DIGシステム-Non - RIの超高感度な核酸検出

DIGコーナー

ロシュ・ダイアグノスティックスは、Non - RIテクノロジーを最初に提供した会社の一つです。15年がたち、多くのメーカーから様々な製品が提供され、また定量的PCRテクノロジーが発展した中で、DIGシステムは、フィルター及びin situ ハイブリダイゼーションにおいて、いまも最初に選択される技術です。

RIによる標識と検出と比較して、DIGシステムは様々な利点を持っています:

  • 高感度(RIよりも感度が高い)
  • 短い露光時間(数時間や数日ではなく数分間)
  • 安全(危険な物質、環境汚染物質への接触が無い)
  • プローブは再使用が可能で少なくとも1年は安定
  • 十分に確立されたプロトコール(多年にわたる経験)
  • サザンブロットでの、容易なストリッピングとリプロービング(DNAプローブのためのアルカリ不安定性DIGリンカー)
  • ノーザンブロッティングでの簡便なストリッピングのための特殊プロトコール

DIGシステムはDNAやRNA、オリゴヌクレオチドプローブの安全で効率的な標識を可能にします。これらのプローブはすべてのハイブリダイゼーション反応に使用できます。特に:

  • サザンブロッティング、ドットブロッティング
  • ノーザンブロッティング
  • アレイ
  • コロニーハイブリダイゼーション
  • in situ ハイブリダイゼーション
  • ELISA

ロシュ・ダイアグノスティックスでは、様々な方法で核酸の標識・検出を行うための、幅広いキットや単品試薬を取り扱っています。概要の詳細は、DIG製品選択ガイドやwww.roche-applied-science.com/dig/のウェブサイトでご覧になれます。DIGアプリケーションとRI実験の個別の比較もこのウェブサイトでご覧頂けます。

DIGアプリケーションのヒント

以下にDIG標識と検出実験の有用なヒントについて簡単に記載します。

DNAの標識と検出(サザンブロッティングや類似のアプリケーション)

プローブ合成のために少量のテンプレートしか入手できない場合、あるいはテンプレートDNAが高品質では無い場合に、PCR DIGプローブ合成キットが推奨されます。このキットは、シングルコピージーンの検出に適する、高感度なハイブリダイゼーションプローブを、PCRで作成 するようにデザインされています。このキットの更なる利点は、PCR標識プローブの標識効率を、直接検出操作(定量的スポット試験)を用いずに、測定でき る事です。代わりに、迅速な標識抗率の推定が、定量的ゲル電気泳動で行えます。

きれいなテンプレートDNAが十分量入手可能な場合は、ランダムプライミングを使用する、DIG High Prime DNAラベリング&デテクションスターターキット IとIIを推奨します。これらのキットは、標識、ブロットメンブレンのブロッキング、ハイブリダイゼーション、検出に必要なすべての試薬を含んでいます。 実験の成功に必要なすべての物を含む、真のオールインワンのキットです。これらのキットは検出法により異なり:スターターキットIは発色検出 (NBT/BCIP)試薬を含み、スターターキットIIはCSPDによる化学発光検出試薬を含みます。

DNAプローブのサザンブロットへのハイブリダイゼーションの詳細なプロトコールは、DIGアプリケーションマニュアル、フィルターハイブリダイゼーション用の88ページを参照してください。

RNAの標識と検出(ノーザンブロッティングや類似のアプリケーション)

ノーザンブロットはDNA及びRNAプローブで行う事ができます。普通、RNAプローブがより特異的で高感度です。しかし、最高の感度と特異性が要求されない場合は、DNAプローブがより簡便です。

RNAプローブを使用する場合、DIGノーザンスターターキットが推奨されます。このキットはテンプレートとして直鎖DNAを使用し、SP6、T7ある いはT3 RNAポリメラーゼにより、RNA転写産物にDIG - 11 - UTPを取込ませます。検出はCDP - Starによる化学発光反応により行われます。DIG RNAラベリングキットは、最適なRNA発現ベクターと標識試薬を含みます。  RNAプローブののーザンブロットへのハイブリダイゼーションの詳細なプロトコールは、DIGアプリケーションマニュアル、フィルターハイブリダイゼー ション用の98ページを参照してください。

標識プローブの定量

DIGシステムは非常に高感度なため、至適な結果を得るためには、規定のプローブとテンプレート量で使用する事が重要です。また、スポット試験での DIG標識産物量を測定する事で、各標識反応の効率をチェックする事も重要です。これは、ハイブリダイゼーション溶液への正確なプローブ量の添加で行えま す(表1)。

直接検出法による標識抗率の推計の詳細なプロトコールは、DIGアプリケーションマニュアル、フィルターハイブリダイゼーション用の79ページを参照してください。

ハイブリダイゼーションでプローブ量を間違って使用した時の結果は、明白です。多すぎるプローブ量は、バックグランドの問題を引き起こし、少なすぎるプ ローブ量は、ハイブリダイゼーションシグナルの減少や不在を導きます。表1は、一般的なハイブリダイゼーションでの推奨DIG標識プローブ量をリストして います。

