画期的なタンパク質発現システムであるRTS(Rapid Translation System)は、進化を続けます。 タンパク質の酵素的モノビオチン化用- RTS AviTagビオチン化試薬

RTS(ラピッドトランスレーション システム)コーナー

-タンパク質の変異分析とリガンドスクリーニングを実行するための効率的な手段

はじめに

タンパク質へのビオチン残基の部位特異的導入により、その固相化や精製、検出において、強力なアビジン/ストレプトアビジンテクノロジーが利用できま す。これは、ビオチンプロテインリガーゼ(BPL)により特異的に認識され、ビオチン化される部位を含む、ペプチドタグの導入により達成されます。ATP 依存性プロセスにおいて、BPLは特異的なペプチドタグ内部のリジン残基のε-アミノ基に、ビオチンを転移します。それに対し、化学的なビオチン化反応 は、煩雑な分離方法との組み合せと、通常は部位特異的ではない、対象のタンパク質とビオチン化試薬との化学量論的変動により、モノビオチン化が達成されま す。その上、酵素的アプローチは直接、in vivo およびin vitro タンパク質発現と連動させる事ができます。
この記事では、ラピッドトランスレーションシステムRTSと、E. coli プロテインリガーゼのための人工ビオチン化部位(AviTag, Avidity Inc.)を使用しての、タンパク質のモノビオチン化について記載します。その、SPR相互作用分析への応用についても提示します。

材料と方法

発現ベクター

C - 末端並びにN - 末端にAviTagを導入するためのシークェンスを含む、RTSでの発現ベクターpIVEX 2.7dとpIVEX 2.8dは、古典的なプライマー合成、アニーリング、ライゲーション反応で標準的なpIVEXベクターに挿入され、構築されました。N - 末端AviTagのヌクレオチドシークェンスは、プロテオエキスパートの計算アルゴリズムによりin vitro 発現への至適化がなされました。クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)の遺伝子が、制限酵素Nco I/Sma Iを用いてマルチプルクローニングサイトに挿入されました。

図1:in vitro タンパク質発現(ラピッドトランスレーションシステムRTS)と酵素による部位特異的ビオチン化(AviTag)のアプリケーションスキーム。
図2:a) RTS 100 E. coli HYキットを使用し、BirA量を増加させながらのpIVEX 2.7 CATのin situ ビオチン化と発現反応。
左:クマシー染色SDSゲル、CATのバンドが示される;右:ビオチン化CATとストレプトアビジンが複合体を形成した後の、DIG標識抗CAT抗体/POD標識抗DIG抗体でのウェスタンブロット検出。
b) RTS 500 E. coli HYキットを使用しての、pIVEX 2.8d WT CATとpIVEX 2.8d CAT(プロテオエキスパートアルゴリズムにより至適化されたコドン)のin situ ビオチン化と発現反応。

in vitro タンパク質発現とビオチン化反応

タンパク質発現はRTS 100 E. coli HYキット(並びにRTS 500 E. coli キット)を使用して行われました。ビオチン化反応は、タンパク質発現の開始点においてBirA、ビオチン、ATPを、その場に加える事で達成されました。

SDS - PAGEとストレプトアビジン ゲルシフトアッセイ/ウェスタンブロッティング

発現タンパク質は、市販のプレキャストSDSゲルとバッファー溶液(NuPAGE/Invitrogen)を使用してSDS - PAGEにより分析されました。分離されたタンパク質は、PVDFメンブレンにブロット(50 V、1.5時間)され、そのメンブレンは0.1% Tween 20を含むリン酸バッファー(PBST)中、5%の低脂肪ミルク(Merck)でブロックされた後、PBSTで3回洗浄されました。DIG標識抗CAT抗 体と、POD標識抗DIG抗体をストレプトアビジン ゲルシフトアッセイに、POD標識ストレプトアビジンをビオチン化タンパク質の検出に、Lumi - Lightウェスタンブロッティング基質と共に使用しました。分析はLumi - Imager/LumiAnalystで行いました。

ストレプトアビジン ゲルシフトアッセイのために、発現混合液を過剰量のストレプトアビジンとインキュベートしました。ストレプトアビジンの結合によるビオチン化CATの分子量の増加は、SDS - PAGEによりモニターされました。

