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テイルド標識法で標識したプローブを用いてcDNAライブラリーをスクリーニングすると、目的としないクローンが取れることがしばしばありました。その 主要な原因は、cDNAクローンの3'末端にあるポリ(dA)配列とのハイブリダイゼーションです。テイルド標識法で最も高い感度が得られるdATPと DIG-dUTPの混合物による標識化では、プローブにできる連続した(dA)テイルが不要なハイブリダイゼーションを起こしていました。このハイブリダ イゼーションは、未標識のポリ(dA)オリゴDNAを添加しても、完全には無くすことができませんでした。
本稿で紹介する方法は、このテイルド法を改良し、dATPの代わりにdITPを使用しました。その結果、ポリ(dA)配列との不要なハイブリダイゼーションを起こさない、高感度で特異的なハイブリダイゼーションを可能にしました。
氷上で、4 μlの5x濃度の反応buffer(1 M potassium cacodylate, 125 mM Tris-HCl, pH 6.6, 1.25 mg/ml bovine serum albumin)、4 μlの25 mM CoCl2、100 pmolのオリゴDNA、1 μlの1 mM DIG-dUTP、1 μlの10 mM dITP、50 UのTdTを添加し、37 ℃の恒温槽に移して15分間のインキュベーションによってテイルド標識した。DIG-dUTPやTdT等はロシュ・ダイアグノスティックス社製を用いた。 dITPはシグマ社製を用いた。
オリゴDNAの設計にあって、Na+濃度が約0.9 Mで、Tmが約65 ℃と計算されたため、ハイブリダイゼーションと洗浄は、共に温度をTm - 5℃の60℃で行い、6 xSSCを使用したハイブリダイゼーション溶液および、洗浄溶液を使用した。結合したプローブの検出には、DIG Luminescent Detection Kit(ロッシュダイアグノスティクス社製)を使用した。
テイルド反応によって付加されるテイル長について、15% ポリアクリルアミドゲルで電気泳動で確認した結果、dITPで作製したプローブは、dATPと同等またはそれ以上の分子量であったことから、高効率にテイ ルされていることが示されました(図1)。感度については、テイルド標識したプローブのそれぞれ一定量をナイロン膜にドットブロッティングして、DIGを 検出した結果、dITPで作製されたプローブは、dATPの場合と同程度のシグナル強度で検出されたことから、高感度に標識されていました(図2)。
特異的なハイブリダイゼーションについて、プローブの標的遺伝子、およびプローブとは無関係な遺伝子を含むプラスミドとのハイブリダイゼーションを実施 しました。その結果、dITPで作製されたプローブは、ポリ(dA)領域をマスキングするオリゴヌクレオチドがなくても標的プラスミドを特異的に検出しま した。しかしdATPで作製された場合は、ポリ(dA)領域のマスキングをしても、尚かつ標的外のプラスミドも検出され、それはcDNAクローンのポリ (dA)領域との結合であることがわかりました(図3)。
この優れた特異性は、イノシンが他の4つの塩基とは弱い塩基対しか形成しないため(結合力:G:C > A:T > I:C > I:A > I:T I:C)と考えられました。すなわち標識のために付加されたポリ(dI)テイル部分は、cDNAクローンのポリ(dA)配列とは、理論値に基づいて設定し た実験条件下において、ハイブリダイゼーションしないためと考えられました。
cDNAスクリーニングの応用例を図4に示しました。複数種類のプローブを作製して、コロニー高密度グリッドとのハイブリダイゼーションした結果です。 S/Nが良く検出されていることがわかります。塩基配列解析の結果、目的のクローンのみがポジティブなシグナルとして検出されていました。
最後に、さらに詳しい情報はBiotechniques(2000)28,486-490をご参考にして下さい。

図1. dITPでテイルド標識したプローブの長さ。

図2. dITPでテイルド標識したプローブの感度。

図3. dITPでテイルド標識したプローブとcDNAクローンとの特異的なハイブリダイゼーション(Biotechniques(2000)28, 486-490から許可を得て改変した)。
左パネルは標的遺伝子に対するプローブで、右パネルはベクター配列に対するプローブでそれぞれハイブリダイゼーションした。(1,11)標的遺伝子のプラスミド。(2-10)種々のポリ(dA)長を持ち、標的でない無関係な遺伝子のプラスミド。

図4. dITPでテイルド標識したプローブと、3456個の高密度コロニーのcDNAクローンとのハイブリダイゼーション。
| 製品名 | 製品番号 | 包装単位 | 希望価格 |
|---|---|---|---|
| DIGオリゴヌクレオチド テイリングキット |
1417231 | 1キット (25回標識分) |
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| dITP | 1051474 | 25μmol | ←製品番号をクリック |
| DIGルミネッセント デテクションキット |
1363514 | 1キット (50ブロット) |
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BIOCHEMICA 2002 NUMBER 1(No. 86)
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