくりと凍結しました。組織はライカCM3050Sクリオスタットで20μmの厚さで切片にし、スーパー フロストプラス顕微鏡スライド上に置きました。
切片は、PBSバッファー中4%のパラホルムアルデヒドで20分間固定され、洗浄後に、エタノール系列により親水化されました。このスライドは、-80℃の密閉チャンバー内で3ヶ月は保存できます。
数時間かけて室温に戻した後、スライドをフロースルーチャンバーに装着しました。RNAプローブとのハイブリダイゼーション用の組織切片を調製するため に、プレハイブリダイゼーション処理のシリーズに従いました。すべての必要な溶液は、ロボットプラットフォームの加熱リザーバー上に静置しました。ロボッ トはプログラム通りに、スライドチャンバー内に溶液をピペッティングすることにより、各ステップを全自動で行いました。望みのIn Situ ハイブリダイゼーション操作に対応する、多様なプログラムが使用できました。
DIG標識RNAプローブを変性し、機器プラットフォームの加熱マイクロ反応バイアルの適切な位置に静置します。スライド毎に最小120μl(至適は 300μl)のプローブを加え、60℃でオーバーナイトのハイブリダイゼーションを行います。10-80℃の間で、各フロースルーチャンバー内の温度変動 はわずか±0.5%です。加熱ラック全体にわたる熱変動は±1.0%です。この高度に正確な温度制御が、実験内や実験間での、一貫した再現性の高い結果を もたらします。
ハイブリダイゼーションの後、未結合のRNAプローブを除去するために、厳しい条件での洗浄を望みの温度(典型的には60℃)で行いました。ロボットは あらかじめ熱した洗浄溶液(SSC/フォルムアミド)を、加熱リザーバーから加熱されたフロースルーチャンバーにピペッティングしますので、熱の損失やス ライド上での泡の形成がありません。
一定の温度における数回のブロッキングステップが、非特異的バックグランドを減少させるために行われました。ブロッキングステップの後、抗ジゴキシゲニ ン抗体をスライドにアプライしました。典型的には、これらの抗体は発色検出のためのアルカリホスファターゼやペルオキシダーゼ、その他の酵素を標識した Fabフラグメントから構成されます。至適なシグナル増幅ステップ(TSAシステム、Perkin Elmer Lifescience)が微弱な発現遺伝子の転写を検出する手助けとなります。
未結合の抗体を除去する数回の洗浄ステップの後、発色反応の基質(BCIPとNBT)をスライドにアプライし、望みのシグナル強度に達するまでインキュ ベートします。反応時間はマニュアルやプログラムで設定できます。反応を停止した後、スライドのマウンティングと検鏡のために、発色沈殿を固定します。ス ライドをオーバーナイトで乾燥させ、水溶性のマウンティングメディウムでカバースリップします。
Non - RIの自動化In Situ ハイブリダイゼーションのために、テカンFreedom EVOロボット150/8ピペッティング機器(8連の溶液分注ニードル)とGenePaintシステムが使用されました(図1)。
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図1 a - c: (a)GenePaintシステムコンポーネントを搭載したテカン フリーダムEVOロボット150/8プラットフォーム。左から、2個のチャンバーラック、4個の加熱試薬リザーバー、反応チューブ用加熱ラック、15個の試薬リザーバー、3個の大きな試薬リザーバー。 (b)フロースルーチャンバーの一列の上に位置する8個のピペットを備えたテカンGenePaintチャンバーラック。その後には、スライドが熱交換壁に直接、接触する。 (c)組織切片(紫)を装着したテカンGenePaintフロースルーチャンバー、In Situ ハイブリダイゼーション後。 |
In Situ ハイブリダイゼーションロボットで作成されたスライドはカバースリップされ、写真が撮られました(使用機器はライカDMR顕微鏡、8枚のスライドをマウン トできるモーター駆動Märzhäuserステージ、ライカ電子焦点システム、JVC CCDカメラ、ステージとカメラを制御するPCコントローラー)。
DIGシステムとテカンピペッティング機器を組み合わせて、Gregor Eichele教授のグループは、ハイスループットですばらしい結果が恒常的に得られるIn Situ ハイブリダイゼーションへの適用に成功しました(図2と3)。
発現パターンは高いS/N比で、高度に特異的で再現性のあるものでした。さまざまな組織や遺伝子毎の発展ステージを代表する20枚のスライドのセットを使用して、200スライドポジションが入手可能な場合、1週間に50遺伝子が分析できました(図1b、c)。
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| 図2. 小脳プルキンエ神経でカルビンディン - 28K(カルシウム結合タンパク質をコード)の強い発現が見られる、成熟マウス脳の頭蓋頂の凍結切片。 |
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図3. 14.5日齢マウス胎児の神経栄養チロシンキナーゼ タイプIIレセプター(Ntrk2)をコードする遺伝子(TrkB)の強い発現が見られる、14.5日齢マウス胎児の垂直切片。 広く分布しているが、脳と脊髄、多くの頭方および軸線方向の筋肉構造、脊髄神経節(尾部)に特異的なことに注意。 |
DIGシステムは、ハイスループットで全自動のIn Situ ハイブリダイゼーションへの適用に成功し、すばらしい均質な結果を与え、多数のプローブのルーチン分析を可能にしました。ハイスループットのNon - RI In Situ ハイブリダイゼーションの自動化と適用により、多数の遺伝子の空間的発現パターンの詳細な分析が可能になり、機能ゲノミクスに新たな局面を加えるでしょう。
更なる情報は、DIGスペシャルインターネットサイト、
www.roche-applied-science.com/DIGを訪問してください。
| 製品名 | 製品番号 | 包装単位 | 希望価格 |
|---|---|---|---|
| DIG RNAラベリングキット | 1175025 | 1キット | ←製品番号をクリック |
| DIG RNAラベリングミックス | 1277073 | 40 μl(20回) | ←製品番号をクリック |
| DIG核酸検出キット | 1175041 | 1キット | ←製品番号をクリック |
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AP標識抗DIG抗体、 Fagフラグメント |
1093274 | 150 U(200 μl) | ←製品番号をクリック |
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ブロッキング リェージェント |
1096176 | 50 g | ←製品番号をクリック |
| ウシ血清アルブミン(BSA) | 711454 | 20 mg(1 ml) | ←製品番号をクリック |
| NBT/BCIPストック溶液 | 1681451 | 8 ml | ←製品番号をクリック |
| NBT | 1383213 | 3 ml(300 mg) | ←製品番号をクリック |
| BCIP | 1383221 | 3 ml(150 mg) | ←製品番号をクリック |
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プロティナーゼK, リコンビナント、 PCRグレード(凍結乾燥品) |
3115879 | 100 mg | ←製品番号をクリック |
| tRNA | 109495 | 100 mg | ←製品番号をクリック |
| SP6 RNAポリメラーゼ | 1487671 | 5,000 U | ←製品番号をクリック |
| T7 RNAポリメラーゼ | 881775 | 5,000 U | ←製品番号をクリック |
| T3 RNAポリメラーゼ | 1031171 | 5,000 U | ←製品番号をクリック |
BIOCHEMICA2004NUMBER1(No94)
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