Cell Death Detection KitPLUSによる血清中の ヌクレオソームの定量

Tips & Facts

細胞増殖に対する細胞死は、成熟臓器の細胞数の恒常性だけでなく、放射線や化学療法製剤、高温症、感染によって傷害を受けた細胞の排除 において、必須の役割を持っています。真核細胞の死には明瞭な2つの道筋があり、それはオンコーシスとアポトーシスです。細胞がどのように死ぬかは、刺 激、投与量、激しさや、細胞のタイプにはさほど依存しないようです。アポトーシスの間、様々なエンドヌクレアーゼが活性化され、クロマチンがアガロースゲ ル電気泳動で典型的なラダーパターンとして観察される、180 bpとその倍数のサイズのヌクレオソーム断片に分解されます。ヌクレオソームはヒストンのオクタマーと、それを包んだ146 bpのDNAより形成される基本単位です。ヌクレオソームは、エンドヌクレアーゼの結合部位である15-100 bpのリンカーDNAにより連結されます。生理条件下では、ヌクレオソームはアポトーシス小体に包まれ、マクロファージや隣接の細胞に大食されます。増強 された細胞死の状況では、これらの機構が過剰に働き、血流中に放出されます。この血液中のヌクレオソームの定量は、どこで起ころうと細胞死の程度を推定す る、魅力的な可能性を提供します。これは、材料が採血により簡単に得られるため、特にフォローアップ研究や治療のモニタリングに有用です。

Cell Death Detection ELISAPLUS(CDDE)は、アポトーシスの良く知られた指標である細胞膜の 崩壊に先立つ、細胞質中のヌクレオソームを検出するための細胞テストとして開発されました。我々は、このキットを血清サンプルに適用し、試験性能の標準 化、血液サンプルの分析前の取り扱い、標準曲線による結果の比較を改善しました。血流中の干渉因子の存在にもかかわらず、血清中のヌクレオソームの濃度 は、細胞死の率-特に活性で、還流型の腫瘍において-、および抗がん治療の間の誘導された細胞死を反映していました。

材料と方法

Cell Death Detection ELISAPLUSは、定量的サンドィッチ酵素免疫測定法の原理を基としています。DNA(1本鎖と2本鎖DNA)とヒストン(H1, H2A, H2B, H3およびH4)に対するマウスのモノクローナル抗体が、モノ-およびオリゴヌクレオソームを特異的に検出します。

サンプルをストレプトアビジンコートマイクロタイタープレート内に入れ、ビオチン標識抗ヒストン抗体、POD標識抗DNA抗体およびインキュベーション バッファー(PBS中に1% BSA, 0.5% Tween, 1 mM EDTA)のミクスチャーと2時間インキュベートした。抗体は、ヌクレオソームのヒストン、DNAと結合し、この免疫複合体はストレプトアビジン-ビオチ ン反応により、マイクロタイタープレートに固相される。インキュベーションの後、未結合の抗体は洗浄操作により除去される。保持されたPOD結合複合体は ABTSと30分間インキュベートされ、発色産物は捕捉されたヌクレオソームの数に比例する。ヌクレオソームの定量は、基質溶液をブランクとして、405 nmの吸光度の測定で行う(リファレンス波長は492 nm)。血清がマトリックスとして使用された。採血の1-2時間後、サンプルは遠心され、10 mM EDTA(pH 8)で処理後、-20℃で保存した。融解後、サンプルをボルテックスでホモジェナイズし、インキュベーションバッファーで1:4に希釈し、マイクロタイ タープレート内に入れた。

結果

CDDEは元来、スタンダードカーブが無く、ABTSのインキュベーションや反応停止薬の時間の標準化がされていない。また、エンリッチメントファクターを使用して結果を評価するため、アッセイ内、アッセイ間の比較性能が不足している。

Cell Death Detection ELISAPLUSの改変

最初のステップで、マニュアルで操作を行った時の遅延による、アッセイ内エラーを正すために、ABTSのインキュベーション時間を30分と決定した。そ れに加え、我々はスタンダードカーブを導入した。ヌクレオソーム-リッチの標準物質は、混合したリンパ球反応で大量にアポトーシスを誘導した、各人の血液 を攪拌、混合することで作成した。インキュベーションバッファー(IB)による材料の希釈(1:24、1:32、1:48、1:64、1:96、IBの み)は、原点を通る直線的なカーブをもたらした。スケーリングは恣意的なユニット(AU)で行った。30分のABTSのインキュベーション後、1,000 AUは2,500 mU(OD)、500 AUは1,250 mUに相当した。スタンダードカーブに相対させることで、AUは発色時間への依存が少なくなった。スタンダードカーブに相当すると、インキュベーション バッファーによる血清の希釈(1:2,1:4,1:8,1:16,IBのみ)は直線的で、同じ割合のカーブをもたらした。測定域を超える値を避けるため に、すべての血清サンプルをインキュベーションバッファーで1:4に希釈した。最も低い検出量は、16 AU = 38 mUで計算された。

