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-遺伝子からタンパク質相互作用分析までを数日間で
構造ゲノミクスにおける難題の一つは、多数の遺伝子の同時発現、タンパク質異型の作成、および機能と構造分析です。この難題を克服する戦略は、PCRを ベースとした高度に柔軟な直鎖発現エレメント(LEE)の作成と、それらのRTS 100 HYシステムでの発現、ロボット化された取り扱いと精製、システム化された相互作用分析です(図1)。すべてのステップはマイクロタイタープレート内で行 われ、変異タンパク質やトランケーションを含む96個のタンパク質異型が、自動で同時処理できます。合成配列(コドン利用の異型)の作成でさえ、このハイ スループットタンパク質製造システムで可能です。我々の最大の興味は、タンパク質の製造と、その薬理学的に妥当なターゲットとしての同定、阻害あるいは作 動薬を開発するための、機能と構造分析です。
| p - モジュール | orf - モジュール | t - モジュール | ||
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プロモーター (T7P、RBS、g10) |
融合ペプチド (Histag、AviTag、SBPtag) |
切断部位 (ファクターXa、 トロンビン) |
オープンリーディングフレーム 様々な生物種、 ミュータント、 トランケーション |
ターミネーター 切断部位 tag、T7T |
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3. RTS 500 HYあるいはRTS 9000 HYによるタンパク質発現のスケールアップ 図1:迅速な小スケールタンパク質製造と特徴付けを可能にする、ハイスループットタンパク質生産工程。 |
モデルとして、我々はヒト結合タンパク質4由来の5.2 kDa 結合ドメイン(mini - BP4)を選択しました。このmini - BP4配列を、10種のアミノ酸部位の変異導入により、30種類のミュータントを作成しました。mini - BP4構築物は、ロボットによるアフィニティ精製用にN - 末端にHis6、ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(SA - POD)による検出(ウェスタンブロット、スロットブロット)および表面プラズモン共鳴(SPR)相互作用分析用に、C - 末端にビオチン受容ペプチド(AviTag, Avidity Inc.)が融合されました。最終的に、インシュリン様成長因子1(IGF1)に対する結合挙動での、BP4の結合ドメイン内における30種類の点突然変 異の影響が、数日以内に測定できました。
PCRはエラーの無い、高い再現性を保証するロボットピペッターにより、行われました。オーバーラッピング伸長ライゲーションPCR(OEL - PCR)により、31種類の異なるmini - BP4ジーンを作成するために、55個ののオリゴヌクレオチドを使用しました。mini - BP4野生型ジーン(147 bp)は、ターミナルプライマー F1、R1およびOEL - プライマーwtF1、wtF2、wtR1、wtR2、wtR3により合成されました。部位特異的ミューテーションは、1個か2個を置換したミューテーショ ンプライマーで作成しました。mini - BP4シークェンスはプロモーターおよびターミネーターモジュールとのオーバーラップを形成する、ブリッジングプライマー、ブリッジF1とブリッジR1で 伸長されました。プロモーターモジュール(p - モジュール)はT7プロモーター、ジーン10エンハンサー、リボゾーム結合部位(RBS)、ATG開始コドン、His6タグ、ファ クターXa(FXa)切断部位のシークェンスを含んでいます。ターミネーターモジュール(t - モジュール)はFXa切断部位、AviTag、200 bpのスペーサー、T7ターミネーターのシークェンスを含んでいます(図2)。p - およびt - モジュールは、プルーフリーディングPCRにより作成され、その後にゲルによる精製と吸光度による定量を行いました。その次に、オーバーラップした mini - BP4シークェンスは、OEL - PCRによりp - およびt - モジュールと融合されました。ターミナルプライマーNtPとCtPは、p - および t - モジュールDNAと混合されました。オーバーラップしたmini - BP4 DNAを含むブリッジングPCR混合物が各反応に加えられました。PCRを介したライゲーションのために、酵素ブレンド(Expand High Fidelityシステム、ロシュ・ダイアグノスティックス)を使用しました。すべての合成mini - BP4 - LEEを図2に示します。
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図2:31種類のmini - BP4構築物は、OEL - PCRで合成され、プロモーターとターミネーターDNAモジュールと連結された。PCR産物は2%アガロースゲル上、エチジゥムブロミドで可視化された。 |
mini - BP4 - LEEは、E. coli 100 HYシステムにより転写/翻訳されました。遺伝子産物は組換えにより、N - 末端に6個のヒスチジンペプチドと、C - 末端にビオチン受容ペプチド(BAP、AviTag)と融合されました。in vitro 発現システムには、E. coli ビ オチンリガーゼ(BirA)とd -(+)- ビオチンが添加されました。BirAはAviTagシークェンスを認識し、中央のリジンを特異的にビオチン化し、部位特異的なビオチン標識融合タンパク質 を生成します。RTS反応物は、ビオチン化タンパク質が存在するため、非変性スロットブロットとPOD標識ストレプトアビジン検出で調査され(図3)、ビ オチン化His - BP4 - Avi変異タンパク質のみが、検出されました。ビオチンカルボキシラーゼキャリアタンパク質(BCCP)は、E. coli 内でのみ自然にビオチン化されるタンパク質ですが、この系では検出されませんでした。ビオチン化BCCPは、変性条件によるウェスタンブロット分析でのみ 検出されました。この一般的に応用の利く検出システムは、スロットブロットによる、高度に再現性があり構築物特異的な結果を持つ、タンパク質発現の迅速な スクリーニングを可能にしました。我々は、GroES/GroELの添加が可溶性を増加させ、タンパク質収量が6倍上がった事を見出しました。総タンパク 質収量の80%までが可溶性の形状で発現されました(データ未掲載)。
