BM細胞死検出ELISAやアネキシンV染色を用いてのアポトーシスとネクローシス細胞死の分類

2 FEATURES and TECHNICAL TIPS

Differentiation Between Apoptotic and Necrotic Cell Death by Means of the BM Cell Death Detection ELISA or Annexin V Staining

Key words

アポトーシス、細胞死検出、アネキシン染色

Abstract

アポトーシスとネクローシスは、形態学的指標による判別に基づき分類される2種類の形態の細胞死である。しかしこれらの異なるタイプの細胞死は数種類の共 通の、シグナリングと実行機構を伴う。多種の刺激がアポトーシスとネクローシスの両方を誘導するため、細胞死のモードは細胞内因子に依存するように思われ る。これら因子の一つはATPの濃度である。ATPレベルを調節する事によりその他の条件がまったく同じでも、アポトーシスとネクローシスを選択的に引起 こす事が出来る。スタウロスポリン処理Jurkat細胞中のATPレベルを制御する事により、アポトーシス細胞死(ネクローシスではなく)は選択的に検出 され、BM細胞死検出ELISAやアネキシンV染色により、高感度に定量化される。

はじめに

初期にはアポトーシスは形態学的指標に基づき、ネクローシスとは明瞭に違う細胞死であると定義付けられました。しかし2種類の形態の細胞死は一つの 器官内で同時に、また明確に定義された時間的空間的関係内でも発生します(実験的肝不全や脳脈管疾患/卒中など)。さらに最近の知見では、細胞傷害性の同 一のレセプターや情報伝達回路およびメカニズムが、アポトーシスとネクローシス細胞死に関与していると示唆されています。アポトーシスとネクローシスは細 胞死のモードの広いスペクトラムの両極端と考えられます。細胞傷害性パスウェイと形態学的特徴は、さまざまな細胞内因子と外部条件によって決定されます。

多細胞内器官において、細胞死のモードは個々の細胞の運命につながる考慮すべき意味を持ちます。アポトーシス細胞は溶解と炎症を起こす前に、効率的及び迅 速に大食されます。これにより発育中や傷害後の組織の再組織化や再構築が促進されます。またアポトーシス過程の特徴は、転換あるいはウイルス感染細胞から のDNAの伸展や放出をもたらします。これら過程の一つは細胞内DNAの選択的断片化やパッケージングです。ゲノムは通常300 kbpと50 kbp(高分子量(HMW)断片と呼ばれる)の断片に切断され、しばしばこの後に、n x 180 bp断片を形成するオリゴヌクレオソームDNA断片化が起こります。DNAの断片化は細胞死に関与する原因ではありませんが、周りの組織との関係において アポトーシスの重要な特徴と考えられ、しばしば診断の指標として使用されます。

方法

10%FCSを含むRPMI 1649培地で培養してあるJurkat細胞を、実験前に洗浄しグルコース不含、2 mMピルビン酸を含む無血清培地(ミトコンドリアのATP生成のみ)に再懸濁した。ATP欠失のため細胞を2.5μMのイオノマイシンに曝露する。細胞質 のATP生成のみを可能とするため、2.5μMのイオノマイシンと5 mMのグルコースを含む培地でインキュベートする。45分後、細胞死誘導試薬スタウロスポリン(STS、1.25μM)あるいはCD95/Fas /Apo-1に対するアゴニストのモノクローナル抗体(αCD95、100 ng/ml)とインキュベートする。細胞死は形態的指標、細胞内タンパク質分解、DNAフラグメンテーションにより特徴付けた。細胞死検出ELISAは キットの説明書通り行い、ATP測定はバイオルミネッセンスキットで行なった。PSの転座はFITC標識アネキシンVを用いてFACS分析と共焦点光学顕 微鏡で分析した。

結果

グルコース不含、2 mMピルビン酸を含むRPMI 1649培地からSTSあるいはαCD96に換えた時、Jurkat細胞は2-3時間以内にアポトーシスを現した。図1はSTSに暴露した際のデータを示す。

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1. Jurkat細胞におけるSTS誘導アポトーシスとネクローシス。

(A)コントロール細胞(白)およびATP欠失細胞(黒)がSTSで処理された。細胞死のモードはある一定時間後の、H-33342(細胞浸透性)とSYTROX(細胞非浸透性)によるクロマチンの染色で決定した。(B)異 なる刺激で4時間インキュベート後、細胞をH-33342とSYTOXで染色した。それぞれの処理グループの細胞を蛍光顕微鏡上で、H-33342と SYTOXの染色を区別するため異なるフィルターセットを用いて写真を撮った。非凝集クロマチンを持つSYTOX染色細胞はネクローシス、凝集クロマチン を持つ細胞をアポトーシスと解釈した。

