DIGラベルcRNAプローブを用いた、マウス胚におけるcardiac actin遺伝子の検出~ホールマウントin situ ハイブリダイゼーションの実際~

DIG コーナー

はじめに

生体内で遺伝子機能を解明するためには、まずその遺伝がいつどこに発現するかを把握することが必要である。Whole mount in situ ハイブリダイゼーションは、対象となる組織の大きさに制限はあるが、形態形成の過程など複雑な三次元構造における発現部位の同定のために非常に有用な方法である。

材料と方法

1)DIG標識cRNAプローブの作成

マウスcardiac actinのcDNAをテンプレートとしてDIG RNAラベリングキットの推奨する条件を用い、DIG標識cRNAプローブを作成した。プローブの長さは、通常200 baseから1.5 kb程度のものを用いるが、長いものは400 - 500 base程度にアルカリ加水分解すると良好な結果が得られることがある。

2)標本

受精後6.5日から10.5日くらいまでのマウス胎児をMEMFA (0.1 M MOPS、2 mM EGTA、1 mM MgSO4、3.7% Formaldehyde、pH 7.4)で4℃、16時間固定し、PBSで洗浄したのち、90%メタノールに移す。この状態で - 20℃で保存することが可能で、2-3ヶ月は安定である。

3)組織の前処理

75%メタノール 10分
50%メタノール 10分
25%メタノール 10分
PBT(0.1% Tween 20をふくむPBS) 10分、2回
Proteinase K(1:1000)
(50 mM Tris - HCl pH 7.4、5 mM EDTA)
5-12分、組織により異なる
0.1 M Triethanolamine - HCl(TEA)pH 8.0 2分、5回
0.1 M TEA、0.3% acetic anhydride 10分
0.2 M TEA、0.3% acetic anhydride、0.1% Tween 10分
PBT 2分、4回
4% パラホルムアルデヒド - PBS、0.1% Tween 20 30分
PBT 2分 5回

4)ハイブリダイゼーション

組織を2 mlのチューブに移し、1.5 mlのハイブリダイゼーション液(50% Formamide、5 x SSC、1 x Denhaldt’s solution、5 mM EDTA、0.1% Tween 20、1mg/ml yeast tRNA、100μg/ml Heparin、0.1% CHAPS)を入れ、組織が沈んだらハイブリダイゼーション液を取り除いて新しいハイブリダイゼーション液を入れ、65℃で2時間以上プレハイブリダイ ゼーションする。
プローブを1μg/mlになるよう加え、65℃で16時間ハイブリダイゼーションする。

5)プローブの洗浄

FSC(50% Formamide、2 x SSC、0.1% CHAPS、50 mM Glycine pH 7.2)で3回ゆすぐ。
FSCで65℃、20分、1時間、2時間、ゆっくり震盪しながら洗浄する。
PBT.3(0.3% Tween 20をふくむPBS)で室温、30分、2回洗浄する。

6)抗体反応

BR/PBT.3(2% Blocking Reagent in PBT.3)で1時間、室温でブロッキングする。
Anti - Dig - AP、Fabフラグメント(1:2000 in BR/PBT.3)を4℃、16時間反応させる。

7)洗浄

PBT.3で2回ゆすぐ。
PBT.5(0.5% Tween 20をふくむPBS)で20分、室温で2回洗浄する。
CT.3(100 mM Tris - HCl pH 9.5、150 mM NaCl、25mM MgCl2、0.3% Tween 20)で15分、室温で2回洗浄する。
CT(100 mM Tris - HCl pH 9.5、150 mM NaCl、25 mM MgCl2)で15分洗浄する。

発色

NBT/BCIP Stock Solution をColoring Buffer(100 mM Tris - HCl pH 9.5、150 mM NaCl、25mM MgCl2、10% Poly(vinyl alcohol)[分子量:13,000~23,000;アルドリッチケミカルカンパニー])で1:20に希釈し、組織を入れて遮光する。
30分から3時間で発色する。

発色後、4% パラホルムアルデヒド - PBSで30分から1晩、固定する。
固定後、PBT.3で洗浄し、Poly(vinyl alcohol)を完全に除去し、90% メタノールに移して観察、写真撮影を行う。
標本は、90% メタノールに入れたまま室温で保存できる。またパラフィン包埋して切片を作製することもできる。

結果

図に示すように、心臓、体節にcardiac actinの強い発現をみる。

図1:DIG標識cRNAプローブを用いたホールマウントin situハイブリダイゼーションの結果。

参考文献

  1. Wei,L, Imanaka - Yoshida,K. Wang,L. Zhan,S., Schneider,M.D., DeMayo,F.J., Schwartz,R.J. Inhibition of Rho Family GTPases by Rho GDP dissociation inhibitor disrupts cardiac morphogenesis and inhibits cardiomyocyte proliferation. Development 129: 1705 - 1714 (2002)
  2. Wei, L., Roberts, W., Wang, L., Yamada,M., Zhang,S., Zhao,Z., Rivkees, S.A., Schwartz,RJ, and Imanaka - Yoshida, K. Rho kinases play an obligatory role in vertebrate embryonic organogenesis. Development 128: 2953 - 2962 (2001)

(今回、三重大学医学部病理学第1講座の今中 恭子先生のご厚意によりご提供頂きました。)

Order INFO

製品名 製品番号 包装単位 希望価格
DIG RNAラベリングキット 1175025 1キット ¥60,700
Proteinase K(溶液タイプ) 3115887 1.25 ml ¥ 8,300
3115828 5 ml ¥21,500
3115844 25 ml ¥64,700
フォルムアミド 1814320 500 ml ¥ 6,300
AP標識抗ジゴキシゲニン、
Fabフラグメント
1093274 150 U
(200 μl)
¥18,800
NBT/BCIPストック溶液 1681451 8 ml ¥13,200

BIOCHEMICA2003NUMBER2(No91)

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