様々な発現ベクターのRTS発現システムでの互換性

RTS(Rapid Translation System)コーナー

背景情報

RTSはT7 RNAポリメラーゼと至適化されたE. coli ライセートに基づく、高収量のセルフリータンパク質発現システムです。ターゲットの遺伝子を必要な調節エレメントと連結させるために、pIVEXベクター ファミリーがRTS用にデザインされています。これらのプラスミドは、T7プロモーター、ストップコドンとの間に至適化されたスペースを持つリボソーム結 合部位、T7ターミネーター、それに加え簡便なDNA増幅のための、高コピーの複製オリジンを含んでいます。すべてのN-末端にHisタグシークェンスを コードしているpIVEXは、転写mRNAが低いフォールディング特性を持つようにデザインされ、RTS反応での高収量のタンパク質発現をもたらします。 pIVEXベクターはタグと融合タンパクの選択において、高い柔軟性を提供しますが、他の発現ベクターもまた、RTSでの互換性があります。

ほとんどの発現ライブラリーはT7プロモーターを作動させるE. coli ベクターに基づいていますので、これらのベクターシステムの互換性はRTSの有用性を高めます。我々は、E. coli 細胞でのタンパク質発現のためにデザインされたT7に基づくプラスミドが、RTSでのタンパク質発現を可能とする事を示しました。それに加え、TAクローニングとリコンビネーションによるクローニング(GatewayTM)の、2つのクローニング戦略とそれに使用されるベクターを試験しました。RTSに対するそれらの互換性がここに示されました。

表1.概要-RTSと様々な発現ベクターシステム

ベクター RTSでの互換性 プラスミド調製品の収量
pIVEX 有り +++
pETファミリー 有り +
pET Blue-1 AccepTorTM
(TAクローニング)
有り +++
pCRT7/CT-TOPO®
(TA/Topoクローニング)
弱い(リボソーム結合部位とストップコドンの間の配列が至適化されていない) +++
pDEST17(GatewayTM) 有り +
pEXP1-Dest(GatewayTM) 有り +++

RTSと従来のT7発現ベクター

E. coli で発現させるために、T7プロモーターを利用した数種類のベクターファミリーがあります。最も重要な一例はpETベクターファミリーです。テストされたす べてのpETベクター(pET3a, pET11, pET14, pET17, pET21, pET32)が、RTSにおいてタンパク質発現に成功しました。カプセルレギュレーションに関与するE. coli 転写因子RcsBが、pET21にクローニングされ、RTS 500 E. coli HYとRTS 9000 E. coli HYで高収量で完全な可溶性のまま発現されました。肯定的な結果は、ラットのアディポース型脂肪酸結合タンパク質やラットのタイプIIヘキソキナーゼのC-末端の半分でも、RTS 500とpET3aを使用して得られました。

図1.E coli 転写因子RcsBの発現。
反応はRTS 500 E.coli HYキットの説明書に従い行った。それに加え、1mMのIPTGを反応溶液に加えた。構造研究のために発現産物を標識するために、4mMのアザトリプト ファンの存在下で反応を行った。15μgのpET21-RcsBを反応溶液に加えた。カイネックス研究(0-20時間)のサンプルは、SDS-PAGEで 分離し、クマシーブルーで染色した。データは、フランクフルト大学(ドイツ)のFrank BemhardとHeinz Rüterjansの好意により提供を受けた。

Laclの抑制:重要点

対象の遺伝子がT7 lacプロモーターの制御下にあり、付加したlac遺伝子が共発現し(pET11とpET21)、その発現収量は0.1-1.0 mMのイソプロピル-β-d-ガラクトピラノシドによる誘導で増加させる事ができます(データ未掲載)。

TAクローニングの互換性

TAクローニングは、Taqにより増幅したPCR産物を、制限酵素消化を用いる事無く、クローニングさせます。PCR産物は、3'-Tのオーバーハング を持つ切断ベクターに直接ライゲーションします。TAクローニングの原理で作成されたベクターは、リボソーム結合部位ならびにT7プロモーターを付加され たベクターならば、RTSと互換性があります。グリーンフルオレッセントタンパク質(GFP)は、pETBlue-1 AccepTorTMベクターやpCRT/CT-TOPOでの発現に成功しています(データ未掲載)。リボソーム結合部位とスタートコドンの間のシークェ ンスが、転写の開始に大きな影響を与えるため、(トポイソメラーゼIの認識部位の挿入などによる)長さやGC含量の改変は、タンパク質の収量を劇的に減らします。

