WST-1と細胞増殖 ELISA(BrdU)による VSMCs代謝活性と増殖の同時測定

Tips & Facts

細胞増殖と代謝活性の評価において、WST-1アッセイはMTTアッセイよりも感度がよく、しかも簡便です。しかし、WST-1 はすべての細胞で代謝されるわけではありません。WST-1がニュージーランドシロウサギの大動脈由来の、培養脈管平滑筋細胞(VSMCs)により代謝さ れるかをテストするために、我々はWST-1アッセイと細胞増殖 ELISA(BrdU)を組合わせての、VSMCsの増殖、代謝活性、DNA合成の評価法を開発しました。WST-1アッセイは様々な濃度の牛胎児血清 (FCS)存在下で、96ウェルマイクロタイタープレートで行われました。細胞増殖 ELISA(BrdU)は、DNA合成を測定するために同じMTP中で同時に実施されました。我々は、VSMCsの代謝活性と増殖がFCS存在下で、投与 依存的に増加することを見出しました(p < 0.05)。これらのデータはWST-1が代謝され、VSMCsの増殖と代謝活性の新しいパラメーターとして使用できるということを示しています。細胞増 殖 ELISA(BrdU)アッセイと組み合わされたWST-1は、加えられた因子や薬剤の、細胞DNA合成や細胞代謝活性への特異的作用を評価する、有用な ツールです。

はじめに

細胞増殖と代謝活性を発色で測定するWST-1は、シンプル、正確、安全、高感度なだけではなく、数時間は発色が続くので、くり返し測定が可能です。 アッセイは、生細胞のミトコンドリアの脱水素酵素による、水溶性のテトラゾリウム塩、WST-1(4-[3-(4-ヨードフェニル)-2-(4-ニトロ フェニル)-2H-5-テトラゾリオ]-1,3-ベンゼン、ジスルフォネート)の、イエローオレンジの水溶性フォルマザンへの分解に基づいています。

しかしWST-1はすべての細胞で代謝されるわけではありません。ニュージーランドシロウサギ大動脈のVSMCsがWST-1を代謝できるかどうかを測 定するために、様々な濃度のFCS存在下でのVSMCsで、WST-1発色アッセイを行いました。その上、VSMCsの生存能を同時に測定するための細胞 増殖 ELISA(BrdU)と、WST-1アッセイとの組み合わせを確立しました。

材料と方法

VSMCsをニュージーランドシロウサギの胸部大動脈から外科的に摘出し、以前の記述通りに培養した。VSMCsは第3代を使用した。細胞(5 x 10 4/ ウェル)を50%コンフルエントまで生育させ、IMDMフリー血清中で24時間インキュベートした。0%、2.5%、5%、10% FCSを含むIMDMを細胞に各々加えた。24時間後、細胞をトリプシン処理し、生細胞の数を、ヘモサイトメーター中、2.5% トリパンブルー染色で計測した。

細胞代謝活性と増殖の同時測定

細胞増殖試薬WST-1と細胞増殖 ELISA(BrdU、発色)は、メーカーの説明書に従って使用した。細胞(10% FCSを含む0.1 mlのIMDM中、1 x 10 4/ ウェル)を96ウェルMTP中で50% コンフルエントまで生育し、生育を止める。細胞を10μMのBrdU(5-ブロモ-2'-デオキシウリジン)存在下、上記の様々な濃度のFCSで22時間 処理する。各ウェルに10μlのWST-1を加え更に2時間、再インキュベートする。発色強度をELISAプレートリーダーで405 nm(リファレンス波長655 nm)を読む。MTPを空にし、BrdUの取り込みを測定するために、200μlのFixDenat溶液を加え、室温で30分間インキュベートする。 100μlのPOD標識抗BrdU抗体を細胞に加え、室温で90分間インキュベートする。細胞を200μlの洗浄溶液で3回洗浄する。基質反応は、 100μlのテトラメチルベンチジン(TMB)で20分間行った。吸光度を上記の通り測定した。

結果

図1はFCSでの24時間インキュベーション後、生細胞数とWST-1分解産物の吸光度およびBrdU標識が、FCS量に依存して増加していることを示 している(p < 0.05)。これは、WST-1がVSMCsにより代謝的に減少すること示している。そのうえ、細胞の生存能と細胞増殖を同時測定するための、細胞増殖 ELISAとWST-1アッセイの組合わせ法の確立に成功した。

図1. 培養VSMCsでのFCSの増殖効果。

討論

FCSはVSMCsを含む培養細胞に増殖効果を持つことは、長く知られてきました。それゆえ、VSMCs数がFCSの存在下、図1に示す通りに濃度依存 的に増加しました(p < 0.05)。WST-1アッセイは、可溶性のテトラゾリウム塩であるWST-1が、生細胞のミトコンドリア脱水素酵素により、イエローオレンジのフォルマ ザンへ分解されることに基づく発色アッセイです。図1は、FCSの量依存的に、VSMCsの増加につれてフォルマザン色素の吸光度が増加することを示して います。結果はWST-1がVSMCsで分解されることを示しています。それゆえ、WST-1はVSMCsの代謝活性と細胞増殖の新しいツールとして応用 出来ます。

細胞増殖の、他の重要なパラメーターはDNA合成です。我々の研究では、細胞増殖 ELISA(BrdU)アッセイが、WST-1アッセイと同じMTP内で、VSMCsのDNA合成間でのBrdUの取込みを測定するために採用されまし た。図1はまた、BrdU標識の吸光度がWST-1と同じパターンで増加していることを示しています。それゆえ、WST-1と細胞増殖 ELISA(BrdU)が、同じMTP中でのVSMCsの増殖と代謝活性の同時測定のために採用されました。

ほとんどのケースで、細胞が増殖する時、細胞数と同様にDNA合成が増加します。しかしある条件では、DNA合成は増殖と相関しません。それは、アポ トーシスを意味します。LiuとKistsisは、E1Aガンタンパク質が心臓の筋肉細胞において、DNA合成とアポトーシスを誘導することを示しまし た。また、アクチノマイシン DはDNA合成を阻害しますが、細胞の代謝活性は阻害しません。Wangerは、低バクテリア細胞比の時、Helicobacter pyloriが胃の上皮細胞の数を減少させるが、DNA合成の比を増加させることを報告しています。

このアッセイ法の組み合わせの確立は、操作法を簡単にするだけでなく、高価で時間がかかり、しかも危険な3H-TdRアイソトー プの取り扱いや保存の問題、シンシレーションカウンティングを避けることが出来ます。しかもこれらのアッセイの組み合せにより、細胞集団における細胞増殖 と代謝活性を評価するための、より客観的な方法が確立されました。細胞増殖 ELISA(BrdU)アッセイと組み合わされたWST-1は、加えられた因子や薬剤の、細胞DNA合成や細胞代謝活性への特異的作用を評価する、有用な ツールです。

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製品名 製品番号 包装単位 希望価格
細胞増殖試薬WST-1 1644807 1キット
(2500回テスト)
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細胞増殖 ELISA(BrdU) (発色) 1647229 1キット
(1000回テスト)
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BIOCHEMICA 2001 NUMBER 3(No. 84)

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