分子間相互作用

抗CAT抗体のAviTag CATbioへの結合は、Biocore 3000を使用して、表面プラズモン共鳴(SPR)アングルのレコード変化によりモニターしました。in vitro 発 現ビオチン化CATは、更なる精製をせず、VSメンブレン 0.025μm(Millipore, VSWP 0 1300)を使用して、10 mM HEPES pH 7.4、150 mM NaClに対して短時間透析しました。サンプルを様々な濃度に希釈し、Biocoreストレプトアビジンチップにロードしました。ポリクローナル抗CAT 抗体の結合は、リファレンスとしてhhミオグロビンbioを使用して測定されました。

結果

CATはC - 末端AviTag発現ベクター(pIVEX 2.7d)にクローニングされました。図2は、BirA濃度に依存した、pIVEX 2.7d由来のC - 末端AviTag CATのビオチン化レベルを表しています。発現とビオチン化反応はRTS 100フォーマット中で2時間行われました。クマシー染色(図2a左)は、トータルCAT発現が一定に保たれている事を示しています。ストレプトアビジン ゲルシフトアッセイのウェスタンブロッティング(図2a右)は、未ビオチン化CATはその分子量の位置にあり、ストレプトアビジンと複合体を形成したビオ チン化CATは、高分子量側にシフトした事を表しています。未ビオチン化CATやビオチンでブロックされたストレプトアビジンによるコントロール実験サン プルでは、分子量は増えていません(データ未掲載)。50μlの反応ミックスに0.5μgのBirAの添加で、ほぼ完全なビオチン化が達成されました。

CATは、野生型AviTagヌクレオチドシークェンス、およびプロテオエキスパートで至適化されたAviTagヌクレオチドシークェンスを含む、N - 末端AviTag発現ベクター(pIVEX 2.8dWTおよびpIVEX 2.8d)中にクローニングされました。サイレントミューテーションのみが許容されました。発現とビオチン化は、RTS 500フォーマット中30℃、24時間で行われました。図2bはRTS 500発現混合液中の総タンパク質のクマシー染色ゲルを示しています。発現CATの総量は、至適化されたAviTagのケースで大きく増加しています。

次の実験は、in vitro 発現およびビオチン化タンパク質が、直接にストレプトアビジンコート済みチップの表面に結合できる事を示 しています。C - 末端AviTag CATは、29μMの濃度のpIVEX 2.7d CATテンプレートからRTS 100フォーマットで発現;完全なビオチン化は、Bir、ビオチン、ATPをin situ で加える事で行われました。発現/ビオチン化 ミックスから過剰のビオチンを除去するために、短時間の透析ステップが必要でした。混合液を100 nM、10 nM、1 nMのビオチン化CAT濃度にSPR分析ランニングバッファーで希釈しました。30 pmol、3 pmol、0.3 pmolのAviTag CATbioがSPRチップの3つの分離されたチャンネルにロードされ、質量の増加はそれぞれ、246、121、20共鳴ユニット(RU、図3:棒グラフ)でした。ポリクローナル抗CAT抗体との相互作用が、500 nMで測定されました。抗体は、表面に結合したAviTag CATbioと安定な結合を示しています。オフレートとT1/2分離は3種類の表面で測定され、72分間で1.5 - 1.7 x 10-4 x 1/sでした。

図3: a)1 nM、10 nM、100 nM溶液からBiacore SAチップに固相化されたAviTag CATbioのSPR分析。
ポリクローナル抗CAT抗体の結合/解離が見られる。
b)1 nM、10 nM、100 nM溶液からのAviTag CATbioのBiacore SAチップへの固相化。

結論

AviTagテクノロジーを採用した、ビオチン残基のタンパク質への部位特異的導入はRTSでのin vitro タンパク質発現と容易 に組み合わされました。タンパク質と、その既知あるいは未知の結合パートナーとの相互作用研究に使用するには、ほんの少量のビオチン化タンパク質しか、 SPRチップをコートするために必要ではありませんでした。タンパク質発現は同時並行-RTS 100 E. coli HYフォーマット中で96発現反応まで-で行えるため、このアプローチはタンパク質のミューテーション分析と、リガンドのスクリーニングに効率的な道を提供しました。

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製品名 製品番号 包装単位 希望価格
RTS AviTag E. coli ビオチン化キット、リニアテンプレート 3521818 1キット
(96回反応)
¥59,800
RTS AviTag E. coli ビオチン化キット、プラスミド 3514919 96回反応
(RTS 100)、
5回反応
(RTS 500)
¥56,000
RTS AviTag ビオチン化キット 3514935 96回反応
(RTS 100)、
5回反応
(RTS 500)
¥29,800
POD標識ストレプトアビジン 1089153 500 U ¥28,700
Lumi-Light ウェスタンブロッティング基質 2015200 400 ml ¥21,000

BIOCHEMICA2003NUMBER2(No91)

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