表1:ハイブリダイゼーション中のDIGプローブ濃度

プローブのタイプ ハイブリダイゼーション中のプローブ濃度
ランダムプライム標識DNA 25 ng/ml
PCR標識DNA スタンダードPCR標識反応液から2μl/ml
転写により標識したDNA 20 - 100 ng/ml
テイルしたオリゴヌクレオチド 1 - 10 pmol/ml
末端標識したオリゴヌクレオチド 0.1 - 10 pmol/ml

ハイブリダイゼーション条件

至適なハイブリダイゼーション条件は、ハイブリッドのタイプとGC含量に強く依存します。RNA - RNA及びRNA - DNAハイブリッドは、DNA - DNAハイブリッドより、高いハイブリダイゼーション温度を要求します。一般的に、様々なハイブリッドの相対強度は、RNA - RNAハイブリッド> RNA - DNAハイブリッド> DNA - DNAハイブリッドです。経験則より、40%のGC含量の哺乳動物ターゲットでは、DIG Easy Hybあるいは50% フォルムアミドの存在下で、至適なハイブリダイゼーション温度は、以下の通りです:

  • DNA - DNA: 37 - 42℃
  • DNA - RNA: 50℃
  • RNA - RNA: 68℃

我々は、DIGシステムのために特に開発され、無毒で、DNase及びRNaseの不含が保証されている、DIG Easy Hybの使用を強く推奨します。

ゲルにロードするターゲット核酸量

DIGシステムの高い感度の結果として、ロードするターゲットの量は、比較される他のシステムよりも少なくなっています(表2)。ポジティブチャージのナイロンメンブレンが、もっとも強いシグナルと、最少のバックグランドをもたらす事に注目してください。

表2:プローブとターゲットのハイブリッド検出のプロトコール

ブロットのタイプ DIG標識プローブのタイプ ロードするターゲットの量
サザン DNA プラスミド:< 1 ng
ゲノムDNA:1 - 5μg
(10μg以上は不可)
ノーザン DNA トータルRNA:1μg
mRNA:100 ng
DNA トータルRNA:5μg
mRNA:500 ng

検出法

通常、プローブとターゲットのハイブリッドは、アルカリホスファターゼ標識抗体により、発色あるいは化学発光反応で検出されます(表3)。多くのアルカ リホスファターゼ基質が使用できますが、我々は、化学発光にはCDP - StarやCSPD、発色にはNBT/ BCIPを推奨します。

表3:プローブとターゲットのハイブリッド検出のプロトコール

化学発光アッセイによるプローブ - ターゲットハイブリッドの可視化 必要時間
A:メンブレンの洗浄とブロッキング 35分
B:抗DIG抗体によるプローブ - ターゲットハイブリッドの局在 30分
C:メンブレンの洗浄による未結合抗体の除去 30分
D:化学発光によるブロット上のDIGの検出 10‐45分

化学発光あるいは発色検出の詳細なプロトコールは、DIGアプリケーションマニュアル、フィルターハイブリダイゼーション用の110と119ページを参照してください。ルミフィルムが、ブロットの化学発光シグナルの検出に有用です。

ストリッピングとリプロービング

ストリッピングとリプロービングの詳細なプロトコールは、DIGアプリケーションマニュアル、フィルターハイブリダイゼーション用の127ページにリストされています。

検出用の基質

CDP - Star-レディー・ツー・ユース

CDP - Starによるアルカリホスファターゼ活性の検出は、X - 線フィルム(ルミ - フィルム)やイメージング機器により記録可能な発光をもたらします。CDP - StarはCSPDと同じ特性を持っていますが、光の進展がより速く(CSPDの約10倍)、強度も強いため、露光時間を顕著に減少できます。シグナルの 寿命が約2日と長いため、多数の露光が可能です。化学発光基質はナイロンメンブレンにのみ適用できる事にご注意ください。

CSPD-レディー・ツー・ユース

CSPDによるアルカリホスファターゼ活性の検出は、X - 線フィルム(ルミ - フィルム)やイメージング機器により記録可能な発光をもたらします。長寿命のグロウ光により、複数の露光が容易に達成されます。CSPDやCDP - Starにより進展するブロットは、ナイロンメンブレンを使用した場合、容易にストリッピングとリプロービングが可能です。

NBT/BCIP

NBT/BCIPなどの発色基質を使用する利点は、X - 線フィルムを必要とせず、また、ニトロセルロースとナイロンメンブレンで使用できる事です。しかしながら、高感度を達成する場合、数時間の発色反応が必要 です。他の欠点としては、一回の結果しか得られず(多数の露光が不可能)、メンブレンのリプロービングに、ジメチルフォルムアミドによる、沈殿性色素の除 去を必要とする事です。

その他の基質と抗体

in situ 実験には、Fast Redタブレット(製品番号1496549)、BMパープル(製品番号1442074)、HNPP蛍光検出セット(製品番号1758888)、DAB POD基質(製品番号1718096)、及び多くの蛍光標識抗体を提供しています。

日本語版DIGアプリケーションマニュアル(フィルターハイブリダイゼーション用とin situハイブリダイゼーション用)を用意しております。ご請求はこちらまで。
http://www.rochediagnostics.jp/research/index.html

BIOCHEMICA2003NUMBER3(No92)

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