RTSとリコンビネーション技術

最近、バクテリオファージλとP1の部位特異的リコンビネーションの優れた性質を利用した、新しいクローニング技術が開発されました。リコンビネーショ ンによるクローニングは、対象の遺伝子を多数のベクターシステムに移行させる迅速で効率的な方法です。ハイスループットスクリーニングアッセイにおいて、 MonchoisらはRTS 100 E. coli HYでのin vitro 発現により、pDEST中に組換えられた29個のランダムのE. coli ORFを試験しました。試験されたクローンの内、19個のORFはクマシーブルー染色で検出できるほどの発現に成功しました。

pDEST17と新規のpEXP1-DEST発現ベクターファミリーを比較するために、3つの異なる遺伝子をコードした配列を組換え、RTS 100 E. coli HY反応(図2)で分析しました。高収量のGFP、CAT、ヒト細胞周期調節タンパク質であるp55が、pDEST17とpEX1-DESTプラスミドで 得られました。pEXP1-DESTは高コピーのオリジンを含んでいるため、プラスミドの調製とRTSでのスケールアップがより簡便でした。

図2.pDEST17とpEX1-DESTにクローニングされたGFP、CAT、p55のRTS 100 E.coli HYでの発現
発現反応は説明書に従い、アッセイ当たり0.5μgのプラスミドDNAを利用した。pIVEX2.3GFPとpIVEX2.4GFPによる反応を同時に行った。各反応液よりの0.3μlの小分け液をSDS-PAGEで分離し、ブロットした。検出は、POD標識抗His6抗体で行った。(GFP:グリーンフルオレッセントタンパク質;CAT:クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ;p55:細胞周期調節に関与するヒトキナーゼ;M:マルチタグマーカー、製品番号1828649)

まとめ

様々なin vitro 及びin vivo 発現に用いられる、T7発現ベクターのRTSへの互換性を示しました。いくつかの件で、これらのベクターは、至適化されたpIVEXベクターに比べ、低いタンパク質量という結果となりましたが、時間のかかるクローニングステップは省けました。  新しいRTS E. coli リニアテンプレート作成セットは、PCRによる直鎖発現に容易な構築物を迅速に使用でき、更なるクローニングステップを必要としないpIVEXの優位性と 組合わせる事ができます。それに加え、特異的な遺伝子シークェンスよりの、発現されたリコンビナントタンパク質の収量が、プロテオエキスパートRTS E. coli HYを使用する事で、顕著に増加されました。この新しいウェブベースのソフトウェアは、至適化された発現特性によりDNAの変動体を計算する独特のアルゴリズムを提供します。低発現率のタンパク質の90%が収量を大きく増加させました。

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製品名 製品番号 包装単位 希望価格
RTS pIVEX His6-tag,2nd
ジェネレーションベクターセット
3269019 2×10μg ←製品番号をクリック
RTS pIVEX HA-タグ ベクターセット 3268993 2×10μg ←製品番号をクリック
RTS pIVEX MBP融合ベクター 3268985 1×10μg ←製品番号をクリック
RTS pIVEX GST融合ベクター 3268969 1×10μg ご照会
RTS 100 E.coli HYキット 3186148 1キット
(24回反応)
←製品番号をクリック
3186156 1セット
(96回反応)
←製品番号をクリック
RTS 500プロテオマスター
E.coli HYキット
3335461 5回反応
(各1ml)
←製品番号をクリック
RTS E.coli リニアテンプレート作成セット、His-Tag 3186237 1セット
(96回反応)
←製品番号をクリック
RTS E.coli リニアテンプレート作成セット、HA-Tag 3315860 1セット
(96回反応)
←製品番号をクリック

RTSプロテオマスター

BIOCHEMICA 2002 NUMBER 4(No. 89)

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