分析の特異性

分析の特異性を、抗ヒストン抗体を含む免疫試薬へ、天然の抗ヒストン抗体を滴定することで評価した。天然の抗ヒストン抗体の濃度を増加させていくと、吸 光度は量依存的に減少し、DNAとヒストンがPOD標識抗DNA抗体およびビオチン標識抗ヒストン抗体と結合した複合体のみが、CDDEで検出されたこと を示している。DNA,ヒストン、ヌクレオソーム、抗ヒストン抗体、抗DNA抗体は、それぞれ単独では、測定値は変わらなかった(図2)。

変動性

ELISAの信頼性の基準となる変動性は、アッセイ内比較(n = 10)で3.0%から4.1%、アッセイ間比較(n = 14)で8.6%から13.5%であった。

図1.スタンダードカーブと、インキュベーションバッファー(IB)による血清の希釈カーブ。

図2.分析の特異性:免疫試薬への、天然の抗ヒストン抗体の滴定。
天然の抗ヒストン抗体の濃度を増加させた時、吸光度は量依存的に減少し、DNAとヒストンの、POD標識抗DNA抗体およびビオチン標識抗ヒストン抗体と結合した複合体のみが検出されたことを示している。

安定化

10人の、様々な条件下(保存時間、温度、安定化剤の添加)で保存された血清と血漿中で、10 mM EDTA処理と-20℃あるいは-80℃で保存された血清が、最大の安定性を得た。

長期安定性

EDTA処理、-20℃保存血清は、6ヶ月後でも、高低両方の吸光度値で、良い長期安定性を示した。これは、4.2%から9.2%の変動係数で示された。

サンプルの測定前の取り扱い

サンプルの、測定前の取り扱いの標準化が、血清中のヌクレオソームの信頼性のある定量に必須であった。溶血と、採血と遠心の間が2時間以上あくことが、 値を上昇させ、10 mM EDTAの添加の遅延が擬陰性の低い値を導いた。これらの影響は、血液サンプルの注意深い取り扱いと2時間以内の遠心、遠心後の迅速なEDTAの添加で防 ぐことができた。

図3.10 mM EDAT処理および-20℃保存血清の長期安定性。

討論

Cell Death Detection ELISAPLUSの改変-ABTSインキュベーション時間の標準化、スタンダード カーブの確立、AUという新しいスケーリングの導入―は、測定値の再現性を明瞭に改善しました。これは、マニュアルで行われるアッセイで要求される限界内 のアッセイ内、アッセイ間の変動性(CVアッセイ内 < 10%とCVアッセイ間 < 15%)により、示されました。また、分析の特異性は、ヌクレオソーム、POD標識抗DNA抗体、ビオチン標識抗ヒストン抗体の複合体のみがCDDEで検 出されることで、示されました。

AUにおける相対的スケーリングは、多分抗体結合部位への接近性が異なる、血流中のモノ-およびオリゴヌクレオソームの、未知の割合を明らかにします。 測定されたPOD標識抗DNA抗体の量は、ヌクレオソームの正確な濃度を反映する必要はなく、ng/mlにおける絶対スケーリングの使用は、不適切な結果 を導くことが示唆されます。

血清サンプルの、分析前の取り扱いの標準化は、血清中のヌクレオソームの信頼性が有り再現性のある測定において、必要条件です。遠心後の血清への、10 mM EDTAの迅速な添加は、Ca2+およびMg2+依存性DNaseIや酸性DNase IIなどのエンドヌクレアーゼによるDNAの更なる断片化を阻害します。我々の研究を要約すると、表1に示した血液サンプルの分析前の取り扱いを推奨します。

表1:血液サンプルの分析前の取り扱いでの推奨法

  1. 溶血が起こらないように慎重に採血する。
  2. 採血後1-2時間で遠心する。
  3. 遠心後、10 mM EDTAを直ちに加える。
  4. 同日に-20℃で保存、6ヶ月以上の場合は-80℃で保存する。
  5. 融解後、ボルテックスで3秒間ホモジェナイズする。
  6. 試験前に直ちにインキュベーションバッファーで希釈する。

我々の最初の発見は、血清中のヌクレオソーム濃度の定量は、抗がん治療の効果のモニタリングと個人に対する治療の感受性の確定において、高感度で迅速な 方法であるということです。より多くのサンプルでの更なる研究により、腫瘍とその治療法の決定は、臨床の実際における意義を保証されるでしょう。

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製品名 製品番号 包装単位 希望価格
Cell Death Detection
ELISAPLUS
1774425 1キット
(96回反応)
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Cell Death Detection
  ELISAPLUS,x10
1920685 1キット ←製品番号をクリック
関連製品名 製品番号 包装単位 希望価格
ホモジニアス カスパーゼ
アッセイ、蛍光
3005372 100テスト
(96ウェル)
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400テスト
(384ウェル)
2236869 1000テスト
(96ウェル)
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4000テスト
(384ウェル)
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Cell Death Detection Kit,
TMR red
2156792 1キット
(50テスト)
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M30 CytoDeath 2140322 50テスト ←製品番号をクリック
2140349 250テスト ←製品番号をクリック

BIOCHEMICA 2002 NUMBER 1(No. 86)

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