In-Vitro タンパク質発現による、構造ゲノミクスにおける先進のターゲット選択

RTS(Rapid Translation System)コーナー

はじめに

最近の、ゲノミクス時代の様々な全ゲノムシークェンスプロジェクトは、未知の機能を持つ多くのゲノムを同定し、今やその特性の指摘が待たれています。こ の挑戦における構造ゲノミクスの手始めは、未知の機能を持つタンパク質の3次元構造と、以前に記述されたタンパク質ファミリーとの類似性を明らかにし、実 験的に試験されるための機能的ヒントを供給することです。構造ゲノミクスプログラムは、候補遺伝子の数多くの選択によるコードされたタンパク質の発現に、 大きく依存しています。主なボトルネックの一つは、核磁気共鳴や結晶学的研究に適する可溶性タンパク質のハイスループットな作成です。In vivo タンパク質発現の時間のかかる方法の代わりとなるのは、セルフリー発現システムを使用することです。  この章では、コードされた未知の機能を持つ非膜タンパク質の、29個のE.coli K12オープンリーディングフレームに関与した、パイロットプロジェクトの結果を述べます。我々は以下のことを可能にするように、in vitro あるいはin vivo 発現とリコンビネーションクローニングを組合わせた独自のアプローチ法をデザインしました。

  1. 可溶性タンパク質の熟練の選択
  2. タンパク質発現の迅速なスケールアップ

材料と方法

プラスミドの構築

オリゴヌクレオチドプライマーを29個の完全長E.coli K12 MG1655 ORFsに対してデザインし、GATEWAYシステム(Invitrogen)を使用して、PCR産物のpDEST17への直接クローニングを促進するた めに、特異的ラムダファージ組換え部位であるattB1、attB2を、それらの5'-末端に附加した。ORFsは、セルフリーシステムとE.coli BL21細胞中で、T7プロモーターの制御下、N-末端His6タグを附加し発現した。

セルフリータンパク質発現

タンパク質発現と溶解性のIn-Vitro スクリーニングは、RTS 100 E.coli HYキットを使用して行われた。ただし、キット説明書に記載のプラスミドの量(500 ng)を200 ngに減少して使用した。トータルおよび、遠心後の上澄から回収した可溶性タンパク質をSDS-PAGE並びにクマシーブルー染色で分析した。結果が曖昧 な時は、Ni-NTAレジンを使用したアフィニティ精製により、可溶性タンパク質の発現を確認した。

In-vivo タンパク質発現

タンパク質は0.5 mMのIPTGによる誘導後、4 mlのLB培地+アンピシリン中で37℃において、OD600 = 0.5のE.coli BL21(DE3)中で発現された。3時間後、細胞を採取し、変性バッファー(トータルタンパク質用)や、遠心後の上澄中の可溶性タンパク質分画を回収す るためのBugBusterバッファー(Novagen)中で溶解した。トータルおよび可溶性タンパク質はSDS-PAGEとクマシーブルー染色で分析し た。

結果と討論

In-Vitro の結果

試験された29個のORFsの内、19個がin vitro で発現し、17個が可溶性、2個がインクルージョンボディであった。コードされたタンパク質のサイズ幅は、21.0 kDから74.0 kD(図1)で、平均の分子量は37.2 kDであった。発現したORFsの84%が37.2 kD以下であるという結果は、ターゲットのサイズとその発現の成功の間にある関係を示唆している。ほとんどのORFsはGFPコントロールと同様の発現強 度を示した(図2、GFP収量;20μg/50μl反応)。ORF24と26は、より高い発現レベルを示したが、ORF1はアフィニティ精製によってのみ 検出可能であった(図2)。

図1.In vitro およびin vivo で発現させた29個の未知の機能の、E.coli ORFsのタンパク質発現と溶解性の比較。
ヒストグラムは各ORFの発現と溶解性の結果を表示している。

図2. RTS 100 E.coli HYキットを使用してのトータルタンパク質発現の例。
ORFs 1,2,3,6,9,12,21,24,26は30℃でGFP(陽性コントロール)と同様、過剰発現している。4μlをSDS-PAGEとクマシーブルー 染色で分析した。各矢印はゲル上のそのタンパク質の局在を示す。発現したORFsの分子量はゲルの上部に示し、ORFsに余分な3 kDのattB1 N-末端リンカーを附加した理論的分子量に相当している。

In-vivo の結果

形質転換 E.coli BL21を用いての、29個のORFsの発現が、標準的なプロトコールで試験された。29個のORFsの内、15個が検出可能な発現を示し、そのうちの7個が可溶性、8個がインクルージョンボディであった(図1)。

全体的に見れば、in vitro で68%、in vivo で52%が発現された。その上、in vitro あるいはin vivo で発現されたタンパク質の内、87%が37.2 kD以下の分子量であった。興味深いことに、in vivo では47%であったのに比べ、in vitro で発現されたタンパク質では、その90%が可溶性であった。可溶性はin vitro 発現システムにより顕著に改善された(Fisherの正確性試験 p = 0.009)。その上、in vitro で発現しなかったタンパク質は、in vivo でも失敗した。このことは、迅速な可溶性ターゲットの同定が大変に重要とされる巨大構造ゲノミクスプロジェクトの状況において、セルフリーシステムが可溶性発現の信頼性の有るスクリーニングとして、使用できることを示している。我々の研究結果は、in vivo では発現されたがセルフリーシステムでは発現に失敗した2個のORFs(13と15)より、このスクリーニングプロトコールにおいて7%のエラー率(擬陰性)を見積もっている。この擬陰性シグナルはin vitro 発現プロトコール(プラスミド濃度、温度、反応時間など)の至適化で解消されるはずである。

結論

このパイロットプロジェクトで、我々はin vitro およびin vivo 発現スクリーニングにより、リコンビネーションクローニングを関連させました。リコンビネーションクローニングは、標準化した発現ベクター中ですべての PCR産物を均一にクローンニングでき、すべてのターゲットを並行して処理することでプロセスをスピードアップできる、効率的な戦略として選択されまし た。RTS 100 E.coli HYキットは構造ゲノミクスに要求される、組換えタンパク質発現と可溶性のハイスループットスクリーニング法として最適です。いったん、可溶性タンパク質がin vitro 発現により迅速にスクリーニングされると、これらのターゲットは量的タンパク質製造のために、計画での順位が付けられます。最初のスクリーニングで失敗したターゲットは、次回のin vitro 試行のために再クローニングされます。それゆえ、セルフリー発現は、ゲノムスケールでのターゲットの選択をスピードアップします。

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RTS 100 E. coli HYキット 3186148 1キット(24回反応) ←製品番号をクリック
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BIOCHEMICA 2002 NUMBER 1(No. 86)

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