DIGシステムに関するFAQsとTechnical Tips

DIG コーナー

【はじめに】

ノンRIによる核酸の標識と検出システム、「DIGシステム」が紹介されて10年以上になります。国内におきましても既に大学、国公立研究所、企業の研究所における様々な実験でベーシックなツールとして浸透、および広く活用されるまでになりました。
現在、弊社では一人でも多くの皆様にご満足のいく結果をより早く得て頂くため、取扱説明書および各種マニュアルの日本語版の完備、学術サポート、そしてセミナー/実技講習会への協賛などを行って参りました。
ここでは、お客様からよく頂戴するご質問の一部をQ&A形式でまとめましたので、DIGシステム導入の検討や実験指針の確立にお役立て下さい。

Q. DIG標識DNAプローブの調製には、ランダムプライムド法とPCR法のどちらを選べばよいのか?

PCR法によるプローブ調製には、次の特長が挙げられます。

1.容易な「テンプレートDNAの調製」

  PCR法 ランダムプライムド法
シングルコピー遺伝子の検出に必要とされるテンプレートDNA量は?
  • 10pg~50ngのプラスミドまたはジェノミックDNA
  • 500~1000ngのリニアライズされたDNA

図.1ランダムプライムド法とPCR法による標識の概略

2.最小限な「ラベリング反応の操作性と至適化」

  PCR法 ランダムプライムド法
テンプレートDNAの純度の重要さは? +++
フェノール/クロロフォルム摘出を少なくとも1回行い、エタノール沈殿の実施は不可欠。
ラベリング反応で特に注意する点は? DIG標識を行う前に、通常のPCR反応条件の至適化を行う。 精製度の低いテンプレートの使用や、その調製時に持ち込まれた塩、EDTAが酵素反応を阻害する可能性がある。
ラベリング高率のチェック方法は? アガロースゲル電気泳動による確認。
  • 「DIGアプリケーションマニュアルfor Filter Hybridization」の57ページ、図10を参照下さい。
標識コントロールDNAとの直接比較による確認。
  • 「DIGアプリケーションマニュアルfor Filter Hybridization」の193ページを参照下さい。

3.「未標識テンプレートDNAの影響」がない

  PCR法 ランダムプライムド法
プローブ中に含まれる未標識テンプレートDNAの量とその影響は? 未標識DNA量<<<標識済DNA量
→影響はない。
未標識DNA量>>標識済DNA量
→ハイブリ時に競合反応が起こり、非特異的シグナルや高バックグラウンドの原因となる可能性がある。

従って、出来る限りPCR法による標識と、次の製品のご使用をお勧めします;

  • PCR DIGプローブ合成キット

お客様からご提供頂いた、本キットで標識したプローブを用いたサザンブロットやノーザンブロットのアプリケーション例をバイオケミカニュースのバックナンバー(日本語版 No.87、88)のDIGコーナーでご紹介していますので合わせてご参考ください。

Q.DIG標識核酸プローブの精製ステップは必要か?

必要ありません。ただし、in situ ハイブリダイゼーションで使用する際には、エタノール沈殿やゲルろ過による標識プローブの精製をお勧めします。
現在、最新の能書およびマニュアル内から精製ステップの記載が以下の理由から削除されています;

  • 標識反応時に取り込まれなかった、フリーのDIG修飾ヌクレオチドがメンブレンに結合しないため→フリーのDIG修飾ヌクレオチドは「バックグラウンドが 高くなる主な原因にならない」、「直接検出によるDIG標識効率チェックの誤評価につながらない」事をドイツのアプリケーションラボにて確認済み。
  • エタノール沈殿による、標識プローブのロスを回避するため

Q. DIG標識核酸プローブを精製する際、エタノール沈殿する時の注意点は?その他の推奨する方法は?

  • エタノール沈殿;
    「酢酸アンモニウム」を塩として使用しないで下さい。
    ペレットの再溶解が難しいため。
  • 実験書にある従来通りの手技に従って行ってください。塩としては塩化リチウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムをご使用ください。

その他推奨する方法;

ゲルろ過による精製には、次の製品をお勧めします;

  • DIG標識DNAなら クイックスピンカラム G-50(ビオチン標識DNA)
  • DIG標識RNAなら クイックスピンカラム G-50(ビオチン標識RNA)

*低速度、スイング・バケット遠心機を必ず使用ください!

  • カラムの長軸方向に垂直な遠心力がかかることで、試料がマトリックスを適切に通過します。固定式ローターを使用した場合、回収率の低下や低分子の混入が生じる可能性があります。
  • RI標識核酸用のクイックスピンカラム(QSC)の直接使用は避けてください!
  • RI標識用とビオチン標識用QSC の、Sephadexを膨潤させているバッファーの組成は異なります。RI標識用の膨潤バッファー中にはSDSが含まれていない事から、ハプテン標識核酸 の回収率が低下します。従って、この目的でご使用になる場合、予め本QSC内のバッファー置換、及びSSCバッファー(150 mM NaCl, 15 mM Sodium citrate, 0,1% SDS; pH 7.0)で少なくとも3回の洗浄を必ず行ってください。

2. 精製キットによる精製には、次の製品をお勧めします;

  • High PureTM PCR Product Purification Kit

図.2ハイピュアキットを用いたDIG標識DNAの精製
本キットの標準的プロトコールにてランダムプライムド法でDIG標識したDNAプローブの精製を行った。モックハイブリダイゼーション(プローブ濃度:25ng/ml、ハイブリ溶液:DIG Easy Hyb)後、CSPDによる化学発光検出を行った。
パネルA:ハイピュアキットで精製したプローブを使用
パネルB:未精製のプローブを使用
精製によりバックグランドが完全に解消されている。
パネルC:DIG標識DNAプローブの希釈系列の直接検出
1:DIG標識コントロールDNA、2:未精製のプローブ、3:精製したプローブ
それぞれのプローブ感度がほぼ同等であった事から、本キットによる標識プローブの優れた回収率が示された。(BIOCHEMICA No.4[1995]より抜粋)

  • その使用例は「DIGアプリケーションマニュアルfor Filter Hybridization」の51ページ、図9も合わせてご参照ください。
  • ハイピュアフィルターチューブ内のグラスファイバー製フリースへの、核酸の効率的な結合には少なくとも100bpの鎖長が必要となります。本キットによる標識プローブの精製時には、プローブの鎖長にはくれぐれもご留意ください。

【最後に】

DIGシステムを用いた、フィルターハイブリからin situ ハイブリに至る各種アプリケーションの実施例を募集しています。論文や学会などで発表されている事例で、本コーナーへの掲載を許可して頂ける実施例がございましたら、下記までご連絡ください。

お問い合せ先:弊社リサーチ製品学術部、
E-Mail:tokyo.biochemicals@roche.com

Order INFO

製品名 製品番号 包装単位 希望価格
PCR DIG プローブ合成キット 1636090 1キット
(25回標識反応)
←製品番号をクリック
クイックスピンカラム G-50
(ビオチン標識DNA)
100609 20カラム ←製品番号をクリック
クイックスピンカラム G-50
(ビオチン標識RNA)
100616 20カラム ←製品番号をクリック
ハイピュアTMPCR プロダクト
ピュアリフィケーション キット
1732668 1キット
(50回精製)
←製品番号をクリック
1732676 1キット
(250回精製)
←製品番号をクリック

BIOCHEMICA 2002 NUMBER 4(No. 89)

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