グルコースをSTS + イオノマイシン処理細胞に加えた時、ATPがグリコライシスにより生成され、細胞死のモードがアポトーシスからネクローシスに変化した(図1B)。これら のデータは、ネクローシスやアポトーシスの細胞死の様態は刺激のタイプに依存せず、細胞内ATPレベルに依る事が示された。またATPを部分的に減らした 時、50-100% ATPレベルでは細胞死はネクローシスにより起った。30-50%のATPレベルではアポトーシスとネクローシスにより細胞死が起こり、30%以下の濃度 ではネクローシスによる細胞死が起こった。

個々のアポトーシス過程のATP依存性をさらに特徴付けるため、、DNA断片化および細胞内タンパク質分解、ホスファチジルセリンの転座をそれぞれの細胞 死のモードで定量化した。オリゴヌクレオソームDNA断片化はアポトーシスでのみ活性化され、ネクローシスの場合は細胞膜破裂の後でも検出されなかった (図2)。同じデータはDNAの300/50 kbp断片への切断でも得られた。

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2. STS誘導アポトーシスとネクローシスにおけるDNA断片化の上昇。

(A)コントロール細胞およびオリゴマイシン処理細胞がSTSとインキュベートされた。90分後、HMW DNA断片がフィールドインバージョンゲル電気泳動(FIGE)で分析された。180分後、オリゴヌクレオソームDNA断片が1% アガロースゲルで分離された。(B)細胞はzVADfmk、オリゴマイシン、αCD95、STSの組み合わせを変えて、インキュベートされた。180分後、アポトーシスとネクローシス細胞の比率をカウントし、DNA断片化をBM細胞死検出ELISAで定量した。

核構築の重要な構造である薄層も、アポトーシスの間だけタンパク質分解された。細胞質膜外層へのPSの転座(アネキシンVによる染色、図3)も、アポトー シス細胞で1時間以内に起こった。ATP欠失やネクローシス誘導細胞ではPSの局在は保持されていた。この事はアネキシンVによる染色性が、アポトーシス の特異的マーカーとして有用である事を示唆する。FACS分析に代わり、共焦点顕微鏡を用いる事により、神経細胞のような接着細胞ポピュレーション中の、 アネキシンV染色によるアポトーシスの選択的同定が可能となった。

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3. はアポトーシスにあり、ネクローシス細胞には無いホスファチジルセリンの転座。

(A)Jurkat細胞をSTSでインキュベートし、180分後にH-3342(クロマチン染色)とFITC標識アネキシンV(PS染色) で染色した。細胞の同一グループの共焦点顕微鏡像はアポトーシスのクロマチン凝集(右、青色蛍光)と、アネキシンVによる細胞膜の強い染色(左、緑色蛍 光)を示している。記録時、全ての細胞はヨードプロピディウム浸透性の細胞膜を持つ。 (B)Jurkat細胞は表示のように、STS + イオノマイシンでインキュベートされた。90分後FITC標識アネキシンVで染色し、陽性細胞の数を定量した。

ここに述べたモデルで、単一細胞株中で条件をコントロールする事により、同じ刺激でアポトーシスおよびネクローシスを誘導する事が出来た。このモデルは2 つの細胞死のモードの判別や定量化の試験法として適している。図2Bにおいて、BM細胞検出ELISAのデータと形態学的指標に基づく細胞数計測のデータ の比較が異なる細胞死モデルで示され、優れた相関性が示された。形態学的、電気泳動的方法が時間がかかるのに対し、BM細胞検出ELISAは多くのサンプ ルを同時に分析する事が出来、その高感度により、200-1000細胞数でDNA断片化の定量に充分である。

 

討論

ここで述べられた実験モデルにおいてBM細胞死検出ELISAとアネキシンVによる染色は、他のアポトーシスの決定点と良く一致し、アポトーシス定 量において最初に選択出来る方法と保証されました。最初の導入時に今までの方法と相関を取り、確立された後はBM細胞死検出ELISAは大量サンプル実験 において有効なツールとなるでしょう。我々は肝細胞やマクロファージ、TNFやCD95の活性化により誘導された実験的肝不全において、BM細胞死検出 ELISAとアネキシンV染色が選択的にアポトーシス細胞を検出出来る事を見出しました。ネクローシス細胞が劇的に増えた場合でも、BM細胞死検出 ELISAの値は上昇せず、選択的にアポトーシスを検出しています。

このようにELISA法は細胞ポピュレーション中のアポトーシス分析に有用ですが、個別の細胞レベルではアネキシンV染色が有用で、その特異性はELISA法と同様です。

製品名

製品番号

包装単位

Cell Death Detection ELISA

1544675

96テスト

ATP Bioluminescence Assay Kit CLS II

1699695

1600アッセイ(MTP)

ATP Bioluminescence Assay Kit HS II

1699709

1000アッセイ(MTP)

Annexin-V-FLUOS

1828681

250テスト

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