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図3:mini - BP4構築物の非変性スロットブロットおよび変性ウェスタンブロット分析。 スロットブロット(A1 - G4)とウェスタンブロット(レーン3 - 8)において、His6 - BP4 - AviTag変異タンパク質は、POD標識ストレプトアビジンとビオチン化AviTagを介して検出された。C5位とレーン1のコントロールは、モノビオ チン化されたPEX2タンパク質である。レーン2と対応するH4とA5位は、テンプレートを含まないRTS 100 HYライセートの陰性コントロールである。BCCPは、非変性スロットブロット分析(H4、A5)ではバックグランドシグナルを示さないが、変性ウェスタ ンブロット分析では検出された。矢印は、両法で検出された対応するサンプルを示している。 |
発現構築物はロボットプロセッサーで処理されました。RTS混合液は、ロボットのシェーカー台上で希釈され、室温で30分間インキュベートされました。 各混合液はNi - NTA磁性体アガロース懸濁液に移されました。ヒスチジンタグmini - BP4構築物の結合は、750 rpmの振とうでの30分間のインキュベーションで行われました。タンパク質のバックグランドは、異なるバッファーによる3回の洗浄で除去しました。融合 タンパク質は、最終的に高塩バッファーで溶出しました。構築物の正しいリフォールディングは、単純に空気による酸化で可能であると判明しました。ミクロス ケールの精製操作はRTS混合液の6倍希釈から開始しました。それゆえ、RTSの還元条件は減少し、his - BP4 - Avi内の2個のジスルフィド結合は正確に閉じ、酸化されました。いくつかのより高いリフォールディング効率は、様々なリフォールディング条件を試した後 で得られました(データ未掲載)。
精製されたmini - BP4変異タンパク質が、SPRテクノロジー(Biacore 3000)を使用して分析されました。溶出タンパク質は遠心され、上澄が希釈されました。融合タンパク質は、ストレプトアビジンコート済みチップ上にビオ チン化AviTagを介して固相化され、IGF1の希釈系列(12.5 nM~200 nM)が動的相互作用データを測定するために、インジェクションされました。データはバイナリー ラングミュア 1:1結合モデルを使用して評価されました。ビオチン化陰性コントロール(PEX2)をRTS 100 HYのライゼートにスパイクし、上記通り希釈し、差違シグナルとして測定しました。
BCCPと遊離のビオチンの除去は、SAコート済みセンサーチップ上へのビオチン化タンパク質の固相化に重要で、遊離のビオチンによる排除効果が起こっ てはいけません。フリービオチンを透析で除去した後、RTSライゼートから直接に未精製のHis - BP4 - Aviタンパク質を捕捉する事も可能です。
化学的アミンカップリングのような従来の固相法に比べ、AviTag融合タンパク質は部位特異的固相化の後でもインタクトで、3次構造に接近可能なた め、活性を保持しています。期待された通り、mini - BP4変異タンパク質はそれぞれ違う結合特性を示しました。すべての可溶性タンパク質において、高親和性結合体から機能を持たない構築物まで見出されまし た。また我々は、1:1ラングミュア結合モデルに合わない複合体結合挙動を持つタンパク質変異体を見出しました。この観察は、点突然変異BP4結合ドメイ ンの構造に関与する機能性の変化を反映しています。更なる構造-機能関連性が研究されています。
ここで、ハイスループットタンパク質製造(HTPP)プロセスが、合成工学的タンパク質の迅速な小スケール製造と特徴付けを可能にした事を述べました。 AviTag融合タンパク質の配列特異的で共翻訳的なビオチン化は、タンパク質の迅速な検出、定量、ストレプトアビジンコート済み支持体への部位特異的な 固相化を可能にしました。迅速な直鎖発現エレメント作成、in vitro 発現(RTS 100 HY)、ロボット支援タンパク質処理と精製、自動相互作用分析(Biacore 3000)の組み合せは、タンパク質変異体の製造と分析への価値あるシステムです。RTS 500 HYやRTS 9000 HYが提供するアップスケールの機会と共に、このテクノロジーは構造ゲノムプロジェクトを顕著に加速させる可能性を持っています。
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図4. 31種類のmini - BP4構築物がIGF1とのSPR相互作用分析(Biacore 3000)で解析された。 mini - BP4変異タンパク質は、ビオチン標識AviTagを介してストレプトアビジンコート済みセンサーチップに部位特異的に固相化された。26個のミュータン トは機能的に活性(wt - K68Q、V49I)で、6個は不活性(Y61F)、11個は複合体結合挙動が明らかにされた。4例のセンサーグラムを図に示した。 |
BIOCHEMICA2003NUMBER2(No91)
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