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図1.キット内容
RTS 9000には、2種類の反応デバイスがあります。RTS 9000 E. coli HYキット(図1)中のデバイスは、1個の10 mlの反応槽と100 mlのフィーディング槽よりなります(図2)。このキットはRTS 500の10倍のスケールアップが可能です。キットの第2のバージョンは、3個の別れた10 ml反応槽を持ち、1から3種類のタンパク質が別々に発現できます(総タンパク質収量は約150 mg)。RTS 500 E. coli HYキットと同様、T7ポリメラーゼの触媒するトランスクリプションとE. coli ライセートによるトランスレーションが反応槽で同時に起こります(図2)。基質とエネルギー成分は半透膜(カットオフ値 10 kD)を介して反応槽に連続的に供給されます。反応阻害性の副次産物は同じ膜を介して、フィーディング槽へと拡散します(図2)。

図2:1個の10 ml反応槽を持つRTS 9000デバイス。
新しいタンパク質の場合はスケールアップの前に、RTS 100 HY E. coli キットやRTS 500 HY E. coli キットによる、適切な発現クローンの選択と発現条件の至適化が、強く推奨されます。RTS 9000 E. coli HYキットを使用して、タンパク質発現レベルが低いとしても、機能試験のための抗原の製造などの多くのアプリケーションには十分な量が作成されます。図3は、RTS 500とRTS 9000の反応ライセートのml当たりの、同様のタンパク質の製造を示し、スケールアップが容易に実行できることを示唆しています。多くの、様々なタイプ のタンパク質が、既にRTS E. coli キットで成功しています(表1)。最新の発現タンパク質のリストは、
www.proteinexpression.com/を訪問してください。
| タンパク質 | 由来 | プラスミドベクター | コメント |
|---|---|---|---|
| クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT) | バクテリア | pIVEX1.1 | |
| β-ガラクトシダーゼ | E. coli | pIVEX2.4 | |
| ローダネーゼ | ウシ | pIVEX2.4 | |
| グリーンフルオレッセントタンパク質(GFP) | Aequorea victoria | pIVEX2.1 | |
| リコンビナント プラス ミノーゲンアクチベータ | ヒト | pIVEX2.4 | |
| GFP-[セルコピン P1]2 | ブタ | pIVEX2.1 | GFPに融合したダイマーのセルコピン P1 |
| ペニシリンGアミダーゼ(PGA) | E. coli | pIVEX2.1 | |
| ルシフェラーゼ | Photinus pyralis | pIVEX2.4 | |
| MBP-ヒトエリスロポエチン(MBP-EPO) | pIVEX2.4 | マルトースバインディングプロテイン(MBP)と融合したEPO |
RTS 9000 E. coli HYキットは、NMRスペクトロメトリーやX-線結晶学への標識タンパク質の大スケール製造に適しています。キットは、天然のアミノ酸を望みの非天然アミノ酸ミックスに簡単に交換できるようにデザインされています。メチオニンは容易にスレオメチオニンと置き換えられ、また独自のアミノ酸ミックスも選択できます。
試薬を説明書通りに再懸濁した。165μgの様々な遺伝子をコードしたpIVEX発現ベクターを10.9 mlの懸濁反応ミックスに加えた。プラスミドを含む反応ミックス(10.92 ml)をRTS 9000デバイスの、中央の反応チャンバーに充填した。フィーディングチャンバーに110 mlの懸濁フィーディングミックスを充填した。反応槽とフィーディング槽を添付のスクリューで注意深く閉鎖した。このデバイスをRTSプロテオマスター内 に装着した。温度コントロールは30℃、振とうスピードは900 rpmにセットした。全ての発現実験は、20時間行った。次に反応ミックスをキット添付のピペットでチャンバーから吸い出した。RTS 9000 E. coli HYキットとの比較のため、同じタンパク質をRTS 500 E. coli HYキットで、平行して発現した。RTS 500インスツルメントの攪拌スピードは120 rpmにセットし、温度コントロールは30℃とした。
均一な100μのサンプルを各反応ミックスから取り、900μlの再蒸留水で希釈した。攪拌後、20μlを取り10μlの再蒸留水と30μlのSDSサ ンプルバッファーで希釈した(3倍)。サンプルを95℃で5分間、熱した後、5μlをSDSゲルにロードし、電気泳動した。ゲルはクーマしーブルーで染色 した(図3)。

図3.RTS 9000 E. coli HYキット(a)およびRTS 500 E. coli HYキット(b)で様々なpIVEXベクターを発現させ、そのライセートをSDS-PAGE分析した。赤い矢印は発現したタンパク質の位置を示している(その他のバンドはE. coli ライセート中に存在するバックグランドタンパク質)。発現タンパク質のその他の情報は、表1も参照。
| 製品名 | 製品番号 | 包装単位 | 希望価格 |
|---|---|---|---|
| RTS 500プロテオマスター | 3265650 | 1台 | ご照会 |
| RTS 9000 E. coli HYキット | 3290395 | 1キット(10 ml反応) | ←製品番号をクリック |
| 3290468 | 1キット(30 ml反応) | ご照会 |
第2世代pIVEXベクター
-セルフリータンパク質発現への至適化
RTSラピッドトランスレーションシステムの導入以来、RTS pIVEXベクターはHis6タグを介しての、その検出や精製の 容易さから、セルフリータンパク質の発現に広く使用されるようになりました。最初にキットに添付されたベクターはRTS 100,500,9000キットに対応するために単品試薬として発売されました。最近、第2世代のHis-タグベクターが、マルチプルクローニングサイト の複雑さを減少させて、2種類のプラスミドとして開発されました。
His-タギングは大変一般的な方法ですが、ウェスタンブロッティングで使用される抗体の特異性が限られ、しばしば不満足な結果をもたらします。また、 このタグ配列は完全にアクセスできないため、いくつかのケースで検出に失敗したことも報告されています。ヘマグルチニン(HA)タグは、高度に特異的な検 出シグナルや捕捉技術が必要な時に、重要な代替物です。これは新しいpIVEX HAタグベクターセットを使用して、RTS-発現タンパク質のN-あるいはC-末端に付加することができます。Anti-HAアフィニティマトリックス は、発現後のタンパク質の固相化(相互作用研究など)や小スケール精製に大変簡便な方法です。
RTSはオープンシステムですので反応条件を容易に適合できますが、いくつかのタンパク質は発現後いまだに凝集する傾向があり、標準的な至適化法に抵抗 します。これらの問題を解決する約束されたアプローチは、対象のタンパク質のC-末端にマルトースバインディングタンパク質(MBP)を融合することで、 しばしば可溶性と収量が増強されます。これらの融合は、pIVEX MBPフュージョンベクターへの、相当するcDNAのクローニングにより達成されます。
ここに記述した全てのタイプのN-末端タグと融合のパートナーは、ファクターXaレストリクションプロテアーゼの消化により、切断できます。POD標識抗体は、His6とHAタグタンパク質に対して入手可能です(表1)。
表1:RTS 9000システムで入手可能なpIVEXベクターの概要
| 製品 | タグあるいは 融合物のタイプ | 主なアプリ ケーション | 検出 | 精製/ 固相化 |
|---|---|---|---|---|
|
RTS pIVEX His Tag 2nd世代ベクターセット(Cat. No.3269019) 2ベクター ¥25,000 |
N-あるいはC-末端のHis6タグ | 大スケールの精製 | POD標識抗His6抗体(Cat. No.1965085) | Ni-NTA |
|
RTS pIVEX HA Tagベクターセット(Cat. No.3268993) 2ベクター ¥25,000 |
N-あるいはC-末端のHAタグ | 高度に特異的で高感度な検出と固相化 | POD標識抗HA抗体 | Anti-HAアフィニティマトリックス |
|
RTS pIVEX-MBPフュージョンベクター(Cat. No.3268985) 2ベクター ←製品番号をクリック |
N-あるいはC-末端のHis6タグ、MBP融合(40.5 kDa) |
不溶性で低収量のタンパク質の発現。 利点: 2種類の精製原理を組合わせることが可能(His6およびMBP)。 |
POD標識抗His6抗体(Cat. No.1965085) | アミロースカラム(NEB)やNi-NTA |
BIOCHEMICA 2002 NUMBER 2(No. 87)
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